DXFデータ納品時のトラブル
例えば、DXFデータの様式でも触れたのですが、DXFデータには、多くのバージョンが有ります。
一般に、CADを使用する技術屋さんは、そのような事に無頓着?
元々図面は、ドラフタ−の上にトレーシングペーパーを敷いて、鉛筆で描かれていたものです。
鉛筆に、”H”や”B”の違いが有る事は分かっても、”紙”に違いが有るとは想像し難いものです。
でも、トレーシングペーパーに違いが有れば、青焼した時に鮮明・不鮮明の違いも起りそうです。
いくらあなたが上質の紙を使ったつもりでも、客先では使用出来ない”感光紙”だったりして…。
最新の物を使えば確かに付加価値は高まります。
でも、それが最良かどうか?は、別の価値観で評価する必要も有るようです。
1.バージョンの問題
あれれ^^;の知る限り、DXFデータには最低でも5種類のバージョンが有るようです。
(変な話ですが、あれれ^^;のCADのDXFデータはAC1003…5種類以外のバージョン)
その中でも、AC1009(R12J)とAC1012(R13J)の間では大きな変更が有ったようです。
(同じCADデータをDXFデータに変換しても、R12JとR13Jではデータ量が大きく異なる。)
R13Jからは、”サブクラスマーカー”と呼ばれるグループコードが標準化されているのです。
”ENTITIES”の要素全てに最低2行記述されるので、その量は膨大です。
R12以下なのかR13以上なのかは、必ず確認する必要があるようです。
2.客先のシステムの問題
よく有る話なのですが、”DXFデータの色と線種だけは、分けて納品して下さい。”の一言。
あなたはレイアを分けて、色と線種を割り当てれば良い!と思うのが普通だと思います。
でも、納品されたDXFデータがどの様に利用されるか?によっては、不充分なのです。
(1)客先が、同一レイアで良いので、”色”と”線種”を分けて欲しいと言った。
DXFデータと言うのは、同一レイア内で色と線種を分けられるのです。
(あれれ^^;のCADには、その様な機能が無い…同一レイア内は同一の色と線種)
DXFデータでは、”0”レイアと呼ばれる標準のレイア有ります。
(”0”レイアは、白(又は黒)色で実線が標準?)
”0”レイアの中で、各要素の色と線種を分けると言う事は、実際、出来るのです。
(但し、データ量が大きければ大きい程、その管理が困難になる。)
実は、その意味…同一レイアで良いので…の意味は、同一レイアでなくても良い。
”BYLAYER”は、ダメですよ!という意味なのです。
(オートCADでは、”BYLAYER”が標準らしいのですが…。)
その事は、”ENTITIESのみを使用します。”を、暗に意味します。
せっかく文字の大きさや見栄えを良くしたのに…は、意味をなさない場合が有るようです。
(2)同一レイアでも良い…???
客先が、どのようなCADを使っているかにもよりますが、同一レイアは問題が有る。
例えば、オートCADの標準機能には、”特定の色だけ表示”なんていう機能は無いのです。
特定の色や線種のみを表示するには、レイアを分けて、各々に定義するしか無い。
それなのに、同一レイア…おかしいと思わないと、ダメなようです。
第一、同一レイアだと、あなたが納品したデータに変更を加える事すら困難なのです。
(自分が作る事が困難ならば、客先も同じなのでは?と疑うべきですね。)
正しくは、レイアを分けた上で、”BYLAYERを使用しない”のようです。
それならば、客先での変更作業も円滑に進むようです。
(3)外形線の原点と連続性
納品されたDXFデータからNCデータに変換する際に、これが不充分だと大問題です。
何故、DXFデータなのか?のコーナーでも触れたように、NC有ってのDXF原寸データです。
外形線=切断線なので、これが不充分だと、切断機械が暴走してしまう危険が有るのです。
考えなければならない事は、外形線がどのような状態で変換されているか?です。
CADの画面で連続している線が、DXFデータの中で連続しているかどうかは、分からないのです。
(その様な問題に対する解説書は、無いのです。)
おそらくは、線を作成した順番通りに変換されているだけ…なのです。
少なくとも、DXFデータの中に、”この線とこの線がつながっている”という情報は有りません。
それに対して、NCデータは、アプローチ原点からの連続したポイントを必要とします。
(DXFデータには、ここがアプローチ原点…という情報も有りません。)
だとしたら、DXFデータの図形原点とアプローチ原点を一致させておく必要は無いでしょうか?
あなたが、その設定をしないのに、何も言われないと言う事は、誰かがそれを設定しているからです。
連続していないデータを連続線としてNCデータに変換する際も、誰かがその設定をしている訳です。
そんな時に、外形線が途切れていたり、重複していたりすると、”なんだこれは!”になってしまいます。
納品したDXFデータがNCデータに変換される事が分かっている場合は、充分に注意です。
(4)要素の重複
例えば、外形線の要素が重複していると、連続線にならないので、事前に不都合が見つかる訳です。
(外形線が重複していれば、当然、機械は同じ箇所を、重複している回数切断します。)
無駄…と言う以前に、同じ箇所を何度も切れば、製品に欠陥が出ます。
この事は、剥離、溶接、孔明けのNC制御においても同じです。
(孔明けの線が重複していれば、同じ箇所を孔明けするため、製品不良と工具破損が起ります。)
一見、きれいにレイア分けと色分けが出来たDXFデータも、データ重複は頭痛の種です。
(こればかりは、人間の目では判断出来ないからです。)
でも、そういう実情を知っていれば、データ重複を起こさない手法は考えられるでしょう?
(重複を起こす可能性の有るコマンドは、使用しないとか、注意するとか…。)
原寸資料を”DXFデータで納品=図面と同じ”とは、思わない事が肝要です。
3.R12を要望される理由
今時、R12なんて時代遅れ…と思われる方も多いと思います。
でも原寸屋さんは、常に、後工程の”NCデータ”を意識する必要が有ります。
NCデータは、切断機や孔明け機械が直接読み取れるデータです。
主に、機械の機能を指定する”制御コード”と、移動量を示す”座標”から成立っています。
(制御コードは、M00が有れば停止とか、G00が有れば位置決めとか…。)
残念ながら?DXFデータで直接制御出来るNC工作機を知りません。
何度も言うようですが、必ず、DXFデータ-->NCデータへの変換処理が必要です。
その変換プログラムが”ENTITIES”しか読まないプログラムの場合も有ります。
(それなら、”BYLAYERはダメ!”とか、”寸法なんて関係ない!”とか…分かるでしょ?)
実際、R12のENTITIESは、NCデータに変換するための基本条件を満足出来ます。
それならば、敢えて上位バージョンのR13やR14にする必要も無い。
(実際には、上位バージョンを読めない変換プログラムも有るようですが…。)
そもそも、二次元のDXFデータに、”Z=0”の記述が有る事さえデータ増大に関わっています。
その上に、余分なコードを付加した上位バージョンは、”重い”のです。
”シンプル=ベスト”とは限らないけど、”蛇足”にはならないようにしたいものです。
これからも、このコーナーは更新したいと思います。
(実は、あれれ^^;もDXFデータ2年生なのです。)
CLデータで済んでいた時代が懐かしい…CLデータはCAMなのかな?(高価だから)
DXFデータの強みは、”フリー”の一言ですね。
皆様の一層の探求を、お祈り致します。
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