歯医者へ行こう! 第8回 大工事の顛末
これほどまでに歯医者へ行く日が待ち遠しかったことがあったろうか(笑)
にゃおは、カレンダーを見ては指折りその日を待った。 にょきっと生えたコンクリの塊。
こいつに何度絶叫したことか・・・ 気をつけていたつもりでも、いつの間にか食べ物のかけらが
工事中の歯に忍びより、すきあらば歯の上に乗っかっている。 うっかりそいつを噛んでしまい
その痛さににゃおは号泣した。 食べることが怖い。 固いものを噛むのが怖い。 それなのに
そういう時に限って、どうしてもポテトチップのようなものが食べたくて仕方なくなる。 そんなの
食べたら自殺行為だよ。 ご飯粒でも痛むくらいなのにさ。
予約の日、にゃおは今日でついに歯医者とお別れなんだ・・・と、感涙に咽びながら歯医者へと向かった。
子供も受付のお姉さんと遊べるのも今日で最後。 最初は一人残して診察室に入るのを
嫌がった子供も今じゃ、お姉さんと待ってるからね〜と手を振ってくれる。 成長したもんさ(^
^;
にゃおも診察台に横になってじっと最後の儀式を待つ。
あれ? にゃおのそばに来た先生はあのちょっと下手っぴな女の先生。 うぬ〜 院長先生じゃ
ないのかぁ(すでにすごく不安) 冠(かん)を被せるだけなんだろうからいいけど、この先生、口を
開けさせたままにするからあごが疲れるのよね。
先生の手が口の中へ入り、ガギゴキと機械で削り始める。 だって口の中の土台はつるんとした
まんまだもん。 いくらなんでもこのままじゃ噛めないよ。 適当に臼状になるようにデコボコをつけて
るみたい。 本当に造形の世界だな。 センスよく彫ってくれないとあとあと困るぞ。 それからいよいよ
銀の冠(かん)が被せられる。 詰め物と違ってすっぽり被せるのだからその調節には時間がかかった。
ちょっと入れてみては外して削ったりしてる。
「噛んでみてください。 違和感ないですか?」
う〜ん・・・違和感ないですかって、そりゃあ、無理でしょう。 詰め物と違ってすっぽり被せるんだよ。
初めからまったく違和感がないなんてありえないと思うんですけど。
それでも何度か調節するうちに確かに最初よりは馴染んできた感じ(^
^;
「ハイ、それじゃ、冠(かん)が入りましたから」といつもの手鏡を渡された。 見たくないお口の中で
ピカリ〜ンとひときわ輝く銀の冠(かん)。 おお〜ついに終わったのね〜 にゃおは安堵の笑みを
浮かべて、深々と先生や助手さんたちに頭を下げて診察室を出た。
受付のお姉さんがにこやかな顔で精算をしてくれる。
「次の予約なんですけどぉ〜」
可愛らしい声で語尾を伸ばす言い方。 え? なに? 今、次の予約って言わなかった?
「は? 何をするんですか?」 思わずにゃおは聞いたね。 だってもう終わりじゃないの?
これ以上何をするのさ? 受付のお姉さん、ちょっと困ったような笑顔で言葉を続ける。
「あのですねぇ、今度は右上の奥歯を治療するんですよぉ〜」
あ”・・・ そうか・・・ まだ、ついでに治しておいた方がいい歯があるのか・・・(-_-;)
ちゅうことは来週削ってその次の週に詰めて・・・ あううううう・・・最低あと2週間かいな・・・
にゃおはあからさまに落胆の表情を浮かべて代金を払った。
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