2002年 師走の乱 15

     ほどなくレンジフードの取り付けは終わった。
     最後はトイレのウォシュレットだけど、その前に、あのネジを始末しないとね(-_-メ)

     にゃおはまた2階からリールコードを下ろす。 じっちゃんがそれに金切カッターをつなぐ。
     ちゅぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜ん
     そこら中に火花が散る。  なんか、もう、気が変になりそうだ。
     壁から突き出たネジの先端を切ったって、壁に穴があいてしまった事実は戻らない。
     この先、再び洗面台を取り替えるとか、取り外すことがあった時、どうなるっていうんだろう。

     ジジイ、しね

     耳をつんざく金属音に紛れて、にゃおはポツリとつぶやいた。

     じっちゃん:「これで大丈夫よ」 大丈夫なもんか、ばかぁ!

     じっちゃんが道具をしまう間、心配そうに壁を触ってみる主人。 

     主人:「ここ、ちょっと直しといて」
     にゃお:「え?」
     主人:「ここを水で湿らせてなでつけておいたら、石綿だから、あまり跡が目立たなくなるんよ」

     ほうほう、そうなんだ?
     にゃおは早速、水を入れたボールを持って、ペタペタ塗ってみる。 水をしっかり染み込ませると
     石綿がふにゃふにゃっとしてくる。 それをなでなでするとネジの切り口がうっすらと
     ふさがれてくる。 気休めだけど、最初の時よりは見栄えがちょっとはいいや。
     飛び出しすぎてた所はどうにも隠せなかったけど、あとは乾いたら、パッと見ただけだと
     わかりづらい感じにまですることができた。 ああ・・・ ため息ばっかり。

     時計を見ると、もう17時を過ぎようとしている。
     子供を迎えに行かなくちゃ。 

     にゃお:「もう保育所に迎えに行って来るよ」
     主人:「うん、ええよ」
     にゃお:「晩ご飯どうする?」

     台所は大工事の残骸がそこら中に散らばってる。 流しも何もかもが木屑だらけ。
     床には足の踏み場もないくらい工具が広げられている。 晩ご飯の支度をするなら
     まず、ここを掃除して、それからお米を研いで、炊かないと・・・時間的に厳しいなぁ。

     主人:「もう、帰りにスーパーで何か買ってくればいいよ」
     にゃお:「わかった(らっきー♪)」
     主人:「外、おっさん(じっちゃんのことだ)の車が止めてあって出られんじゃろ。
          ちょっと鍵を借りて移動させよっか」

     じっちゃんの乗って来た軽トラをギリギリの位置まで動かしてもらって(主人も他人の車だから
     まるっきり違う場所に動かすのは怖いらしい)、なんとか車を出すことができた。

     真っ暗に近いような中、にゃおは保育所へと飛び出した。

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