草むしり

     兼業農家なんてやってるから、それなりに家が広い。 ってことは当然庭も広い。
     主人は仕事が忙しくて家のことなんてやってる暇がなかった。
     さて、この図式が示すものは? 正解、庭は草だらけってことね。
     家の裏なんか膝丈くらいに草が伸びてて、本当に人が住んでるんかいなと思うくらい。
     結婚して、早速しなければならないのは家の中の掃除とこの草むしりだった。
     昔からのことわざ?に「おとこやもめにウジがわく」ってのがある。
     要は男の一人暮らしの家は荒れ放題、汚れ放題だってなことなんだけど、それを地でいってるよ。

     ジャージに着替えて日焼け止め塗って(4月の紫外線をあなどってはいけないのだ)首にタオルを巻き、
     麦藁帽子をかぶる。 もちろん軍手を忘れちゃいけない。 およそ新妻の格好じゃないやね。
     それではいざ出陣! しかし・・・ なかなか進まない。 取っても取っても少しも減ってない気がするなぁ。
     ああ、いけないわ。 後ろを振り向いちゃ。 前だけを見つめて生きてゆくのよ。
     ぶつぶつと独りごとを言って自分を励ましながら、連日同じ作業が続く。 おっと勘違いしないでね。 
     連日やっても終わらないくらい広い庭なんじゃないよ。 他にもやることがあるからそれで時間が
     かかるだけ。 でも、どれだけ草だらけかってことは想像つくんじゃないかな?
     さて、一週間くらいすると、およそなんとか格好がつきはじめた。 草を取ってきれいになったわねって
     言ってもらえるくらいにね。 にゃおの努力は報われたのよ。 がんばったわ。 
     自分で自分を誉めてやりたいってマラソンの有森選手も言ってたけど、それって本当よ。 
     これでしばらく草むしりとはお別れね・・・

     そう、お別れだと思ってた。 あれだけがんばったんだから。 
     でも忘れてた。 今は4月。 春を待ちわび、長い冬を耐え忍んできた草木の生命力の強さを・・・
     にゃおが草取りを最初にはじめたあたりには、一面に雑草の新芽が吹き出ていた・・・
     これって、エンドレスじゃん。 ガクッ!

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