ここ掘れニャンニャン

     秋に剪定した木切れや葉っぱが十分枯れているので、それらを集めて畑に埋め込んで
     おくことになった。 こういったやつは腐葉土になって畑を肥やしてくれるんだね。
     主人が畑に大きな穴を掘って、そこへ、にゃおがどんどん木切れや葉っぱを運び入れる。

     ガチッ!!と鈍い音がして、主人の「クソッ!!」という声が聞こえた。
     あ〜あ。 またか・・・
     鈍い音の正体は。 にゃおんちの畑の前の里道(りどう・・・舗装してない、歩く人専用の
     小道みたいなもの)は、にゃおが結婚する、はるか昔に用水路を整備するのに伴って
     一緒に工事されたのだけど、その時の業者がいい加減で、里道と畑を分離するために
     高さ十数センチのコンクリート壁を作った時、工事で余ったバラス(下地用に敷き詰める
     目的で使われる石。 用途に合わせて砂利のようなものから握りこぶし大のものまで
     さまざまな大きさがある)を、あろうことか、にゃお家の畑側の土の底に埋めちゃったのだ
     畑ってのは、基本的にサラサラの砂地のようでないと上手く作物が根を伸ばせない。 だから、
     農家の人はしょっちゅう、雑草を取ったり、畑を耕して土を柔らかくしてるってのに、そこに石を
     埋めるなんてもってのほか。 しかも、地中1メートル以上の深さに埋めたならまだしも、
     地面からほんの50センチ足らずのところに入れてあるものだから、ちょっとスコップで掘ったり、
     トラクターで耕すと、ゴロゴロと出てくるのだ。

     工事をしていた当時、主人の両親はすでに他界していて、家には主人ひとり。 しかも
     日中は仕事に出てて、どんな工事がされているのか確認することが出来なかったから、
     業者のやりたい放題になってしまったらしい。 あの時、ちゃんと工事を見ていたら
     こんなことにはならなかったのに・・・というのが、石を掘り当てた時に必ず主人がこぼす台詞だ。

     今回も、ちょっと深くスコップをさすだけで、ゴロゴロと石が出てきた。

     主人:「こりゃあ、まず石を取らんと、どうにもならんで」

     ですな・・・(-_-メ)  穴はまだ、30センチ程度の深さしかないし、これじゃ、とてもじゃないけど
     木切れをみんな埋められないもん。 それにこの先、トラクターで耕した時にも刃に当たって
     傷めるもんね。 
     ということで、急きょ、石掘りタイムに変更!!
     主人がスコップでざくっと土を掘る。 そこから出てきた石を取り出してバケツに入れる。
     石はあとで川に捨てればいいんだって。 コンクリートとか屋根瓦とか人工のものじゃないから
     大丈夫なんだとか。 ま、考えたらそうよね。

     それにしても、出るわ、出るわ。 
     すぐにバケツが一杯になっちゃった。 一杯になったバケツは県道を越えた向こうの大川へ投棄。
     そして、また石をバケツに入れる。 一杯になったら捨てに行く。 この繰り返し。
     あのさ、農家で使うバケツだから、そんなにちっちゃなものじゃないよ? そのバケツに
     石が何杯もってどう思います? 2メートルくらいの範囲で4〜5回はバケツを捨てに行ったぞ。
     たかが50センチくらいの深さとは言っても、手を伸ばして石を拾おうとすると結構な労力が要る。
     腰も足も痛くなってきたし、重いバケツを持って歩くから腕や肩も痛いよ(T_T)

     主人:「もう、キリがないからやめた!!」

     いつまでも石がなくなる気配がなくて、とうとう主人のシビレもキレた。
     石取りは今日が初めてじゃない。 工事があったって時から15年以上の月日が流れてるし
     その間に主人が畑仕事をするたびに拾ったりしてたはず。 結婚してからでも何回か、
     こうやって石を掘り出してる。 それでもまだ出てくるって、どれくらいの石が埋められてたんだろう。
     これだけの石の量だったら、うちの庭に廃棄しないで、持って帰った方がよかったんじゃないの?
     愚痴ってみても始まらない。 ひたすら取るしかないんだよね。
     畑から石がなくなるのは、いつのことになるんでしょうな(~_~;)

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