絶不調

     『暑さ 寒さも 彼岸まで』という言葉があるけれど、お盆を過ぎると、それまで猛暑ばかりだった
     気温が少しずつ下がり始める。 夜も涼風が立つことがあって眠りやすくなる。

     季節の変わり目・・・というか、朝晩の気温の差が大きくなってきたりすると、にゃおは
     とたんに体調を崩す。 子供と一緒で体温調節がヘタクソなのかもしれない。
     今年も、8月の終わり頃に、調子が悪くなった。
     にゃおの場合、大抵、最初はノドに来る。 ノドが痛くなって、それから鼻に来る。 この時、
     寒気がして来て、体の節々が痛むと熱が出る確率が高い。
     このパターンが大体わかっているから、自分でも気をつけるようにしているのだけど
     それでも、やっぱり風邪を引いてしまう。

     最初に、いきなり38度を越す熱が出た。
     それは2日ほどで下がったのだけど、その後が、なかなかすっきり治らなかった。
     鼻水やノドの痛みとかがあって、最後に咳が出て終わりというのが、いつものパターン。
     だから咳が出始めると、「ああ、そろそろ治るんだな」と目安に出来てたのに、今回は
     いつまでも咳が止まらなかった。 そのうちに、ノドの痛いのがぶり返したり、鼻水が出るように
     なったり、また寒気がして、熱を測ると37度ちょっとの微熱が出たりした。
     用心して、薬も飲んだり、できるだけ休んだりするのだけど、すっきりしない。
     微熱があっても、農作業には出かけなくてはいけない。 9月の陽射しはまだ厳しくて、微熱
     程度でも体はかなり辛かった。 

     にゃおは、病院が嫌いなので、なかなか足が向かない。 少々の事は市販の風邪薬で
     しのいだり、時間が治してくれるのを待つのだけど、今回はそうも行かなくなった。
     咳はずっと出るし、微熱が出たり、平熱に下がったりが1ヶ月近く続いたのだった。
     そして、その咳も、夜に眠れないほど出たり、咳のせいで、吐き気を催したり。
     咳が出ないよう、ゆっくり浅く息をしていても、ヒューゼイ、ヒューゼイという音が聞こえてくる。

     これは・・・?

     にゃおは、小さい頃、喘息持ちだった。 自分ではほとんど記憶がないのだけど、夜に
     眠れなくて大変だったみたいだ。 どんな治療を受けていたのかも覚えてないけど、小学校を
     卒業する頃には治っていた。 それから、喘息の気配なんて全くと言っていいほど出なかったのに。
     もしかしたら、年齢を重ねてきて、また、喘息が出始めたのだろうか?

     とうとう、にゃおは腰をあげて、内科を受診した。
     本当は、「かかりつけの医者」を決めていた方がいいのだろうけど、滅多に病院に行かないし
     結婚して来た新しい土地だし、近所に友達もいないしで、どこの病院がいいかわからなかった。
     インフルエンザの予防接種を受けた個人医院は、なんとなく、「かかりつけ」として、診てもらう
     には、ためらいがあった。 家のすぐそばにある大きな病院にも一度、行ってみたけど、患者は
     誰もいなくて、先生なんて、にゃおが診察室に入ってから放送で呼ばれて、どこからか来るような
     感じで、とても不安を覚えた。
     結局、にゃおや子供がかつて、お世話になった眼科が入っているビルにある内科に行って
     みることにした。 ここは通称「病院ビル」で、いろんな病院がテナントとして入っているのだ。

     先生に症状を説明して診察してもらい、とりあえず、風邪薬と、気管支拡張テープ(ホクナリン)
     処方してもらった。 子供が肺炎で入院した時にも病院内で処方されたテープだ。 
     けれど、1週間経っても、症状はちっともよくならなかった。 テープも、背中や腕や胸など
     いろんなところに貼ってみたけど、効果があるようには思えなく、相変わらず咳で眠れない
     日が続いた。

     その後、微熱が出る事はなくなったものの、咳が止まらないので、吸引式の気管支拡張剤
     処方してもらった。 よくテレビのドラマなどの中で、喘息患者の役の人が発作(咳などで
     呼吸が困難になる)を起こした時にシュっとやってるやつだった。

     不思議な事に、スプレー式のものをもらってから、少しずつ症状が落ち着き始めた。
     スプレーは多用すると、あまりよくないという話を聞いていたので、少々、苦しくても使わないように
     心がけた。 そうこうしているうちに、やっと夜も眠れる時間が増えて、意識しないうちに、
     ついに長かった体調不良の時期が過ぎて行った。 気がついたら、もうすぐ11月になろうとしていた。

     この間、農作業をしても、自分のペースでする時はいいけれど、主人と一緒で、あれこれ
     指図されて動くと、咳が出て止まらなくなり、ヒューゼイと胸が鳴った。 主人としては
     にゃおの体調不良なんてお構いなしだから、腹が立つやら苦しいやら・・・

     これからは、無理をしないように、できるだけ風邪を引かないように気をつけなくちゃ。
     風邪を引くと、それだけ喘息が出る可能性も高くなるもんね。

     あ〜あ. もう、若くはないのねン・・・(T_T)

                   目次へ     次へ     HOME