お米屋さん

     さて、稲刈りされたお米は、委託した農家の人のお宅で籾摺りや乾燥をしてもらい、玄米という
     形になってにゃおの家に戻ってくる。  にゃお家の田んぼは約1反8畝。 よくわかんないけど
     18アールくらいの計算になるんだって。 単位が苦手のにゃおにはどちらも広さがピンとこない。 
     坪で言ってくれると実感あるけど。 それはともかく・・・
     1反8畝の田んぼではごく普通にお米が実った場合、玄米の状態で平均30袋取れるらしい。
     豊作の時は36袋もあったことがあるんだって。 でも逆に天候が悪かったり虫に祟られたりして
     出来が悪いと20袋足らずなんていうこともある。 どんな年でもいつもやることはいっしょだし、
     むしろ天候が悪かったり虫の被害が多かったりするほど仕事は増えるのに、それに反比例
     するようにお米の袋が少ないというのはかなり落胆を誘うものでもあるんだよね。

     ともあれ、一袋30キロの重さに計られた玄米の袋がにゃお家に到着して、一時保管場所に
     なっている部屋に運び込まれると、ああ、今年の田んぼは終わったんだなぁ〜っていう
     実感が湧いてくる。 これで来年までは毎日の水の見回りなんかとおさらばだ。 モグラの
     トンネルなんてもうどうでもいいや・・・終わった終わった♪

     残りの問題はどど〜んと部屋を占領しているこのお米の袋の行方だ。
     普通の農家は農協(JA)に供出(出荷)という形を取る。 でもこれには事前に農協に
     今年は何袋くらい供出しますからっていう予約を出さないといけない。 近年はお米の
     自主流通が認められてきたこともあって、お米屋さんや、消費者にじかに売る農家も
     多いらしい。 かくゆう、にゃお家では、自主流通米が認められるずっと前から、農協ではなく、
     とあるお米屋さんにじかに売ってきたらしい。 そこで玄米の袋がやってくると、そこへ電話して
     引き取りに来てもらうのだ。 この時もちろん自分ちで消費する分は取っておいて残りをね。

     ところがにゃおは、自分がお米を売るという立場になって初めて不思議なことに気がついたのだ。
     最初、にゃお家で作っていた銘柄は「A」というもの。 ところが・・・スーパーに行っても
     お米屋さんに行っても、この「A」という銘柄のお米は売ってないのだ。 作って供出している限り
     その銘柄のお米は存在する。 にもかかわらず、その銘柄のお米が流通してないのはナゼ???
     そして確実に存在するその「A」という銘柄のお米はどこへ消えるのだ???

     二つの説がある。 ひとつは牛やブタといった畜産動物の飼料とされているということ。
     これだと確かに人間の口に入らず、店にも並んでない理由もわかる。
     二つ目は・・・考えたくないことだけど、他の米に混ぜられて密かに流通しているということなのだ。

     けれどこの疑惑を決定付けるある報道番組がテレビで放送された。
     それは「あなたの食べているお米は本物ですか?」みたいな番組。 ちまたで一番人気の
     お米の銘柄は「コシヒカリ」。 だけどコシヒカリは全国で作られている。 だから同じコシヒカリでも
     いわゆるいろんな地域のコシヒカリのブレンド米だと考えていい。 それならまだしも、詳しい検査を
     してみると、とある超有名なブランドのお米だと銘打って売ってある無作為に選ばれた
     販売会社のお米のうち実に80%が、コシヒカリ以外のお米とのブレンド米だったのだ。
     しかもさらにその中の一割にはなんと外国米が混ぜられていたという。 一般の素人が見た
     だけじゃ見分けがつかないくらいよく似たお米の形をしているのだ。 それを知らないで、
     美味しいと言って食べてる国民って丸っきりのピエロ。 事情通の人が言うには、ブランド米が
     10キロ3000円以下で売られている時はそれはニセブランド米だと考えていいとのこと。 
     本当の純粋なブランド米はそんな値段では手に入らないのが常識なんだそうだ。

     あなたはどんなお米を食べていますか? ブランド米ですか? そのお米は美味しいですか?
     どんなお米も誰かが汗水たらして作ったものです。 どうか、銘柄で優劣を決めないでください。
     あなたの舌で確かめて美味しいものを選んでください。 減反を迫られながらも細々と
     お米を作りつづける農家のために。 そしてなによりあなたのために・・・

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