畦(あぜ)つけ

     2001年5月19日(土)
     苦労しながら毎日水を入れてはいるものの、思うように水が入らない日が続いていた。
     時には十分な水があって、田んぼに思う存分入れられる時もあったけど、翌日からいつもの
     ように水が少なくて、お天気だったりすると、あっという間に水は干上がって、また田んぼの土は
     乾いてしまう。 そもそも、畦(あぜ)つけした後で、少しの間を置いて、「しろかき」だから、
     常に水は田んぼの土が隠れるくらい入ってないとヤバイんだよね。 それなのに、どうよ?
     あちこち、土が出てるし、おまけにその土が白い。 白いってことは乾燥してるって事。
     乾燥してるって事は、水が足りないってこと。 水が足りないって事は・・・田植えができないよ(T^T)

     それでも田植えの時期を逆算して、主人の仕事の都合も考え合わせると、どうでも畦(あぜ)つけを
     済ませておかないといけない。 ということで、ついにこの日、畦(あぜ)つけは決行されたのだ。

     朝から快晴。 最悪の畦(あぜ)つけコンディション。 なんで、晴れなのが悪いのかって?
     まず第一に、暑い!(笑)  暑いってだけで体力を消耗しちゃうもん。  本当は曇りくらいが最高。
     第二に今年は水が少ない。 ということは、日が上がってくるとせっかくの田んぼの水も干上がって
     きちゃうわけだ。 前日も思うように水がなかったので、午前中いっぱいは、できるだけ水を入れて、
     午後から畦(あぜ)つけをしようということになった。 その間に、主人が畦(あぜ)の草をもう一度、
     刈っておいた。 そうでないと、畦(あぜ)つけの土が上手く「乗らない」からね。 バンソウコウで
     考えてみて。 汚れたり、ゴミがたくさんついてるところに貼っても、ちゃんとくっつかないで
     すぐにはげちゃうよね? あれと一緒。 草が伸びてると、それだけ畦(あぜ)に土が密着しにくい。
     あとあと、せっかくつけた畦(あぜ)が崩れてしまいやすくなるのよね。

     基本的に、にゃおは畦(あぜ)つけを手伝わない。 主人曰く、「素人にはできない」らしい。
     にゃおも田んぼの中に入るのはイヤだから、うんうん、出来ませんと同意しておく。 それでも
     たった一人で畦(あぜ)つけするのも、辛気臭いし、つまんないだろうからと、一応、にゃおも畦(あぜ)
     までついていく。 ほとんどは話相手になってるようなもんだね。 去年までは子供が小さかったから
     柵付きのベビーベッドに軟禁しておいたり(笑)、 子供に家の中で待ってるようにと言い含めて
     玄関に鍵をして出かけたりしていた。 
     子供ってば、家の中で何時間も一人で本を見たり、つけっぱなしにウロウロしたり、眠くなったら
     勝手にベッドに入って寝たりと、本当におりこうさんなのだ。 まさに農家の子の鑑!!  
     これが「ひっつき虫」型の子供だったら、とてもじゃないけど農作業に出られやしないもんね。
     それでも、子供は寂しいのが当たり前。 それじゃ、待っててねって外に出ようとすると、
     「オシッコ出た(←この頃はまだオムツ)」と言う。 ほんの5分前に取り替えたばかりなのに・・・
     親の気を引こうと無意識の行動に出たんだね。 あの時期が本当に一番かわいそうだったな。
     たった2〜3歳のちっちゃな子が、たいしてぐずって後追いもせずに「早く帰って来てね」と手を
     振る姿なんて涙なしには見られないよ。

     今年は、もう4歳になって保育所にも通い始めてる。 オムツも取れてて、トイレに行きたいと
     行った時に連れて行ってやればいい。 だから、一緒に畦(あぜ)に連れて行くことにした。
     子供は勝手に一人で畦(あぜ)の草を摘んだり、鼻唄を歌ったりと、そこに居るだけで
     にゃおたちを和ませてくれる。 二人っきりよりも、よっぽど場が和むよ。

     主人が田んぼに入って、畦(あぜ)際の土を水と混ぜて練る。 午前中水を入れっぱなしに
     していたけど、所詮、水量が少ないから、思うように練れない。 すくって畦(あぜ)に乗せても
     ホットケーキの「ダマ」のような混ぜきれてない土が出たりして、思うように出来ない。
     段々と日が高くなってくる。 どんどん水が蒸発して干上がってくる。 とうとう、畦(あぜ)際には
     水がほとんどなくなって、練ることすらできなくなってしまった。
     「クソ! 腹が立つ! もう、やめた!!」
     イライラした主人は、畦(あぜ)つけをやめてしまった。 確かにこれじゃ、埒が開かないよね・・・


     翌日20日(日)
     昨日の夜からずっと水を入れていたので、少しは田んぼが潤っていた。
     この時期の朝はすでに4時半過ぎには明るくなってくる。 主人は少しでも水があって
     暑くならないうちにということで、この日、朝5時からの畦(あぜ)つけを開始したのだ。 
     この時間は子供もまだ寝ているし、起きる頃までには、ある程度まで出来ているはずだしね。
     にゃおも支度をして田んぼへ出た。

     昨日よりはマシ・・・という程度だったけど、仕方ない。 主人は田んぼの中に入る。 いくら5月
     だからって言っても早朝の水はやっぱり冷たい。 土をこねては畦(あぜ)の上にすくい上げ、
     あとは左官屋さんが壁塗りをするように土をならしていく。 にゃお家の土畦(あぜ)部分は
     かなりの長さがあるし、ほとんどが中腰だから、ものすごい負担がきちゃう。 時々、腰を伸ばして
     休む間は、ほんのちょっとだけにゃおの出番なのだ。 鍬(すき)で田んぼの土をすくい上げて
     畦(あぜ)に乗せるのだ。 水を含んだ土は重い。 畦(あぜ)にすくい上げるだけでもかなりの
     重労働。 数メートルくらい乗せたら選手交代。 主人がそれを綺麗にならしていく。

     これをしばらく、繰り返したところで、主人の「腹減ったぁ〜」の一言で、またしても中断。
     時刻は6時45分。 確かに、そろそろ子供も起きちゃうかもしれないし、ご飯にしますか・・・

     こうして、結局、そのあと、さらに9時から残りの畦(あぜ)つけをしたのだ。
     それが終わってから、ついでに畑のタマネギの収穫も済ませて、やっと一息ついたのは
     10時45分だった。 あ〜 やれやれだよ。 どうなるかと思ったさ。 今度は「しろかき」だね。
     今年はどうもスタートからつまづいてるし、すんなりとは行きそうにないわねぇ ヽ (´ー`)┌

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