水加減はいかがでしょ?

     田んぼに苗が植わってしまえば一応は安心なんだけど、モグラとの戦いの次に厄介なのは
     「水加減」なんだよね。 田んぼに水を入れる(水をあてるとも表現するらしい)のって
     簡単なようで奥が深いのよ。 にゃおを含めて農業をよく知らない人は田んぼには
     水が入ってればいいって思っちゃうでしょ? そうでもないみたいなのよねぇ。
     基本的には田んぼには水が必要なの。 でもいつもいつも水があると、稲の株が
     根元まで太陽にさらされないから、ちゃんと成長しないの。 朝顔みたいな植物だって
     人間だって、お日様に当たらないとモヤシみたいに成長しちゃうでしょ? あれと同じ。
     植えた時は一本か二本だった苗は分決(株分かれ)を繰り返して片手では指がくっつかない
     くらいの太さまで成長するものらしい。 だけどそれにはお日様に根元まで当てて
     日光消毒しつつ鍛えてやらないとだめなんだって。 それから水が入りっぱなしだと
     土もいつまでも柔らかくて、そのうち地中にガス(どこからか入り込んだ空気)が溜まっちゃう
     それでそのガス抜きも兼ねて田んぼに水を入れない時期を作るのよ。
     こうするとやがて水が干上がって地面は乾き、根元まで日にさらされた稲は元気になる。
     もっと地面が乾くとひび割れが始まって、そこから地中に溜まったガスが抜けるのね。
     これで土もしっかりと下の方から締まってくる。 つまり丈夫な土になるわけなの。
     それに真夏の暑い時期、確かに稲も水が欲しいけど、いつも水があるとムンムン蒸れ蒸れしちゃう。
     これは今度は虫とかが発生しやすい条件になるんだよね。 だからその予防も兼ねてるわけなの。

     でも水加減はこれだけじゃない。
     例えば週間天気予報で今日はいい天気だけど明日は雨が降るらしいとするでしょ?
     もし、明日の雨の予想が大雨ならいくらいい天気で田んぼに水がなくても入れないの。 
     だって大雨が降るのに田んぼに水が満水状態に入ってたら溢れてしまうでしょ? 
     だからわざと入れないでおく。 そうすると多少の雨が降っても最初は地面が雨を吸収するし、
     吸収しきれなくなってもまだしばらく田んぼの畦(あぜ)を越すまで余裕があるからあんまり
     心配が要らないんだね。 だからいつも天気予報には敏感。 何時頃どんな天気になるとか
     どのくらいの雨量が予想されるかっていう情報は逃さないようにしてるのよ。 
     にゃおにはまだ無理だけど主人は天気図も読めるから、前線がこのあたりでこのままだと
     雨が降るとかって予想もつくらしい。

     それから農薬などを散布するときも水加減は大事。 
     田んぼの中に入って散布するんだから、中がぐちょぐちょで軟らかいと上手く歩けない。
     だから何時頃に農薬を散布するって予定を立てたらそれから逆算して水を入れるのを
     やめたりするんだね。 散布する日にはちょうど歩きやすいくらいの硬さになるように調節するわけ。

     その他にも、稲にも伸び盛りの時とちょっと休止状態の時とがあるから、成長著しい時は
     しっかり水をやって、そうでない時は控えめにっていうのもあるらしい。 これは稲を見てると
     葉の色艶でわかるんだって。 言われてみればなるほどって思うけど、なかなか自分だけじゃ
     わかんないんだよね。 こうやってみると本当に田んぼって複雑。 人によってやり方が違うから
     今まで書いたことはどの田んぼにも当てはまることじゃないけど、きっと基本は同じなんじゃないかな? 
     にゃおがまだ独身だった頃、近所に住んでた伯母が田んぼの水を見に行くって
     しょっちゅう言ってたけど、今になって初めてその苦労がわかる気がするよ。 自分が体験しないと
     こればっかりは絶対わかんないよね。 そういう意味では貴重な体験をしてるんだなぁ。  
     ・・・でも、やっぱりにゃおは農業は苦手だよ( ̄_ ̄♭)

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