何故、DXFデータなのか?


現在の製造業では、”図面”と言えば”CADデータ”が、極当り前。
使用されるCADも、無償のJW−CADからウン千万円のCADまで様々です。
そんな中で、DXFデータを客先が要望するのは何故でしょうか?
DXFデータへの変換ツールを持たないCADユーザーには、本当に悔しい話ですね。
ウチのCADはウン千万円で機能も豊富なのに、DXFに変換出来ないから納品出来ない…。
そんな笑えない話が、つい数年前まで有りました。

では何故、DXFデータなのか?
2つの可能性が考えられます。

一つ目は、あなたが、データの受取り側の担当者なら、何を欲するか?です。
勿論、普段自分が使い慣れているCADのCADデータが良いに決まってます。
しかし、ここで問題なのが、CADデータを作成する人が、同じCADを持っているか?なのです。

仕事を社外の業者に依頼する場合、必ず、問題になるのが、CADデータの互換性です。
仮に、同じ部屋で同じ仕事をしている人が居ても、CADが異なれば、データ交換出来なかったのです。
(だから以前は、同じCADを持っている業者に仕事を委託するのが常識でした。)

異なったCADで作られたデータでも交換出来るように開発されたのがDXFデータです。
(もっとも、DXFより以前から”IGES”という世界標準も有るのですが…。)
だから、あなたのCADにDXF変換の機能が有れば、”DXFでも良い”と言う訳なのです。

要望というよりは、次善の策…といったイメージかも知れませんね。
でも最近は、これが”最善の策”になりつつ有ります。
どこの製造メーカーさんも、この不況の中、生き残りに必死です。
これまでの手作業をコンピュータで自動化…は、むしろ遅過ぎる時代です。
工賃が安ければ、どんな会社とでも取引して利益を生み出す…それが、海外でも…なのです。
そんな時に、委託工賃の高い特殊なCADユーザーに仕事を依頼するでしょうか?
私なら、どこの業者から納品されるCADデータでも受取れる体制を考えます。
それが困難なら、今の最も一般的なCADデータ…DXFデータを受取れるよう体制を整えます。



二つ目は究極的な原因…なのですが。
本来、原寸作業なんて必要が有るのか?という事なのです。
製造業において、図面が必要…という状況は当面変える事が困難です。
では、図面がCADデータならば、そのまま加工データに変換出来ないのか?という事です。
CADデータに手処理を加えて加工データにするのが原寸作業です。
それならば、図面データに手を加えずに直接、加工データに出来ないか?
私ならそう考えるし、それが可能になった時の道筋を整備します。

要するに、製造業においては、生産システム(FA)が第一なのです。
工場の加工設備を自動で動かせるデータ(NCデータと呼ばれる)が、欲しいのです。
橋梁業界の現実的な話で言うならば、納品データは、CLかDXFかで伯仲していますが…。
(このままなのか、それとも一方に淘汰されるのか…若しくは新たな業界標準が現れるのか。)
実は、CLにせよDXFにせよ、NC工作機を直接制御出来るデータでは有りません。
CLもDXFも、”図面とNCデータを取持つ中間ファイル”としての位置付けです。
(CLデータの方が、コンパクトでNCデータのフォーマットに近いのも確かなのですが…。
 長所は短所?なのか、CLデータで寸法表記した資料を、あれれ^^;は、知らない。)。

CLやDXFからNCデータへの変換には、各社なりに手を掛けているはずです。
だとすると、ベストはNCデータで納品…のはずだけど、これだと委託業者が限られるのが問題ですね。
(CADユーザーに比較するとCAMユーザーは、極端に少ないから…。)
一般のCADユーザーは、NCデータを作成出来るCAMを持っていないものです。
(CADなら”無償”のものも有りますが、100万円以下のCAMを、あれれ^^;は知らない。)
どの道、”中間ファイル”で受け取るのならば、図面データと同等のDXFという事です。
(これなら、原寸作業無しで、NCデータに変換出来る可能性が有る訳です。)


そんなこんなで少しでも、何故、客先が”DXF”と言われるのか、理解頂けたでしょうか?
実際つい数年前まで、橋梁の原寸作業をCADユーザーに外注委託するなんて事は、行われてなかったのです。
それを可能にしたのが”DXFデータ”と言っても、過言ではないのでは?






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