それでもミシンを買いました 10  後悔

     とにかく知りたかったのは、みんなが持ってるミシンには、「自動糸調節機能」がついているのか
     どうかということ。 できれば価格も知りたかったけど、それは失礼にも当たるだろうし、なおさら
     自分を追い詰めるような気もしたのでやめておいた。

     「あなたのミシンには自動糸調節機能がついていますか?」

     こんな主旨の書き込みを数人の方のBBSに書き込ませてもらった。 翌日には皆さんからの
     答えが帰ってきた。
     Aさん:「ダイヤルをクリクリして調節する機能が付いてるよ」
     Bさん:「ジグザグ縫いとか、いろんな実用縫いもあるし、ダイヤルで糸を調節するやつが
          ついてるけど、ほとんどの場合、それをさわらなくても大丈夫だよ」
       などなど・・・(実際、ダイヤルで調節するのは上糸だが、にゃおが知りたかったのは
       下糸をどうやって調節するようになっているかということだった)

     どれも、にゃおを奈落の底にさらに突き落とすような答えだった。
     唯一、ほんの少しだけ、気持ちが和らいだのは、先にも登場した、ミシンを何台も持っていて
     よく使っているという方のこの答えだった。

     「ネットから柄をミシンに入力できて刺繍できるような機能があるから、使ってるPCよりも
     値段が高かったりしたよ。 でも、元取るくらい使ってけどね」

     PCよりも値段が高いとなると、おのずとミシンの価格が推理できる。 なるほど、確かにそういう
     機能があるミシンは30万以上の値段がついていたっけ。 

     ああ、だけど、そんなに低価格で十分な機能を備えたのがあるんだ。 にゃおは、やっぱり
     間違っていたんだ。 いつも慎重に行動するはずなのに、あんなに軽はずみに高価なミシンを
     即決で買ってしまうなんて。 どうしよう。 やっぱりクーリングオフを利用して返品しようか?  
     でも、もしかしたらミシンを引き取りに来る時に、また、あの兄ちゃんが来るかもしれない。 
     あの不可解な言動の意味がなんであろうとも、もう顔を合わせるのはイヤだった。 だけど、
     電話で、あの時の兄ちゃんは来ないでくださいなんて言えるはずもない。 どうしよう・・・ 
     胃の奥がじんわりと熱く重い感じがした。 出るのは深いため息ばかり。
     どうして、もっと先にネット検索などで、ミシンの価格を調べなかったんだろう?
     どうして、あそこで一度考えるから、今日は引き取ってくれと言えなかったんだろう。
     どうして、どうして、どうして、どうして・・・

     主人にはミシンの事は言えなかった。 主人も疲れているために、そんなことを思い出しも
     しなかったようだった。 これ幸いとにゃおはミシンを連想させるような話題を極力避けて
     その夜をすごした。 ミシンは2階に隠しておいた。 主人は滅多に2階に行かない人だから
     見つかる心配はない。 

     それにしても、どうしたらいいんだろう? 
     混乱と後悔とで夜もなかなか寝つけなかった(でも、一度寝てからはぐっすりだったけど(苦笑))

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