田植え(午前の部)

   にゃおの家では大抵5月の最終週か6月の第一週の土曜日か日曜日に田植えをする。
   「よっしゃ、今日は田植えするでぇ〜」と元気よく立ち上がっても実際に田植えが始まるまでは
   しばらくかかる。 まずは「しろかき」をして寝かせてあった田んぼに水を入れるんだよね。
   田植え機で田植えをする時は田んぼにほどよい水がないと上手く植えられないらしい。 
   水が少なくて表面に土が出るくらいだと機械が上手く滑らない(前進しない)。 逆に水が多すぎると
   土と水面までの距離がありすぎて上手く植えられない(植えてもしっかり土に苗が差し込めないから
   浮いちゃう)。 それに広い田んぼのことだから水が均等にはいるわけでもなく、ここは水が少ないけど、
   あっちは水が多すぎるなんてこともある。 田植えをしながら水加減を調節するんだって。 
   それからおもむろに田植え機のエンジンをかける。 田植え準備の始まる4月ごろから田植えシーズンが
   農協や農機具を扱う人たちにとって一番忙しい時期なんだって。 なんでもほぼ一年ぶりにトラクターだの
   田植え機だのを出してエンジンかけるわけでしょ? 当然、調子が悪いヤツも出てくるのよね。 
   そうすると「ヘルプ ミー!!」とお呼び出しがかかるらしい。 朝は早よから夜は遅くまで東に西にとまさに
   駆けずり回らなくちゃいけない。 そう言えばにゃお家担当の人も「もうヘロヘロですわぁ〜」って
   嘆いてたっけ。 運良くエンジンもかかって、いよいよ本番! どんがら どんがら どんがらと音を響かせて
   田植え機は田んぼの中へ進水! にゃおは基本的には田植えはしない。 機械はもちろん扱えないけど、
   主人曰く、「機械で植えるにしてもコツがあるんじゃ。 まぁ〜 素人にはムリじゃろうね」
   確かにそうかもしれないね。 ただ植えりゃいいってもんではない。 お前もやれって言われるよりは
   よっぽどマシだい。 かくしてにゃおは主人が田植えをしている間はアシスタントに徹するのだ。 
   2週間以上朝に晩にしつこくナンパしてくる蚊どもと戦いながら世話をした苗たち。 これを主人が
   田植え機に補充しやすい場所まで移動させておく。 空になった苗箱を農業用水の水を利用して洗って
   乾かす。 乾いた苗箱は積み重ねて10枚1組で紐でしばる(あとで農協まに苗箱を返す時のお約束なのだ)
   庭を占領していた苗箱が少しずつなくなりスペースが空いてくるとなんだか嬉しい。
   ああ、これで朝晩のお仕事も解放だわ。 車だって何も考えずにスイって入れられるもん。 るんるん♪

   12時を回る頃にはとりあえず機械での田植えは終了。 すかさず機械を洗わなくっちゃね。
   なにせドロドロの機械。 放っておくと泥が乾いてこびりついて落ちなくなるの。 今のうちに水で
   洗い流さなくっちゃ。 そこまで済んだら一応お昼の時間。 こんな時主婦は大変よ。 
   だって、あ〜疲れたぁ〜って寝っころがってる主人を横目にこっちはお昼の支度だもん。 
   そりゃあね、主人と比べたらにゃおの疲労なんてたいしたことはないかもしれないよ。 でも、にゃお的には
   かなり疲れてる。 作るのが面倒くさい。 それで手抜き。 最初の年はそうめんだけだった(苦笑)
   「これじゃあ、力が出ん」という主人の抗議に、ごもっとも・・・と2年目からはちょっと賢くなって、前の日に
   焼くだけでいいように肉を準備しておくだとかの段取りをしておくようになった。 さらには午後からの仕事も
   相当、遅くまでかかって夕飯の準備ところではないことを思い知り、夕飯の準備まである程度整えておく
   というワザも身につけた。
   なんとかおなかも満たし、横になるや、がおおおおぅ〜〜〜と怪獣に変身した主人(眠って大いびきを
   かいている状態をにゃお家では怪獣になると表現する)を再び横目にしながら、後片付け。
   それから洗濯物を取り込んだり夕食の準備をできるだけしておいたりと忙しい。 なんとか用事に
   めどがついて、やれやれこれで一休み・・・と痛む腰をトントンしながら座ると、ふ・・・と目を覚ました主人。
   「よし、始めるか」

   ・・・がび〜ん( ̄□ ̄;)!! 

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