仁義なき戦い1

     普通、田植えのためにしろかきを済ませたあとの田んぼには常に水を入れておく。
     水が入れてあると基本的にモグラは穴を開けたりしない。 なぜって、畦(あぜ)際にも
     水があって、それが土に染み込むから練りつけた土畦(あぜ)が常に湿って掘りにくいもんね。
     だから、しろかきをして田植えをするまでの間に穴が開かないようなら、しばらく安心してても
     大丈夫なハズだったのよ。

     と・こ・ろ・が!!
     田植えをして、次の日に手植えでの補植をした、その翌日。
     水を入れながら田んぼの見回りをしてると、畦(あぜ)の一箇所にモコモコがあるのを発見!!
     ひぃぃぃ〜〜〜 これは、間違いなくモグラの形跡!! あのやろー これだけ土が湿ってるのに
     根性で掘ったな。 それも畦(あぜ)際だと水があって穴に浸水するもんだから、針路変更して
     上の方に開けたんだ。 おかげで水漏れはしてなかったけど、油断ができなくなったぞ。

     そんな心配をしつつ、10日近く、毎日、水を入れる日が続き、その間に追加肥料を撒いたり
     除草剤を撒いたりと順調な時が流れた。 さすがに毎日、水を入れてるんじゃ、モグラも
     穴を掘れないわよねぇ(≧∇≦)にゃっはっは♪  なぁんて思ってたのだけど、その油断を
     あざ笑うかのように、突然、大規模な水漏れが起こっちゃったのだった。
     場所はにゃお家から一番遠い側にあるコンクリート畦(あぜ)の角あたり。 その石垣の
     中ほどから水が噴き出しているのだ。
     ぬぉぉぉ〜〜〜 なんちゅうこっちゃぁぁぁぁ〜〜〜 なんで水が漏るのじゃぁぁぁぁ〜〜〜

     モグラの穴が開いていない正常な土の場合、水が入って湿っていれば、モグラは穴を開けない。
     ところが、もともとトラクターでも耕しきれないくらい深い場所に始めからモグラの穴があると
     水が入ることで逆にその穴の天井が水分を吸った土の重さに耐え切れなくなって、ある日
     突然、抜けちゃう
んだって。 それで今回みたいな水漏れになるわけだ。 こういうのって
     一番厄介なんだよね。 だって、下の方へ染み込んだ水が噴き出してるとしたら、どこに
     穴が開いてるのか特定することが難しいんだもん。 土の表面に穴が開いてるなら
     そこに水が吸い込まれるようにして渦を巻くからわかりやすい。 でも今回のような場合、
     水面は何事もないかのように穏やかだから、どこをどうしたら水が止まるのか見当がつかない。
     大体、このあたりには何年も前からモグラの通路が完備されてるらしく、毎年、同じような
     場所がモコモコしてたり、穴が開いたりしてたから、それを目安にするしかない。 この辺かなと
     思う場所を足で踏んでみる。 あちこちを踏み続けていると、漏れていた水が濁った。
     これは、泥が混じるせい。 ということは、にゃおが踏んだ効果が出始めてるわけだ。
     さらに踏むと、だんだんと水量が減ってきた。 もう少し。 もう少し・・・

     ようやく水が止まる。  ふぅ〜  もう、汗だくだくだよ(~_~;)
     ひとまずはよかったけど、こりゃ、また開くな。

     この、にゃおのありがたくないカンはバッチリ当たり、翌日も同じところから水漏れした。
     他の場所にも穴はたくさん開いたけど、この年、この場所の水漏れに泣かされっぱなしに
     なることになった。 モグラとの仁義なき戦いは始まったばかりなのだった。

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