冬が来る前に・・・

     稲刈りが終わるとホッとする。 全部、刈り取られて、だだっ広くなった田んぼ。
     今までは稲の背丈で見えなかった向こうが見えたりすると、ああ、終わったんだなぁって。
     実際は玄米を米屋に売り渡してからでないと本当に終わりとは言えないんだけどね。

     稲刈りが終わったからといって、仕事がなくなるわけじゃない。 10月はまだまだ暖かくて
     雑草がバンバン伸びる。 田んぼのことをしなくてよくなった分、庭の草取りをサボるわけに
     いかなくなって、なんとなくプレッシャーを感じたりもしちゃう(笑)  それに畑には盆過ぎに
     植えた冬野菜が成長しつつあって、その間の草も取ったりしなくちゃいけない。
     この年も、やっぱり成長が悪くて、何種類ものタネを植えたのに、元気がいいのは
     春菊だけってな有様だった。 他の大根や白菜、ホーレン草が、軒並み、枯れたり溶けたりして
     悲惨な最期を遂げてるのに、何もしない春菊だけが青々と育ってしまっていた。
     春菊って、あんまり料理のレパートリーがないでしょう? 仕方なくスキヤキもどきをした時に、
     たんまりと取ってきて鍋に入れたけど、それでも食べきれなかったなぁ(苦笑)

     11月に入ると注文したタマネギの苗が届く。 届くと言っても園芸店に届くから、そこまで
     取りに行かなくちゃならないんだけどね。 にゃお家では、とりあえず300本の苗を植える。
     畑には『ヨトウ』っていう虫がいて、こいつがタマネギの茎を食いちぎってしまうのだ。
     300本植えても、どんどん被害に遭ってしまって、いつも最終的に収穫できるのは半分くらい。 
     だから最初を多めに植えておくわけだね。
     『ヨトウ』っていうのは、にゃお地域での通称。 『根切り虫』とも言うらしいけど正式名称は
     よくわかんない。 イモムシみたいなヤツで土の中で生息する。 何かの蛾の幼虫なんじゃ
     ないかって主人は言うけど、未だ正体がわからない。 
     コイツは夜に活動するらしく、朝一番にタマネギのところへ行ってポキって茎が折れてるそばを
     わりばしなどで掘ってみると出てくる。 出てきた虫は可哀想だけど川流しの刑。
     確実にやっつけないと、またモゾモゾ戻って来ちゃったりするんだもん(苦笑) 
     日が高くなってからだと地中深くに潜ってしまうのか姿を見つけることができない。 すると
     翌日、隣のタマネギが被害に遭ったりしちゃう。 まったく油断の出来ないやつらだよ。 

     こんな格闘をしつつ、天気が続いた頃を見計らって、田んぼの家に面した側を3メートルくらいの
     幅でトラクターで耕しておく。 地域によっては稲刈りが済んだらすぐに田んぼ全体を
     耕しておく人もいるようだけど、にゃお家ではそれはしない。 このトラクターで田んぼの一部を
     耕しておくのだって、来年のためとかじゃなく、稲刈りあとの田んぼで子供が遊ぶのを
     防止するためなのだ。

     なんだよ、そんなケチなことを言わずに田んぼで遊ばせてやれば?

     そんな声が聞こえてきそう。
     うん、そうなの。 にゃおが子供の頃も稲刈りが済んだ後の田んぼに入ってワラで遊んだり
     かけっこしたりしたもんよ。 今時の子供には安全に遊べる場所も少ないから田んぼで
     遊ぶくらい、いいじゃないって思うよね。
     だけどね、今頃の子供ってタチが悪すぎるんだな。
     ただ入って遊ぶのなら誰も文句を言わない。 でも、今頃の子供たち、大抵、お菓子を携帯してる。
     田んぼの中でお菓子を食べて、そのゴミをそのまま放置したりする。 缶ジュースを飲んだら
     田んぼに缶が投げ捨ててある。 何度かは、ガラスのビンが放置してあった。 それも、
     そのまま放置してあるなら、ちょいっと拾って、まったくもぉ〜 で済むけど、割られてたり
     するんだよね。 割ってあったら危ないじゃん。 何度も書いてるけど、主人は田んぼにはいつも
     裸足で入る。 割れたガラスなんてもってのほか!! おまけに運良く、割れたビンを発見しても
     そのカケラを拾い集めるのはものすごい労力が要るのよ。 
     ということで、トラクターで耕しておく。 こうすると、足を踏み入れても土に埋まっちゃって
     靴がドロドロになっちゃうから入りにくいわけ。 もちろん、それでも入って遊ぶ根性の
     ある子は、もう仕方ないけどね。 子供の声がすると廊下から監視しないといけなかったり
     するから気分的にも疲れちゃうんだな。

     その他の大きな仕事と言うと、夏に剪定した植木を始末する事。
     切ったばかりの枝は、いわゆる生木だから、燃えにくい。 剪定したあとは枝を庭の一箇所に
     集めておく。 数ヶ月放置しておくと水分も少なくなって枯れてくるから、今度は稲刈りの済んだ
     田んぼに運び入れて焼くわけだ。 野焼きって、いろんな空気汚染の関係でしてはいけないことに
     なってるけど、昔からやってることだしなぁ。 どこの農家も自分の畑や田んぼで物を燃やしちゃう。
     純粋に木だけを燃やすんだから、見逃してくれよぉ〜ってな感じ(笑) 
     こうしてさっぱりしたら、あとはひたすら雑草取り。 本格的な冬が来て、さすがの雑草の
     勢いも衰える頃までね。
     そうしたら・・・ しばらくは冬眠なのです(爆)

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