２００２年 師走の乱 ９
なんとか水浸しの床を拭き終わったけれど、問題は深刻だった。
じっちゃんによると、洗面台の後の壁の中を通っている水管から水栓へと水を導く
管とのジョイント部分のネジがポッキリ折れてしまったのだと言う。 にゃお家は井戸水だから
水に含まれる成分のせいで、管やネジなどが普通の水道よりも腐食しやすい。 今回の
ネジも見せてもらったら、かなりネジ部分が痩せていた。 水管の中にはネジの
スクリュー部分が残っている。 これを取り出して新しいネジをつけないと先へは進めない。
そのためには洗面台を外して、後の壁を出さなければならないのだ。
どうやって洗面台を動かすっての？？
にゃおはとりあえず、洗面台の鏡の横についている棚に入った品物を全部取り出した。
じっちゃんが、鏡の下のネジをドリルで外す。 今度は主人に応援を頼んで鏡を押さえてて
もらうと上部のネジ２箇所も同じようにドリルで外した。 すると、上半分の鏡の部分が
取れた。 おお〜 こんな風になってたのか！ 今まで自分ちの洗面台がどんな組み立てに
なってるかなんて考えたこともなかった。 洗面台と鏡の部分が一体化してるのかと思ってたよ。
鏡の部分を下に置くと、今度は洗面台を動かす。 中身がないと軽いのか、じっちゃんひとりで
簡単に動いた。 こうして見ると、洗面台の裏って薄っぺらな合板が一枚、張り付けてある
だけなんだぁ。 ちゃちいの（苦笑）
問題の壁。 赤土でできた壁の上に石綿のようなものが吹き付けてあるのだけど、水が
噴出したせいで、どす黒くなっている。 その下の床の無残なこと・・・(T_T)
にゃおはまず、そこに溜まっている水を拭き取った。 こりゃ、かなり染み込んでるなぁ。
水管が復旧したら、また洗面台を元に戻さないといけない。 濡れたままの床の上に
洗面台を置いちゃったら、乾かなくて腐らないかな？ 今のうちにできるだけ水分を
取って少しでも乾かさなくちゃ（汗）
じっちゃんが、にゃおと交代してネジが折れた部分を覗き込む。 主人も心配そうだ。
主人：「どうね？（どんな様子か？）｣
じっちゃん：「ネジの頭が取れた状態ですからね。 これを取り出さないと・・・｣
主人：「ペンチでつまんで取れんの？（取れないの？）｣
じっちゃん：「どうでしょうねぇ。 ペンチでつまめるほどネジ部分が出てませんから。
まぁ、やってみましょう｣
主人：「取れんかったらどうなるん？｣
じっちゃん：「そのときはこの壁を水管に添って切って、水管を取り替えるしかないでしょう｣
主人：「それって、大ごとよ？ それしか方法がないん？｣
壁を切る・・・？Σ（＠＠；） ちょっと、なんなの、それぇ。
主人が心配そうに見守る中、じっちゃんはペンチでネジを取ろうとしたけど、ペンチで
つまめても回転させることが難しい。 ネジなんだから、ひっぱったところで取れるはずもない。
「やっぱり、だめですね。 壁を切らせてもらわないと。 奥さん、新聞紙か何かありますか？｣
じっちゃんの最後通告で、事態は『取り付け作業』から完全に『工事』の状態になってしまった。
電源を切って水が出ないようにしたのに、破損した部分からは水がポタン、ポタンと落ちる。
管の中に溜まった水が出るんだろう。 にゃおは下に乾いた雑巾を置いて、分厚く新聞紙を敷いた。
そして、その上にボールの受け皿を置いた。 壁を切り取るとなると、その部分が欠落して、
管を取り替えても回りに隙間が残る。 空間が残ると、管が汗をかいた時に、カビの原因に
なったり、腐ったりする可能性がある。
こんな状態を想定しちゃいないだろうから、当然、じっちゃんはセメントなんて持ってない
だろうし、セメントを塗ったとしても乾くまで時間がかかってしまう。 赤土なら水でこねて
塗ると、かなりの速度で表面が固まる。 当然、中までしっかり乾いて固まるには時間が
かかるけど、セメントよりは作業が早く再開できるはずだ。 だからボールの中に切り取った時に
こぼれ落ちる赤土を集めて、もう一度、塗るために使うのだ。 それだけじゃ足りないからと
主人が別のボールを持って外へ出た。 庭の片隅に今は使っていないにわとり小屋がある。
この壁が赤土なのだ。 それを削り取って足して塗ろうということらしい。
主人が外に出て赤土を取っている間、じっちゃんは壁を切り崩しているのだけど
その間にも携帯が鳴る。 おい、またなのかい！！
じっちゃん：「水漏れが止まらない？ それじゃ、もう日曜日に行きますからと言って」
のんびりとした口調で話すじっちゃん。 元々、そんな話し方なんだろうけど、今のにゃおには
イラつくのよ。 早く電話切りなさいよ！ なんで、今、忙しいからって言わないのよ。
あ〜〜 もぉ〜〜！！ o（><；）（；><）o
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