2002年 師走の乱 16

     保育所に着いてみると、2階は非常灯だけがついていて、1階も職員室と子供たちが
     親を待つ教室にだけ灯りがともっていた。 廊下は電気がついていたけど、冬のせいも
     あってか、とても寂しい感じがする。 子供、ちゃんと待ってるかな?

     教室を覗くと、わずか10数人の子供たちしかいない。 子供はどこ? キョロキョロする
     にゃおを見て、入り口で番?をする先生が「○○ちゃん、お母さんがお迎えに来ちゃったよ」
     と言うと、こちらに背を向けるような格好で椅子に座って本を読んでいた子供が振り向いた。
     その顔がパッと明るくなる。 飛び跳ねるように、にゃおに近づいて抱きついてきた。

     先生に「さようなら」の挨拶を済ませ、手をつないで薄暗い廊下を歩く。

     にゃお:「ごめんね。 お迎えが遅くなって。 工事がなかなか終わらなくてねぇ」
     子供:「うん、知ってるよ。 K先生が、おうちの工事が終わらないからお迎えが遅くなりますって
          電話があったよって教えてくれたもん」
     にゃお:「うん、本当にごめんねぇ。 大丈夫だった?」
     子供:「○○ちゃん、お母さんがお迎えに来んのかと(来ないのかと)思って心配しちゃったよ」
     にゃお:「まぁ、そんなことあるわけないじゃない(苦笑)」
     子供:「そうなんだけどね、それでも心配になっちゃったんだよ」

     こんなに遅くなったことなんてなかったもんね。 おまけに冬だから日が短くて、まだ17時過ぎ
     だっていうのに真っ暗だもの。 もしかしたら、お迎えを忘れてるんじゃないだろうな・・・って
     子供心に心配したに違いない。 可愛そうに。 仲のいい友達も次々に帰ってしまって
     どんなにか心細かったことか・・・
     にゃおは、まだ教室に残っている子供たちを思った。 子供と同じクラスの男の子もいたな。
     あの子、毎朝、にゃおたちよりも早く来てるのに、帰りはいつもこんなに遅いんだ。
     お母さんが仕事をしてるから仕方ないとは言え、子供にしたら寂しいだろうな。
     にゃおは子供の手をぎゅっと握り締めた。 子供が満面の笑みでにゃおを見上げて
     ぎゅっと手を握り返した。

     にゃお:「まだ工事が終わってなくてご飯の支度もできないんよ。 だから帰りにスーパーに
           寄って何か買って帰ろうね。 ○○ちゃんの好きなもの買ってあげるよ」
     子供:「わーい♪」

     スーパーでの買い物が終わった時、18時近くになっていた。 
     もう、じっちゃん、帰ったかな? あとはウォシュレットを取り付けるだけだもの。
     いくらなんでも・・・ねぇ・・・
     一抹の不安を抱えながら家に着くと、じっちゃんの軽トラはいなかった。

     ほ・・・

     終わったんだ。
     工事、終わったんだ・・・ C= ( ̄ー ̄;;) ふぅ〜
     にゃおは両肩から力がすぅ〜っと抜けるのを感じた。

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