2002年 師走の乱 11

     じっちゃん:「最初に取り掛かったのが洗面所でよかったですね」

     にこやかな笑顔でじっちゃんが言う。 本当だよ。 最後が洗面所だったら、換気扇と
     ウォシュレットの取り付けで疲れちゃってて大変だったもんね。 あとは簡単に取り替え
     られるはずだから、4時過ぎに子供を保育所に迎えに行くまでには終われるね(*^-^*)

     にゃおは井戸水汲み上げポンプの電源を入れなおした。 ブッシュ〜って水が噴出しないかなって
     ちょっと心配だったけど、どうやら洗面所は大丈夫みたい。 じっちゃんが、水が出るように
     なった水栓の水量調節をする。 今度はレバーを上げ下げするだけで簡単に水を出したり
     止めたりすることができる。 子供が石鹸でぬるぬるの手でも大丈夫。 ねじるタイプのものと
     違うからパッキンが磨り減る心配もあまりない。 人差し指1本で水を出したり止めたりしている
     主人の手元を眺めながら、にゃおの顔も自然と笑顔になった。 

     あ”・・・ そうだ!!

     にゃおは急いでトイレに駆け込んだ。 寒くてずっと、トイレに行きたかったんだけど水が
     止めてあったから、我慢してたのよね。 男性は外でちょっと・・・って出来るけど、にゃおは
     そうはいかないもん。 はぁ〜 すっきりした♪(爆)


     じっちゃんは換気扇に取り掛かった。
     まずは換気扇を全部外すことから始める。 

     じっちゃん:「脚立かなにか、貸してください」

     ん? 脚立? にゃおが電気を交換したりする時に使うミニ脚立ってのがあるけど、
     じっちゃん、脚立を持ってないんかい? それとも車に積んであるけど降ろすのが面倒なの?
     なんか違う気がするけど、まぁ、いいや。

     換気扇本体は4個所をネジで固定してあるだけだから、割りと簡単に外すことが出来た。 
     家が建って以来ついていた換気扇。 羽根は年に2度くらいは掃除してたけど、その後の
     パタンって開いたり閉まったりするやつまで掃除したことがなかったから、見るも恐ろしい
     姿になっていた(笑)

     次に箱から新しい換気扇が取り出される。 オフホワイトでピカピカしている。
     うわ〜ん、素敵♪  わくわくのにゃお。

     じっちゃん:「あら、だめだわ」

     はい? ( ̄_ ̄♭)

     じっちゃん:「ご主人、これ、このままだと入らないわ」

     じっちゃんが脚立から降りる。 主人が側に寄って換気扇の穴を覗き込んだ。
     にゃおは、洗面所の後片付けに忙しくて、側で一緒に説明をしっかり聞けなかったのだけど
     話の断片を拾うと、今まで付いていた換気扇より少しサイズが小さいため(今開いてる
     穴は24センチ四方くらいだけど、新しい換気扇は20センチタイプって言ってたもんね)
     きっちりとはめ込めない(固定できない)ってことらしい。
     ちょっとお、アンタ、何のために下見に来たのよ。 ちゃんと枠のサイズを測ったんでしょう?
     何で今になってそういうこと言うんだよぉ。 

     主人:「それじゃ、どうしたらええん?」
     じっちゃん:「(ガス台の上に張り出しているレンジ)フードを外して、穴を縮めるんよ」

     ひえっ?! フードを外す?

     にゃお家のレンジフード、始めからついてたものじゃないらしい。 最初は換気扇だけが
     壁についていたのだけど、それじゃ油煙が上がって周りがベタベタになるからって、あとから
     付け足したものなのだ。 当時、家には主人の亡くなった、両親2人だけが住んでいた。
     どこの業者に頼んだか知らないけど、その業者、年寄りだと思ってバカにして、レンジフードを
     わざわざ特注という形で作った。 しかも普通に直線の台形に作ればいいものを、変に
     アールをつけてへこませたような形にした。 そんな風にすると当然、作るのに手間が
     かかるという事で、料金も高くなる。 18年近く前の話なのに、このレンジフードをつけて
     もらうだけで10万円近くしたらしい。 えらいボッタクリである。 その頃、主人は仕事の都合で
     家を離れ一人暮らしをしていおり、両親も主人に特別、相談することもなく頼んでしまった
     ものだから、それを阻止することも出来なかった。 今でも主人は時々、あの時、相談して
     くれてたらこんなバカバカしいお金を払うことはなかったのにと悔しがる。 
     確かに、ひどい話だ。 どこから見たって10万もするような代物じゃないもん。 それに
     内側に引っ込んだ形でアールが取ってあるから、レンジフードの内側を掃除しようと
     頭を突っ込むと肩がつっかえる。 換気扇の羽根を外すにも、エビ反るような格好に
     ならないと、両腕が伸ばせないのだ。 不便極まりない。

     じっちゃんは、レンジフードをはずし始めた。 
     何時の間にか外の雪はやみ、天気が回復していたので、にゃおは洗面所を拭いた
     雑巾やらバスタオルやらを洗って外に干しに出た。 中に入ってみると、もうレンジフードは
     外され、コタツの脇に置かれていた。

     あううううう〜〜〜
     レンジフードの上には手が入らなかったから掃除したことがない。 こうして降ろされた
     レンジフードの上は長年の油煙と埃で、換気扇本体のヤツと同じように見るもおぞましき
     状態だった。 主人が「せっかくだから今のうちに掃除したら?」と言う。
     はぁ・・・ そうですね。 やりますか・・・
     4時過ぎの保育所のお迎え、間にあ・・・わないだろうなぁ・・・

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