しろかき

    「しろかき」ってなんのことだかわかるかな? 田んぼを見かけたことがあれば想像つくと思うんだけど、
    稲を植える前の泥水みたいな状態にすることを指すのね。 このしろかきも地域やその人のやり方
    とかがあって、これ!っていうマニュアルはないみたい。 にゃおの家は3月くらいになるまでは
    田んぼは秋に刈り取ったまんま。 その後はじめて田んぼを耕すんだけど、実家の方では刈り取って
    しばらくしたら、一回耕す人もいる。 寒いと稲の株がちゃんと腐らないから土に入れ込んで
    腐りやすくするんだね。 にゃおの家では5月の最終週か6月の最初の週あたりに田植えをするので、
    逆算すると「しろかき」は5月半ばになる。 しろかきをしてもすぐには植えないほうがいいんだって。
    一週間くらいねかせると田んぼの状態がいいかんじになるらしい。 そのためには、まずトラクターで
    田んぼの荒おこしをする。 こうしてひと冬で硬くなった土に空気を入れるの。 それからしばらくして
    また耕す。 今度は丁寧に、土の中に生えた雑草や株を入れ込むように。
    さて、それが済むといよいよ水入れ。 田んぼに水を入れると「ああ、またモグラとの戦いの火蓋が
    切って落とされたのね」とため息が出ちゃう。 このモグラとの壮絶な?戦いはまた別に書きたいと
    思うので今は深くは触れないけど・・・ 水を入れるとモグラの開けた穴とかから水が漏れ出すから
    それを一応修理しておく。 本格的なのはこのあとだから。 さて、何日か経って水を入れた田んぼの
    土がやわらかくなったころ、いよいよ「しろかき」だ。 土を粉々にしてやわらかく水になじませる。 
    う〜ん・・・ホットケーキを作る時に粉が「だま」にならないように丁寧にかき混ぜてつぶして
    トロトロにするでしょ? あれと一緒だね。 でもこれが相当難しいらしい。 なにせ、ただトロトロに
    すればいいってもんじゃなくて、田んぼの泥が平均の厚さにならないといけない。 ケーキを焼く時に型に
    入れて平衡になるようにならすじゃない? 広い田んぼをトラクターでするってんだからそりゃあ、大変。
    にゃおは見てるだけだから実感としてはないけれど、半日以上はトラクターで田んぼの中を行ったり
    来たり。 おまけにあとあと水を入れた時にすばやく水が田んぼの隅々にまで行き渡るように
    筋道までつけなきゃいけないんだから。 それが終わるとにゃおの出番。 にゃおはここまでの作業には
    何の役にも立たないからね。 終わった後のトラクターの泥を流し落とすのよ。 おおっと、バカにしちゃ
    いけないよ。 これも結構大変。 すばやく落とさないと泥が乾いて落ちなくなるし、細かいところまで
    なかなか落ちないし・・・ 「しろかき」が終わったぁ〜と安心は禁物。 先にも触れたけど、
    土がやわらかくなる事によって、モグラの穴がまた開く可能性があるんだね。 今度は大変だよ。 
    なにせ土はドロドロ。 穴が開こうものならドォ〜っと流れ込んであっという間に大きな穴になる。
    そうなる前に修理しなきゃいけないから気を抜けない。 ここで踏ん張ると、しばらくはモグラに穴を
    開けられる心配がなくなるんだ。 だって、田んぼに水が張ってある間は穴を開ける事が出来ないでしょ?
    さて、最後の仕上げ。 除草剤を田んぼに振り入れてねかす。 これで初めて「しろかき」が
    全工程終了となる。
    あとはいよいよ田植えなのだ!!

            目次へ     次へ     HOME