バッテリートラブル

     畦(あぜ)付けが終わったあと、毎日、お天気が続いた上に、用水路の水が十分あったので
     しろかきに向けた水入れが順調に行われていた。

     5月26日(日)
     『6月の第一週目の土日に田植え』を基本としているにゃお家では、逆算して、それから
     1週間前にしろかきをする。 しろかきをしたあとは雑草を抑える農薬を散布することや
     田植えの時に適度に土が固まっていることが望ましいので、しばらく『ねかせる』必要が
     あるからだ。 田植えもしろかきも主人の仕事の合間を縫って行われるので、今年は
     この日が『しろかき日』となった次第。

     農家によってやり方は違うけど、にゃお家の場合は、しろかきを始める前に『元肥』
     呼ぶものを田んぼに撒く。 にゃお家が使ってるのは粒状の一袋20キロ入りのもの。
     これを、1反8畝の田んぼだと3〜4袋入れるのがいいらしい。 ただし、肥料をたくさん
     やるということは、それだけ稲の育ちがいいということになり、当然、たくさん穂をつける。
     収穫高は上がるけど、台風シーズンになると、それが災いして逆に穂の重みで倒れてしまう
     確率が高くなる。 稲刈りを委託して刈ってもらうにゃお家としては稲を倒してしまうことは
     極力避けなくてはいけないことなんだね。 だって、倒れた稲はコンバインでは簡単に
     刈り取れないもん。 中には性能のいい機械があって倒れた稲すら起こして刈り取る種類の
     ものがあるかもしれないけど、たいていの人が使うのはそんな高性能のものじゃないから、
     倒れた稲は人力で刈り取って、手で差し込んでやるしかない。 もしも稲が倒れたら、
     それはものすごい余分な労力を要するって事になる。 そのためにも主人は肥料の
     加減をして、あまりたくさん実らないように調節するようだ。 今年はいくつ撒くのかってのは、
     まさに主人の胸三寸ひとつってことになる。

     主人がバケツに入れた肥料を裸足で田んぼの中を歩きながら、まんべんなく撒く。
     当たり前だけど、途中で足りなくなるから、にゃおがその辺を予測しながら畦(あぜ)から
     肥料を運んで、なくなったら足す。 9時45分から始めて10時10分には終了。
     さぁ、トラクターの出番!!  ドンガラ、ドンガラとエンジン音を響かせて田んぼまでやってくると、
     主人がせっかくだから、燃料を満タンにしておきたいと言い出し、エンジンを止めて給油することに
     なった。 トラクターは軽油で動く。 あらかじめ買って来ておいた軽油を入れて、改めて
     しろかきに出発!!

     カチッ・・・

     あら?

     カチッ、カチッ・・・

     まさか・・・( ̄_ ̄♭)

     主人:「なんでやぁ〜 バッテリーが上がっとるわぁ、くそっ(恕)」

     え? なんですと? なんでバッテリーが上がってんの? さっきはちゃんとエンジンが
     かかったじゃない。 どうして急に・・・ でも、うぃん・・・とも言わないってことは完全に上がってる
     証拠よね。 考えてみたら、このトラクターを買って7年近く。 一度もバッテリーを替えてない。
     ネットで知り合った農家の方なんかは、使わない時はバッテリーを外して充電しておくと
     言ってたのに、そんなメンテナンスなんてしないで野ざらし雨ざらしだもんね。 ここまで使えて
     たっていう方が奇跡なのかも。

     なんて感慨に浸ってるわけにいかない。 トラクターが動かなきゃ、しろかきが出来ないよ!!
     青くなった主人とにゃお。 急いでトラクターを買った業者のところに電話。 そこは有名な
     農機具販売会社で、機械のメンテナンスもしてくれるからいざって時は頼りになる存在。
     にゃお家の担当の人がすぐに駆けつけてくれてトラクターを診てくれた。

     担当者;「あ、バッテリーじゃね。 上がっとるんよ」
     主人:「困ったのう。 しろかきが出来んじゃ(出来ないじゃないか)」
     担当者:「とりあえず、ブースターで回しておきますけぇ(回しておきますから)」

     担当者の人が手際よく主人の車とトラクターのバッテリーをブースターでつなぐ。
     無事、エンジンはかかった。 最終的にはバッテリーを取り替えるしかないけど今はそんな
     時間はないし、とにかくしろかきをしてしまわないと!!
     担当者の人が帰って行き、主人がトラクターでしろかきをしている間に、にゃおは子供を連れて
     ホームセンターに走った。 にゃおんちにはブースターなんてなかったんだもん。 これがなくちゃ、
     万が一、トラクターが止まったら、もうエンジンをかけるわけにいかないもんね。

     しろかきは約2時間半で終了。 
     これだけトラクターを動かしてれば、いくらか充電できたはず・・・と主人が田んぼから
     トラクターを出し、泥を洗い落とすためにエンジンを止めた。 洗い終わって元の場所に
     仕舞おうということになり、エンジンを回してみるけど、また、うぃん・・・とも言わない。 
     こりゃ、完全にダメですな(~_~;)
     位置的に主人のデカイ普通車が使えなかったから、またしても、にゃおの車を移動させて
     ブースターをつないでエンジンをかけて・・・

     ああ、新しいバッテリーを買ってこなきゃいけないみたい。
     何はともあれ、しろかきが終わってよかったよヽ (´ー`)┌ ふ・・・

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