石垣修理 １
にゃおんちの田んぼは、いわゆる棚田だ。 段々畑みたいって言えばイメージしやすいかな。
だから、自分ちの上にも他所のお宅の田んぼがあって、１メートル近い石垣が積んである。
その石垣が長年にわたる地震や、地盤の緩みなどで、ところどころガタガタになっていた。
田植えをする時は、まず石垣に沿って植え始めるのだけど、ガタガタになった石垣に沿って
植えてると、当然ながら苗の列もガタガタになる。 次々と植えた列に習って植えていくから
結局、みんなウネウネと捻じ曲がった形になってしまうのだ。 途中で田植え機を微妙に操作して
まっすぐになるように頑張るんだけど、なかなか上手く行かない。 そこで去年の稲刈り後から
何か所か、石垣を崩して石を組み直すという修理をしていた。 ところが、主人がどうしても
もう一箇所、あまりにひどく歪んだ石垣を直したいと言い出した。 え〜 この前も溝掘りをするって
言いながら、畦（あぜ）の修理という横道にそれちゃったから、今日こそはって言ってたのになぁ(-_-ﾒ)
直したいのは一番下の基底石がポッコリと飛び出している部分。 飛び出した部分に足をかけて
上にあがれちゃうくらいだから、相当、歪んでることになる。 石垣を積む時に、そんなデコボコに
積んだりしないからね。 その石垣は上の田んぼの持ち主のものだから、本来なら、上の
田んぼの持ち主が直すべきなんだけど、もう何年も休耕田になって放ってあるし、修理を頼んでも
すぐにやってくれないと、こっちの田んぼ作りに影響してくる。 そこで、もう勝手に直しちゃおうって
ことになったわけだ。
だけど、石垣は大きな石が何個も積み重ねられているし、ちょっとやそっとじゃ崩れないように
お互いが「噛み合うように」組まれている。 土畦（あぜ）の部分を崩したあと、直したい石まで
順番に取り除いて行かないといけないのだけど、「噛んでる」せいで、取り除く石は広範囲に
なっちゃうのだ。 物っていうのは、下ろすのは比較的に簡単にできるけど、上げるってのは
とっても労力を要する。 しかも石垣を崩したり、直す段階でかなり疲労してるはずなので
そのあとで重い石を持ち上げるのは辛い。 だから、始めから、できるだけ、取り除いた石は
畦（あぜ）の上にあげて置くようにするのがポイントらしい。
主人がスコップで土を取り除きながら、石をどけていく。 にゃおは田んぼの上から渡された
石を順番に並べて置く。 こうして、あとで石を積む時は、この逆に置いていけば、ある程度
積みやすいって計算になるんだね（あくまでも計算上だけの話なんだけど）。
問題の基底石のところになった。 基底部分に敷く石はそうでなくても大きい。 これだって
とてもじゃないけど持ち上がるわけはないし、押したくらいじゃビクともしない。 そこで
バールで、テコの原理を応用しながら直すのだ。 「こねる」ための石をひとつ用意して
それを支点にして、直したい石を少しずつ浮かせて奥の方へずらす。 最初はなかなか
動かなかった石も、何度も「こねる」うちに、ほんの少しずつ動き始めた。 数センチくらい
入れたところで、今度は同じように捨石を当てて、ハンマーのようなもので叩いて押し込む。
捨石を当てるのは、直接、石をハンマーで叩いたら割れちゃうから。
こうして、基底石が、ほぼ元の位置まで動いたら、今度は再び、石を積んでいくわけだ。
崩したものを同じように積めばいいと思ったら大間違い。
一度、崩すと、その間に挟まってた土が取れたりして、なかなか上手く収まらない。
この石とこの石を組ませて・・・ いや、これだと隙間が開きすぎるからこっちの石と・・・ なんて、
まるでパズルをやってるみたいなんだよね。 なんとか形が収まったら土を戻して終了。
朝早くから田んぼに出たのに午前中がこれだけで終わっちゃったよ（苦笑）
そんな苦労の結果は？
横から見ると、完全にまっすぐにはなってないけど、最初に比べたらでっぱりが少なくなってる。
これならいいんじゃないの？
午後からは、やっと溝掘りに着手。 にゃおひとりで溝を掘る間に主人はトラクターで簡単に
田んぼの回りだけを耕しておく。
ああ、重い石を上げ下げしたり、スコップで土を掘ったり・・・
明日は絶対、筋肉痛になるぞぉ(~_~;)
余談だけど、この日は２００３年３月２０日（木）。 お昼を食べに家に入ってテレビをつけると
アメリカがイラクに攻撃をしかけたとの速報が流れていた。 田んぼでのんきに石垣を直して
いる間に、遠い海の向こうでは戦争が起こっている。
なんだか、やりきれない・・・
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