めまい

     しろかきをなんとか終えた日の翌日、主人が帰ってくるなり、「やっとれんな・・・」と愚痴を
     こぼし始めた。 今日、翌月(6月)分の予定表をもらってきたという。 カバンに入ってるから
     出してみろと言われて、取り出した紙を見て、にゃおは、ぎょっとした。
     田植え予定の6月の第1週の日曜日(3日)が当直になっている。 こうなると田植えは前日の
     土曜日にするしかないのかな? すると主人、口の端だけで、ふっ・・・と怪しげな笑みをこぼした。
     「1日(金)は××さんが退職するから、その送別会をやるんだと」
     げげ・・・( ̄□ ̄;)!! 

     主人の職場は家から車で1時間くらいの距離。 職場関係の宴会となると、ほとんどの場合、
     職場付近の料亭みたいな場所でやることが多い。 だけど、アルコールを飲んで車を運転することは
     出来ないから、いつも安いビジネスホテルに泊まることにしていた。 安いっつったって、6000円
     近くはするんだぞ。 しかも宴会となると最低でも4000円くらいの会費を取られる。 おまけに
     それだけで済むことはあり得ない。 2次会も行くとなると、一体どれくらいの金額になるのか?!
     いや、それよりも、宴会だっていう日のさらに一日前の木曜日は日直みたいな当番の日で、
     残業のある日なんだよね。 残業した翌日、普段どおりに出勤して、夜には宴会。 そんな状態で
     次の土曜日に田植えなんかできるんかな? しかも翌日の日曜日はまた当直で泊まり込みの
     仕事ときたもんだ。 死ぬぞ・・・冗談抜きで死ぬぞ?!

     「土曜日は田植えはせん(しない)。 いくら何でも体がもたんわ。 やるなら4日の月曜日に
     当直明けて帰って来てからだな」
     う〜 それで大丈夫なのかな? いつも田植えってのは朝の9時ごろから始めて一日中
     かかるものなんだよ? 当直が明けて、すっ飛んで帰って来ても9時半近い時間になる。
     それから、すぐに取り掛かったとしたって、難しい気がするなぁ。
     「その日は捕植はせんから。 機械で植えるだけにする。 捕植は別の日にするしかないじゃろ」
     あ、なるほどね。 いつもは機械で植えて、さらに歯抜けになった部分を手植えする作業を
     するわけだから、機械で植えるだけにするんだったら、なんとかなるかもね。
     「今回、植えとかんと梅雨に入るけぇのぉ。 苗もこれ以上伸びたら機械で植えられんわ」
     そだね・・・確かにね。 梅雨に入ったら植えられない。 植えたあとに梅雨に入って雨が降る
     ってのが理想的なんだもんね(田んぼに水を入れる仕事をしなくて済むから)。

     相変わらず、にゃお家の田んぼに水を引くための用水路を流れる水の量は異常に少ない。
     田植えまでの数日間、どれくらい田んぼに水を入れておくことができるだろうか。 しろかきを
     した後は液状の除草剤をまいておかないといけない(これは、しろかきの翌日、にゃおがまいて
     おいた)。 まいたあとは、土が水から顔を出さないように水を入れておかないといけないのに
     それすらもままならない。 田植え当日まで、水が保てるかが最大の課題になった。 しかも
     残業だ、宴会だ、当直だと主人が家を空ける日が多いってことは、その間は、にゃお一人で
     水の管理をしなくちゃいけない。 うわ・・・( ̄_ ̄♭)

     こうして、田植えまでの1週間、田んぼにできるだけ水を入れるように苦心したり、モグラの
     被害による水漏れなどを修理しながら、その日を祈るような気持ちで待った。

     そして問題の2001年6月4日(月)  快晴。
     にゃおは、朝5時から田んぼに水を入れ始めた。 水は相変わらず、頼りない程度の量しか
     流れてこない。 本当に田植えができるのかな。 心配で心配でたまらない・・・

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