にゃおのインフルエンザ予防接種 1 

     子供が保育所へ通うようになってから、季節を問わず、とにかく風邪をよくひくようになって
     しまったにゃお。 11月に入り、同じく風邪を繰り返す子供のほんのわずかな体調のよい時を
     狙ってインフルエンザの予防接種の1回目を接種して帰る道すがら、にゃおは、思った。
     「今でさえ、風邪をすぐひいてしまうのに、インフルエンザにかかったら死ぬな・・・」
     大げさではなく、現実の問題として大きく影を落とす、この言葉には、ここまで風邪ばかり
     ひいてなかなか完治しない自分の体力に不安を持ち始めたからでもあった。

     にゃおは、今年は自分もインフルエンザを受けようと思い立ち、まずは家から歩いて5分、
     ちょいと庭に出たら、その建物が見えるという近距離にある、大きな病院へ電話をかけた。 
     ・・・が!!  そこでは今年は接種をお断りしていますとの答え。 「今年は」? それ、どういう
     ことやねん? 一瞬、突っ込んでやろうかと思ったけれど時間の無駄だと思い、あきらめて
     電話を切った。 はて、どうしたものか・・・ 子供がかかりつけになっている個人小児科医院では
     大人への接種は行っていない。 だから自分で内科へ行くしかないのだが、にゃおは結婚して
     この地へ移ってきて6年ちょっと。 その間に眼科や歯科には行ったけど、内科の病院には
     行った事がなかったのだ。 当然、どこにどんな病院があるかわからない。 ・・・とその時、
     脳裏にひらめいたのは、とある小さな病院の姿だった。

     その病院はにゃおたちが通称、「猫屋敷」と呼んでいるところ。 いつも、たくさんの野良猫が
     そこにたむろしているのだ。 どうやら病院の主は猫に寛容らしく、時折、病院奥の住まい
     らしき場所の勝手口から、大きな袋入りのキャットフードをかかえた女性が出てきて、猫たちに
     エサを与えているのを見たことがあった。 猫たちのご飯入れもあるみたいで、半分、そこに
     住みついているという形のようだ。 中にはわざわざ拾った猫をそこへ置いていくという人も
     いるらしい。  話は反れたが、そこは内科を柱として、胃腸科、循環器科、放射線科と全部で
     4つの診療科目がある。 小さなたたずまいの木造の病院ながら、それだけの科目を診るとは
     並大抵の医者では出来ないだろう。 昔からある個人医院だし、お年寄りがたくさん出入り
     するらしいので、インフルエンザの予防接種をしている可能性が高い。 子供の通う保育所には
     駐車場が併設されているものの、駐車台数が少なく、朝は長蛇の列を作って待たないといけない
     という理由から、わずかに離れた公民館の駐車場に車を止めて、そこから2〜3分歩くのだが、
     その病院というのが、その途中にあるのだ。 ここなら、子供を保育所に送って車まで歩いて
     帰る途中で寄ることができるから時間の無駄がない。 これほど絶好の場所はないだろう。
     にゃおは、電話帳で番号を調べると、すぐにかけてみた。

     「はいはい」 と、のんきそうな、年配の女性の声がした。
     にゃお:「あの〜 ○○医院さんでしょうか?」
     相手:「はい、そうですよ」
     この人が看護婦さんなんだろうか? まぁ、ちっちゃな病院だったもんなぁ・・・
     にゃお:「あの、そちらではインフルエンザの予防接種をしてますでしょうか?」
     相手:「はいはい、してますよ」
     にゃお:「今からでも予約できますか?」
     相手:「ええ、ええ、液がありますからいいですよ」
     と、言いつつ、相手の女性は受話器を手で覆うと、「ありましたよねぇ、センセ」と確認している。
     おいおい〜 大丈夫なのぉ〜 ごどごどと「センセ」との会話がしばらく続く。
     どうやら、センセは男の人らしい。 声からすると40代くらいかなぁ。 とすると、この人は誰?
     センセの奥さんじゃない。 お母さんって感じの年齢の人だけど、看護婦なのかなぁ?
     相手:「今、すぐ来られるんです?」
     唐突に話が戻ってきて、ぼんやりと電話の向こうの話を聞いていたにゃおはちょっと慌てた。
     その時は、まだ、ひいた風邪が治ったばかりだったので、1〜2日経ってからにしたいと
     申し出て、予約するという形になった。 名前と電話番号を伝えて、電話を切る。
     よっしゃぁ! これでひと安心。 あとは体調のいい時を見計らってなるべく早くに行かなくちゃ。

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