畑異変2

     毎年、お盆を過ぎると、冬野菜の種をまく。
     青首大根、聖護院大根、ほうれん草、春菊、高菜、水菜、金時人参、白菜が定番。
     けれど、1999年の土石流災害以後、どうしても夏野菜が上手く育たないでいた。
     土の質が変わってしまったことも原因だろうけど、一番の理由は気候のように思う。

     主人の主義として、基本的に野菜の種や苗は雨が降りそうな日の前に植え、それ以後、
     よっぽどのことがない限り、水をやったりしない。 近所で畑を作っている人は朝晩と
     こまめに水やりをしているけど、主人はそんなことをすると野菜が『甘える』からダメだという。
     『甘える』というのは、いつも水をやっていると、ちょっとした暑さや日照りに耐えられなくなって
     しまうということなんだそうだ。 自力で発芽して育つ。 これが理想ってわけね。
     だけど、ここ数年の異常な暑さや少雨なんかも影響してるのか、どうも育ちはよくない。 

     今年もお盆が過ぎた8月18日に畑に畝を作って種をまいた。
     その日の夕方か、翌日には雨の予報だったからまいたのだけど、これが見事にハズレて
     数日間、良い天気が続いちゃったのだ。 水をやらない主義だから土はカチカチに
     硬くなって、芽が出ようにも出られないような感じ。 とうとう、まき直すことになってしまった。

     9月にさしかかっていたせいかのか、今度は芽が出た。 今度の心配は虫。
     蝶や蛾が卵を産みけるらしく、何時の間にか、たくさんの毛虫のようなものが葉を食い
     荒らしてしまう。 そんな虫なら農薬をまくとか、手を打てば退治できるけど、テントウムシの
     ような形でオレンジ色をした虫が飛んできて葉を食い荒らすのは止めようがない
     市場に出荷しているわけでもなく、基本的に趣味の畑だから、ネットをかけるまでして
     やろうという気もないわけで、結局、4つ葉程度を過ぎる頃までに、ほとんどが食われ
     枯れてしまう有様になった。

     残暑が厳しい年だったせいもあって、今ならまだ大丈夫かも・・・と3度目の種をまく。
     今度は少し『甘やかして』朝晩に水をやってみることになった。 そのおかげか、芽が出て
     くれたけど、秋の長雨ならぬ、秋の豪雨で畑が水びたしになり、その後、腐ってしまったのか
     みんなきれいに溶けてなくなってしまった。

     すぐそばの休耕田を使った畑では、いろんな野菜が所狭しとできている。
     にゃお家の畑は野菜らしきものは何一つなくて、雑草ばかりが目につく。
     結婚して数年は、それこそ、畑一面に大根が育ち、白菜が大きく巻いて育ち、ほうれん草だって
     毎日食べきれないほどにできていたのに。

     あの風景はどこへ行ってしまったんだろう。

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