2002年 師走の乱 7

     27日(金)
     朝になって急に雪がポンポンと降り始めた。 空は鉛色でとても冷える。
     こんな日寒い日に工事をしてもうらうのって、ちょっと気の毒だな・・・
     この日、主人は10時から歯医者の予約が入っていて、9時前には家を出ていた。
     子供を保育所に送って帰ってすぐに電話が鳴った。 ホームセンターからで
     10時に工事に来る予定だったのだけど、その前の家での工事が長引いているから
     少し時間が遅れそうだと言う。 終わり次第、行きますので・・・ということだった。

     先週の下見の時から時間も経ってしまって、あの時、綺麗に掃除したところはまた
     汚れ始めている。 昨日も少し、掃除し直したのだけど、どうせなら業者が来るまで
     もう少し掃除しておこうかな・・・
     殊勝なことを考えながら、うろうろしているうちに、あっという間に時間が経って、お昼近くになった。
     主人が歯医者から戻ってきたので、業者が来るのが遅れていて、そこが済み次第、こっちに
     来るから早めにお昼ご飯を食べておこうということになった。
     簡単な食事が終わった12時半、玄関のチャイムが鳴った。 
     ほら、やっぱり来た。 ご飯食べておいてよかったねぇと言いながらドアを開けてみると
     そこには、あの下見の時に来たじっちゃんが、あの時と同じように、ぼ〜っと立っていた。

     あれ? じっちゃんひとり? もしかして、じっちゃんが工事するの?

     先週と同じセーターを着たラフな姿のじっちゃん。 その格好で工事をするんですか?と
     思わず聞きそうになったほど。 たいてい、どんな業者でも制服というか、作業服を着てる
     もんだけどなぁ。 一抹の不安を感じるにゃお。

     じっちゃんは、遅れてきたことを詫びることもなく、車から商品を運び込んで来た。
     おいおい、10時の約束を大きく遅れた上に、来るって言えば、まだご飯を食べてるかも
     しれない昼真っ最中の頃にやってきて、一言もないの? まぁ、じっちゃんもお昼抜きで
     駆けつけてくれたのかもしれないし、多目にみてやっか。
     おや? ウォシュレットのダンボール箱がある。 間に合ったんだ!! ということは
     今日一日で作業はみんな終わるんだね。 よかったぁ♪

     じっちゃんは、「どこから始めましょうか?」と言いながら靴を脱いだ。
     「それじゃ、洗面所からお願いします」と、にゃおは洗面所へ案内する。
     洗面所の水栓を替えるには、下の扉の中から作業しなくてはいけないことがわかっていたので
     昨日の段階で中身を全部出して、綺麗に拭き掃除しておいた。 じっちゃんがその中を
     覗き込む。
     主人が「(ポンプの)電源を抜いた方がええんじゃないんか?」と言うと、じっちゃんは
     「いえ、このままで大丈夫でしょう」と応えながら道具箱からいろいろと出し始めた。
     水を止めなくてもいいなら助かるな・・・ じっちゃんが、かちゃかちゃと音を立てて
     作業をしているのを背中で聞きながら、にゃおは昼食のお皿を洗っていた。
     
     ♪♪♪♪

     じっちゃんの携帯の着メロが鳴る。 またかいな・・・
     じっちゃんがにゃお家に来てから、ひんぱんに携帯が鳴る。 じっちゃんの受け答えの
     様子から別の家のことで何かトラブルがあったようだ。 じっちゃんが、「こうしてみて」と
     指示を出したり、「それじゃ、今度の日曜日にまた行ってみようか・・・」などと話している。
     どうでもいいけど、その度に作業が中断するのは困るなぁ。 早く切ってよ。
     ようやく電話が終わって、じっちゃんが作業を再開した。

     その時、

     じっちゃん:「あらあら、大変だ」

     ちっとも大変そうじゃない、じっちゃんの声に振り向くにゃお。
     うわっっっっ!!( ̄□ ̄;)
     なんと洗面所が水浸しになっているじゃないの!!
     一体、どうしたってんだぁぁぁぁ〜〜〜〜

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