稲刈り

     にゃお地域の稲刈りは10月ごろから始まる。  
     にゃお実家方面では大体が9月の23日あたりに刈り始めて10月上旬にはほとんどの
     田んぼで稲刈りが終わっている。  田植えがにゃお地域より1ヶ月近く早いから当たり前と
     いえば当たり前なんだけど。
     にゃお家でもその昔、まだ主人の両親が健在だったころは、稲刈りから脱穀・乾燥とすべてを
     自分の家でしていたんだって。 でも相次いで両親が他界し、主人ひとりになってしまったら
     それはとても難しい。 おまけに昼間は仕事に出てたしね。 それでもまだ親戚のおじさんが
     健在だったからそこからコンバインを借りて、そのおじさん宅で脱穀・乾燥をして玄米に
     してたんだそうだ。 ところがこの頼みの綱のおじさんがなんとにゃおが結婚してすぐにガンで
     倒れてまもなく亡くなってしまったんだよ。 いきなりにゃお、ピンチになってしまった。
     にゃお家にはトラクターはおろか、稲刈りに必要な機械はなにもなかったし、あっても
     使い物になりそうもない古い埃まみれの脱穀機とおぼしき物体が納屋で埃を被ってるだけ。
     いったいどうするってんだい?

     田植え機やトラクターを買った時に、にゃおはそのことについてメーカーの人に相談した。
     そこでは単に機械を売るだけじゃなくて、農協並にいろんな面倒も見てくれるらしくて
     にゃお家担当の人が、他の農業やってて機械一式を持ってる人に稲刈りを委託して
     もらえないか聞いてくれることになったんだ。 もっと農家が多い地方になると
     農協がそういう自力で稲刈りをすることが難しい農家のために請負をしてくれたりするけど
     にゃお地域には中途半端な都会。 農家の数も少ないから農協もそこまで面倒見てくれないんだ。
     かくして、メーカーの人の計らいで、なんとか稲刈りから玄米までの行程を請け負ってくれる人が
     見つかった。 これで安心してお米が作れるね。 ほ・・・

     さて、10月に入り、いよいよ稲刈りシーズン到来となる。  稲を刈るにはいくつかの条件が
     いるみたいだ。 一番大事な条件はある程度お天気が続いていること。 雨が降ったばかりだと
     地面がぬかるんで機械が入らないし、入ったとしてもぬかるみに足を取られて動けなくなる。
     稲が濡れててもきちんと機械を通らない。 コンバインってのは刈った稲の穂をしごくようにして
     実だけを袋に詰めて、その他の茎部分は細切れにして排出しちゃう。 そのわらくずが濡れてると
     機械にまとわりついて大変になっちゃうもんね。

     稲刈り当日、コンバインをメーカーの人が大きなトラックで運んでくれた。 そのあとで
     請け負ってくれる人が奥さんを伴って登場。 稲が朝露で濡れてたらある程度乾くまで待つ。
     そしていよいよ稲刈りが始まる。 機械で刈るって行っても田んぼへの入り口や角の
     方はあらかじめ手で刈っておくんだよ。 そこだけは機械じゃ刈れないもんね。
     これは主に請負人の奥さんや、にゃおの主人の仕事。  にゃおに出る幕はないんだよね。
     せいぜいおやつを用意するくらいなんだ。  そして機械が動き出すと、みるみる稲が刈り取られて
     行く。 広〜い田んぼが半日ばかりで丸坊主。 稲の高さにさえぎられてた向こうの景色も
     見えてくる。 田んぼのあちこちに、お米でいっぱいになった袋が置いてある。 あとで軽トラックで
     回収して回るんだよ。 こうして田んぼはつんつるつんになっちゃった。  
     さっそくハトがやってきて刈り取る時にこぼれたお米をついばんでる。  ふぁ〜 済んだね〜
    一安心だよね〜(^ ^;   にゃおの胸に田んぼ一年生のさまざまな思い出が蘇る。

                    でも・・・これが毎年づづくのね・・・(T_T)

                目次へ     次へ     HOME