禅宗のお経



お経…といえば”般若心経”が有名なのですが、実は、驚くほど沢山のお経が有ります。
日本へ伝わったお経は、大半が”釈迦の説法語録(三蔵法師が天竺から持ち帰ったお経)”
だと思うのですが、後の高僧が作ったお経も沢山あるようです。
宗派ごとに重要視するお経は異なっているようですし、
同じ禅宗でも臨済宗と曹洞宗では、読み方や読む際の作法も異なっているようです。
書店でもお経の解説本は”各宗派別”に置かれているような状態なので、
禅宗以外のお経について紹介することは、差し控えます。
(ちなみに奈良東大寺で読誦されている”華厳経”とか、素晴らしいそうです。
 ちなみにもう一つ…”ブッダ最後の旅〜大パリニッバーナ経”とか…。
 一生懸命勉強して理解出来たら、人生が変るようなことが書かれているようです。)

私はお経の専門家ではないので、お経の内容について解説することも差し控えます。
”呼吸法としてのお経読誦”という観点を知って貰いたいだけなので、
それ以上の解説は、書店での解説本かGoogle検索にゆずります。
(ちなみにGoogleで検索をすると、実際の”読経”を聴けたりします。
 CDのコピーではなく、お坊さんの”カラオケ紹介?”なので多分、違法性は無いです。)
解説本には読経のCDが付いていたりするので、そんなに敷居も高くないです。
ビジネスホテルとかには”賛美歌”が一冊置いて有ったりするようですが、
”我が家にも一冊”感覚で、菩提寺のお経解説本を手元に置かれては如何でしょうか?

ご注意

このコンテンツで記載している経文は、
私がいく冊かの経本を参考にして手作業で作成したものです。
単に”パソコンを使った写経”だと思って頂けるのであれば幸いですが、
膨大な数の文字も、特殊な漢字も、全て手作業でタイプしています。

しかしながら校閲は行なっていないので、
誤字・脱字は絶対に有ります。

紹介している経文を”印刷”するのはご自由ですが、
”コピー・ペースト”を行なって損害を生じても、私は責任を負いかねます。

正式な経文が必要な人は、
各ご宗派の校閲を受た経本をご入手願います。



1.毎朝の読経。

毎朝、”布団の中で”唱える”お経”は、
@開経偈。
A懺悔文。
B四弘請願文。
C三帰依文。
D三帰礼文。
E三尊礼文。
F延命十句観音経。
G舎利礼文。
H普回向。
I般若心経。
J本尊上供。
K消災妙吉祥陀羅尼(消災咒)。
L大悲心陀羅尼(大悲咒)。
M甘露門。
N妙法蓮華経観世音菩薩普門品(偈)。
O妙法蓮華経如来寿量品偈。

その他(普段は読誦しないお経)。

全部唱えると(私はNの”観音経”を”長文”から唱えるので)概ね45分くらい掛かります。
45分間”複式呼吸”を行なうことになるので、体調の良くない朝は疲れます。
(唱えているうちに、また寝てしまうこともよく有ります。)
でも”功徳”を期待するわけでは無いので、全部読誦する必要はまったく無いです。
その日の気分次第で加減すれば良いと思います。
実際私も、忙しい時には、@AIJだけを読むことも有ります。
(在家ですし…出張先などでは、朝の45分間は結構忙しいですし…。)
基本的には全部”暗唱”しますが、Nの観音経などは何度も間違えながら読誦しています。
そもそも暗唱などにこだわる必要などまったく無いので、気楽に読誦してみて下さい。



2.お経の内容。



@開経偈(かいきょうげ)。
無常甚深微妙法。(むじょうじんじんみみょうほう)
百千万劫難遭遇。(ひゃくせんまんごうなんそうぐう)
我今見聞得受持。(がこんけんもんとくじゅじ)
願解如来真実義。(がんげにょらいしんじつぎ)

お経の読誦法のコーナーでも触れたのですが、最初に読むお経なので、
その日のコンディション測定を兼ねて”ひと息”で読みます。
読誦の速さは概ね”一文字1秒”くらいでしょうか。
各句の最後の文字は子音を延ばす(3〜5秒?)ので、30秒ほど掛ります。
子音を延ばすとリラックス出来るので、”ひと息”よりも”子音”にこだわります。
曹洞宗読みではリンや木魚を使わないお経なので、
何も考えず、深呼吸だけを静かに行なうよう心掛けています。
ちなみにお経の解説本に付いていたCDでは漢文読みを行なわず、
”むじょうじんじんみみょうのほうはー…”という読み方をしていました。
”むじょうじんじんみみょうほうー…”と読むのは臨済宗読みかも知れません。



A懺悔文(さんげもん)。
我昔所造諸悪業。(がしゃくしょぞうしょあくごう)
皆由無始貧瞋痴。(かいゆうむしとんじんち)
従身口意之所生。(じゅうしんくいししょしょう)
一切我今皆懺悔。(いっさいがこんかいさんげ)

これは”その他(普段は読誦しないお経)”で触れている
”修証義(しゅしょうぎ)”の”第二章 懺悔滅罪”にも出てくるお経です。
修証義は第一章から第五章まで有るので、全部読誦すると25分くらい掛りますが、
懺悔文だけなら30秒…開経偈同様、やはりひと息で読誦出来ます。
この30秒のお経で救われる…と思ってしまうのは、私が罪深い人だからでしょうか?
競争社会で勝つことは、負ける人を生むことになるし、全ての人を幸せには出来ません。
”あの時はあのようにするしか無かった。”と自分に言い聞かせてても、
そのことを完全に忘れることは出来ない呵責の念…を持つのも人間です。
”誰も見ていないから…。”と思っていても、自分自身はそれを知っているわけです。
このお経は短いですが、そんなもう一人の自分と対話が出来るお経です。
昨日までの自分とは離別して、毎朝産まれかわることが出来るのも人間です。
降ろすことが出来る重荷は降ろしてから…も、お経読誦の心得えだと思います。



B四弘請願文(しぐせいがんもん)。
衆生無辺誓願度。(しゅじょうむへんせいがんど)
煩悩無尽誓願断。(ぼんのうむじんせいがんだん)
法門無量誓願学。(ほうもんむりょうせいがんがく)
仏道無上誓願成。(ぶつどうむじょうせいがんじょう)

このお経は禅宗に限らずよく知られているお経だそうです。
宗派によっては少し文言は異なるそうですが、同様に四句のお経です。
請願の後の一文字が、”度・断・学・成”と変化するので、
暗唱する際に順番が分らなく成りますが、案外、意味を知れば簡単です。
”度”は助ける…衆生を助ける。”断”は断つ…煩悩を断つ。
”学”は学ぶ…仏法を学ぶ。”成”は成就する…仏道を成就する。
これだけ知っていれば、衆生は千差万別だけど…は”度”って覚えられます。
覚えてしまえばこれもひと息、開経偈や懺悔文と同じ要領です。
これで3回目の深呼吸終了!といった感じです。



C三帰依文(さんきえもん)。
南無帰依仏。(なむきえぶつ)
南無帰依法。(なむきえほう)
南無帰依僧。(なむきえほう)
帰依仏無上尊。(きえぶつむじょうそん)
帰依法離塵尊。(きえほうりじんそん)
帰依僧和合尊。(きえそうわごうそん)
帰依仏竟。(きえぶつきょう)
帰依法竟。(きえほうきょう)
帰依僧竟。(きえそうきょう)

このお経から、ひと息で…が難しくなります。
9句有るので子音を9回延ばして読誦します。
(それだけで30秒以上掛る?)
禅宗の三宝は”仏・法・僧”だと知っていれば、案外容易に暗唱は出来ます。
少し長いので息継ぎは、その日の状態によって決めているのですが、
私は”帰依法離塵尊”の一句(煩悩の塵から離れる)が好きなので、
この一句を唱えながら息継ぎをするかどうかを決めています。
息継ぎをするのなら”帰依僧和合尊”で息を吐き切りますが、
余裕が有ると思えば、少しペースを上げてみたり…。
勿論これは”ヒソヒソ声読誦”の場合なので、こだわる必要は無いです。
でも”帰依僧竟”で少し余裕を残した”ひと息読誦”が出来ると、
”今日はとっても元気!”という気持ちに成れます。



D三帰礼文(さんきらいもん)。
じきえぶつ。とうがんしゅじょう。たいげだいどう。ほつむじょうい。
自帰依仏。当願衆生。体解大道。発無上意。
じきえほう。とうがんしゅじょう。じんにゅうきょうぞう。ちえにょかい。
自帰依法。当願衆生。深入経蔵。智慧如海。
じきえそう。とうがんしゅじょう。とうりだいしゅう。いっさいむげ。
自帰依僧。当願衆生。統理大衆。一切無礙。

このお経も短いのですが、今度は12句…ひと息で読誦するとかなり苦しいです。
また、このお経は各行の先頭”自”の子音も延ばすので、息継ぎは充分に行いましょう。
実はこのお経のように、同じ句が繰り返されるお経は、覚え辛いです。
変なこだわりを持って読誦していると、”当願衆生”の句で、
”あれっ?どの行を読んでいるんだっけ?”みたいな健忘感に見舞われてしまいます。
たかだか三行でも、案外”自帰依仏…統理大衆?”のような読み間違いも起ります。
私は”最初は体験。法はお経。お坊さんはヒトラー。”って連想しながら暗唱してますが、
”三帰礼文”と言いつつ、”南無帰依仏…”って暗唱していることさえ有ります。
人って、そんなものなのかなぁ…といつも思うのですが、そういう生き物のようです。
絶対に間違ってはならない!ときには、経本片手に…の方が良いようです。



E三尊礼文(さんぞんらいもん)。
南無大恩教主本師釈迦牟尼仏。(なむだいおんきょうしゅほんししゃかむにぶつ)
南無高祖承陽大師。(なむこうそじょうようだいし)
南無太祖常済大師。(なむたいそじょうさいだいし)
南無大慈大悲哀愍摂受。(なむだいずだいひあいみんしょうじゅ)
生生世世値遇頂戴。(しょうしょうせせちぐうちょうだい)

このお経は禅宗でも曹洞宗に特有のお経だと聞いています。
承陽大師は道元禅師、常済大師は瑩山禅師のことなので納得出来ます。
覚えたての頃は、最初の句の”本師”を忘れて”南無大恩教主釈迦牟尼仏”
と暗唱してしまうことが多かったのですが、”本師=本四=連絡橋”
みたいな”連想”で覚えた記憶が有ります。
三帰依文と三帰礼文で少し乱れた呼吸を整えるには丁度良い長さ。
ここまでが”リンと木魚”を使わないお経です。
温泉のサウナ内で読誦するときは、ここまで終わったら”水風呂へ直行!”です。



F延命十句観音経(えんめいじっくかんのんぎょう)。
かんぜーおん。なーむーぶつ。
観世音。南無仏。
よーぶつうーいん。よーぶつうーえん。
与仏有因。与仏有縁。
ぶっぽうそうえん。じょうらくがーじょう。
仏法僧縁。常楽我浄。
ちょうねんかんぜーおん。ぼーねんかんぜーおん。
朝念観世音。暮念観世音。
ねんねんじゅうしんきー。ねんねんふーりーしん。
念念従心起。念念不離心。

このお経をひろめたのは江戸時代の”白隠禅師”という話があるので、
臨済宗のお経だと思っていたのですが、実は6世紀にさかのぼる…という話が有ります。
(実際まだ、曹洞宗読みの十句観音経読誦を聴いたことは有りません。)
このお経は少し不思議なお経です。
”ヒソヒソ声読誦”だと、途中でトーンが変ってしまうのです。
(最近はヒソヒソ声も腹から出ているようで、違和感は無いのですが。)
何かのコラムに、”このお経を1000回唱えると病気が治る。”という記事が有って、
不思議なお経だとは知っていたのですが、本当に不思議なお経です。
そもそも”常楽我浄”の4文字には、悟りの真髄のような意味が有るらしく、
私には理解出来なくても”人の脳”には何か大きな刺激を与えているような…。
(このお経を初めて暗唱出来た夜に見たあの満月を、忘れられないのも不思議です。)
覚え易いうえにひと息で読誦出来るほど短いお経なので、毎回3回づつ暗唱しています。
一年365日×3=1095!!一年で病気が治る?
功徳を求めているわけでは無いのですが、不思議さを感じるお経です。



G舎利礼文(しゃりらいもん)。
いっしんちょうらい。まんとくえんまん。
★一心頂礼。万徳円満。
しゃーかーにょーらい。しんじんしゃーりー。
★釈迦如来。真身舎利。
ほんじーほっしん。ほっかいとうばー。
本地法身。法界塔婆。
がーとうらいきょう。いーがーげんしん。
我等礼敬。為我現身。
にゅうがーがーにゅう。ぶつがーじーこー。
入我我入。仏加持故。
がーしょうぼーだい。いーぶつじんりき。
我証菩提。以仏神力。
りーやくしゅーじょう。ほつぼーだいしん。
利益衆生。★発菩提心。
しゅーぼーさつぎょう。どうにゅうえんじゃく。
修菩薩行。同入円寂。
びょうどうだいちー。こんじょうちょうらい。
平等大智。今将頂礼。

私の家は”流浪の民”のような家系なので、少しこだわりのあるお経です。
舎利とはお釈迦さまの遺骨のことらしいのですが、遺骨といえばお墓です。
毎朝、家のお墓が在る九州の方角を見つめながら読誦するのですが、
割り切れないような、悔しいような想いに包まれて読誦するのがこのお経です。
このお経は”ひと息か?息継ぎか?”の判断が微妙な長さのお経ですが、
短いので3回唱える習慣も有るようで…。(3回なら絶対に息継ぎが必要。)
ちなみに私は念入りに1回だけ暗唱するようにしています。
曹洞宗読みでは★印の箇所でリンを打つので、その音色が浮かぶくらい念入りに…。
このお経の後に”回向文”を唱えるのは、私のこだわりかも知れません。
不思議なもので、舎利礼文は自分の意思とは無関係に暗唱出来るようになりました。
朝の読経以外にも、墓参の際には唱えるようにしています。



H普回向(ふえこう)
ねがわくはこのくどくをもって、あまねくいっさいにおよぼし、
この功徳を以って、普く一切に及ぼし、
われらとしゅじょうとみなともに、ぶつどうをじょうぜんことを。
我等と衆生と皆共に、仏道を成ぜんことを。
【略三宝】
★十方三世一切仏。(じーほーさんしーいーしーふー)
★諸尊菩薩摩訶薩。(しーそんぶーさーもーこーさー)
★摩訶般若波羅蜜。(もーこーほーじゃほーろーみー)

正直なところよく分らないのですが、回向文はお経読誦の後に唱えます。
お経読誦…というのが、複数のお経を読誦する場合にどうなのか?を知りません。
たまたま聴いたお経のCDでは”舎利礼文の後が回向文”だったので読誦しています。
ちなみに”願わくは…”は、曹洞宗読みのようで、臨済宗読みでは、
がんにしくどく。ふきゅうおいっさい。がとうよしゅじょう。かいぐじょうぶつどう。
”願以此功徳。普及於一切。我等與衆生。皆共成佛道。”
と漢文読みで読誦するようです。
また、【略三宝】を読誦するのも曹洞宗特有かも知れません。
【略三宝】は後述の、”十仏名”を省略したものらしいです。
私の場合、【略三宝】を唱えていて”リン”の音を感じられる日は好調です。



I般若心経(はんにゃしんぎょう)。
 かんじーざいぼーさつ。ぎょうじんはんにゃーはーらーみーたーじー。
★観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。
 しょうけんごーうんかいくう。どーいっさいくーやく。
照見★五蘊皆空。度一切苦厄。
 しゃーりーしー。しきふーいーくー。くーふーいーしき。
舎利子。色不異空。空不異色。
 しきそくぜーくー。くーそくぜーしき。
色即是空。空即是色。
 じゅーそーぎょーしき。やくぶーにょーぜー。
受想行識。亦復如是。
 しゃーりーしー。ぜーしょーほうくうそう。
舎利子。是諸法空相。
 ふーしょうふーめつ。ふーくーふーじょー。ふーぞーふーげん。
不生不滅。不垢不浄。不増不減。
 ぜーこーくうちゅう。むーしきむーじゅーそうぎょうしき。
是故空中。無色無受想行識。
 むーげんにーびーぜっしんにー。むーしきしょうこうみーそくほう。
無眼耳鼻舌身意。無色声香味触法。
 むーげんかいないしーむーいーしきかい。むーむーみょうやくむーむーみょうじん。
無眼界乃至無意識界。無無明亦無無明尽。
 ないしーむーろうしー。やくむーろうしーじん。
乃至無老死。亦無老死尽。
 むーくーしゅーめつどう。むーちーやくむーとく。いーむーしょーとくこー。
無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故。
 ぼーだいさったー。えーはんにゃーはーらーみーたーこー。
菩提薩埵。依般若波羅蜜多★故。
 しんむーけいげー。むーけいげーこー。むーうーくーふー。
心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。
 おんりーいっさいてんどうむーそう。くーぎょうねーはん。さんぜーしょーぶつ。
遠離一切顛倒夢想。究竟涅槃。三世諸仏。
 えーはんにゃーはーらーみーたーこー。とくあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだい。
依般若波羅蜜多★故。得阿耨多羅三藐三菩提。
 こーちーはんにゃーはらみーたー。ぜーだいじんしゅー。ぜーだいみょうしゅー。
故知般若波羅蜜多。是大神呪。是大明呪。
 ぜーむーじょうしゅー。ぜーむーとうどうしゅー。
是無上呪。是無等等呪。
 のうじょーいっさいくー。しんじつふーこー。
能除一切苦。真実不虚。
 こーせつはんにゃーはーらーみーたーしゅー。そくせつしゅーわつ。
故説般若波羅蜜多呪。即説呪曰。
 ぎゃーていぎゃーてい。はーらーぎゃーてい。はらそうぎゃーてい。ぼーじーそわかー。
羯諦羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提薩婆訶。
 はんにゃーしんぎょう。
般若心経。

曹洞宗では法事の際によく読誦されているお経なので、私も”羯諦羯諦。波羅羯諦。”
だけは知っていたのですが、確かに完全な暗記には苦労しています。
般若心経にも同じ句の繰り返し”依般若波羅蜜多故”が有るからです。
最初の頃は”無……”の句を覚えるのが大変で、それが終わったら”心無罣礙。”
という具合に読誦出来たのですが、慣れてくると”無”を繰り返している内に、
意識が飛んでしまう?(頭の中が真っ白になってしまう?)
お坊さん達がどうして間違わないのか、少し不思議に思っています。
このお経は少し長いので、息継ぎのタイミングが大切です。
お坊さん達は息継ぎのタイミングも含めて暗記している…と聞いたことが有ります。
それに対して私の読誦は”その日の状況次第”なので、余計に間違え易いのかも?
必ず数回息継ぎを行なうのですが、出来れば息継ぎで読誦の流れを止めたくないお経です。

ここで一つヒソヒソ読誦での息継ぎのコツを。(我流なので、宣伝などされませんように。)
お経読誦の速さは概ね一文字0.5秒です。
それに対して鼻から息を吸い込む速度も0.5秒掛るとしましょう。
同じ0.5秒なら、必ず1文字読み飛ばしが発生するのですが…。
連続する2つの文字を0.25秒ずつ発声すれば、文字間で0.5秒の呼吸が出来る!
(息継ぎ前の文字は子音を発声しない、息継ぎ後の文字は子音だけ発声する!)

勿論、鼻から0.5秒で吸い込むと”ズズー!”みたいな音がして、下品です。
でもそこが”無功徳を求める読誦”の強み…自分自身が納得出来れば良いわけです。
勿論、サウナの中でこんな息継ぎをすると、気管をやけどするかも知れません。
読み飛ばしの文字はこころの中で唱えれれば良いことなので、お間違え無く。



J本尊上供回向文(ほんぞんじょうぐえこうもん)
じょうらい、まかはんにゃはらみったしんぎょうをふじゅするくどくは、
上来、摩訶般若波羅蜜多心経を諷誦する功徳は、
だいおんきょうしゅほんししゃかむにぶつ、こうそじょうようだいし・たいそじょうさいだいしにくようしたてまつり、
大恩教主本師釈迦牟尼仏、高祖承陽大師・太祖常済大師に供養し奉り、
むじょうぶっかぼだいをしょうごんす。
無上仏果菩提を荘厳す。
ふしてねがわくは、しおんすべてほうじ、さんぬひとしくたすけ、
伏して願わくは、四恩総て報じ、三有斉しく資け、
ほっかいのうじょうと、おなじくしゅちをまどかにせんことを。
法界の有情と、同じく種智を円かにせんことを。
こいねがうところは、かもんはんえい、しそんちょうきゅう、さいしょうしょうじょ、しょえんきちじょうならんことを。
冀う所は、家門繁栄、子孫長久、災障消除、諸縁吉祥ならんことを。
【略三宝】
★十方三世一切仏。(じーほーさんしーいーしーふー)
★諸尊菩薩摩訶薩。(しーそんぶーさーもーこーさー)
★摩訶般若波羅蜜。(もーこーほーじゃほーろーみー)

この回向文は曹洞宗特有の回向文だと思います。
”種智を円かにせんことを。”という句が好きなので、私は唱えるようにしています。
普回向もそうですが、無功徳を求めながら”諷誦する功徳”を読誦するのは少し変?
(冀う所は…の行では、ちゃっかりお願いまでしているようです。^^;)
でも、家族の健康や諸縁の吉祥を願わない人って居るのでしょうか?
”般若心経を読誦すること=家族の健康”ではないと思いますが、
だからって、祈りのこころまでは忘れたくは無いのです。
要は変なこだわりを持たないこと!私はそれで良いと思っています。



K消災妙吉祥陀羅尼(しょうさいみょうきちじょうだらに)。
 のーもーさんまんだー。もとなん。おはらーちーことしゃー。
★曩謨三満哆。母駄喃。阿鉢囉底賀多舍。
 そのなんとうじーとう。えん。ぎゃーぎゃー。ぎゃーきーぎゃーきー。
娑曩喃☆怛姪他。唵。佉佉。佉呬佉呬。
 うんぬん。しふらーしふらー。はらしふらーはらしふらー。
吽吽。入嚩囉入嚩囉。鉢囉入嚩囉鉢囉入嚩囉。
 ちしゅさーちしゅさー。ちしゅりーちしゅりー。
底瑟姹底瑟娑。致瑟哩致瑟哩。
 そわじゃーそわじゃー。せんちーぎゃー。しりえいそーもーこー。
娑発吒娑発吒。扇底迦。室哩曳娑婆訶

消災妙吉祥陀羅尼(消災咒)は”陀羅尼”に分類されるお経なので、少し勝手が違います。
暗記する際に句の意味を考えながら…とか思っていると難しいことになります。
勿論一句毎に意味は有るのですが、見たことも無い漢字ばかりでしょう?
これは”THIS IS THE PEN”を
   ” 自酢 異図 座  遍 ”と表現しているようなものです。
古来インドの”サンスクリット語(梵語)”の音を、そのまま漢字で表現した?
ということは、サンスクリットの研究をしないと意味を知ることは不可能?
勿論、解説本には一句一句の意訳が載っているのですが、何かを賛歌しているお経です。
(多分、観音様を賛歌しているのですが、神聖な音が経文になっていたりもします。)
これを暗記するなんて”不可能!”と最初は思ったのですが…。
不思議なくらい簡単に暗記出来ました。
最初から意味なんて分らないのなら、何度も読んで口調を覚えるだけなのです。
(野茂さんが元の大原さんの家で…という覚え方でも構わないと思います。)

覚えてみると、この”梵語”の響きは脳の中へ響くことが分かります。
このお経は短いので、3回づつ唱えることにしているのですが、
1回目から2回目へ移る際、”しりえいそもこ。のーもーさんまんだー。”
というように続けて読誦すると、頭の中で花が開くような気持ちになります。
(勿論、私だけかも知れませんが…0.5秒息継ぎは役立ちます。)
ちなみに★印は3回とも、☆印は3回目だけリンを打ちます。
江戸時代には病魔退散の祈願にも使われたお経らしいです。
一度聴くと忘れられなくなるお経です。



L大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)。
 なむからたんのー。とらやーやー。なむおりやー。ぼりょきーちー。しふらーやー。
★南無喝囉怛那。哆囉夜耶。南無阿唎耶。婆盧羯帝爍鉢囉耶。
 ふじさとぼーやー。もこさとぼーやー。もーこーきゃーるにきゃーやー。えん。
菩提薩哆婆耶摩訶薩哆婆耶。摩訶迦嚧尼迦耶。★唵。
 さーはらはーえいしゅーたんのうとんしゃー。なむしきりーといもー。おりやー。ぼりょきーちー。
薩皤囉罰曳数怛那怛写。南無悉吉栗埵伊蒙。阿唎耶。婆盧吉帝。
 しふらー。りんとーぼー。なーむーのーらー。きんじーきーりー。もーこーほーどー。しゃーみーさーぼー。
室仏囉。楞駄婆。南無那囉。謹墀醘唎。摩訶皤哆。沙梼F婆。
 おーとーじょーしゅーべん。おーしゅーいん。さーぼーさーとー。のーもーぼーぎゃー。
阿他豆輸朋。阿遊孕。薩婆薩哆。那摩婆伽。
 もーはーてーちょー。とーじーとー。えん。
摩罰特豆。怛姪他。唵。
 おーぼーりょーきー。るーぎゃーちー。きゃーらーちー。いーきりもーこー。ふじさーとー。
阿婆盧醘。盧迦帝。迦羅帝。夷醘唎摩訶。菩提薩埵。
 さーぼーさーぼー。もーらーもーらー。もーきーもーきー。りーとーいん。くーりょーくーりょー。
薩婆薩婆。摩囉摩囉。摩醘摩醘。唎駄孕俱盧俱盧。
 けーもーとーりょーとりょー。ほーじゃーやーちー。もーこーほーじゃーやーちー。
羯蒙度盧度盧。罰闍耶帝。摩訶罰闍耶帝。
 とーらーとーらー。ちりにー。しふらーやー。
陀囉陀囉。地唎尼。室仏囉耶。
 しゃーろーしゃーろー。もーもーはーもーらー。ほーちーりー。
遮囉遮囉。麼麼罰摩囉。穆帝隸。
 いーきーいーきー。しーのーしーのー。おらさんふらしゃーりー。
伊醘伊醘。室那室那。阿囉參仏囉舍利。
 はーざーはーざー。ふらしゃーやー。くーりょーくーりょー。もーらーくーりょーくーりょー。
罰沙罰參。仏囉舎耶。呼盧呼盧。摩囉呼盧呼盧。
 きーりーしゃーろーしゃーろー。しーりーしーりー。すーりょーすーりょー。
醘唎娑囉娑囉。悉唎悉唎。蘇嚧蘇嚧。
 ふじやー。ふじやー。ふどやーふどやー。
菩提夜。菩提夜。菩駄夜菩駄夜。
 みーちりやー。のらきんじー。ちりしゅにのー。ほやもの。そもこー。
弥帝唎夜。那囉謹墀。★地唎瑟尼那。婆夜摩那。娑婆訶。
 しどやー。そもこー。もこしどやー。そもこー。しどゆーきー。しふらーやー。そもこー。
悉陀夜。娑婆訶。摩訶悉陀夜。娑婆訶。悉陀喩芸。室皤囉耶。娑婆訶。
 のらきんじー。そもこー。もーらーのーらーそもこー。
★那囉謹墀。娑婆訶。摩囉那囉娑婆訶。
 しらすーおもぎゃーやー。そもこー。そぼもこしどやー。そもこー。
悉囉僧阿穆佉耶。娑婆訶。娑婆摩訶悉陀夜。娑婆訶。
 しゃきらーおしどーやー。そもこー。ほどもぎゃしどやー。そもこー。
者吉囉阿悉陀夜。娑婆訶。波哆摩羯悉哆夜。娑婆訶。
 のらきんじーはーぎゃらやー。そもこー。もーほりしんぎゃらやーそもこー。
那羅謹墀皤伽羅耶。娑婆訶。摩婆利勝羯羅耶娑婆訶。
 なむからたんのーとらやーやー。なむおりやー。ぼりょきーちー。しふらーやー。そもこー。
南無喝囉怛那哆囉耶夜。南無阿唎耶。婆盧吉帝。爍皤囉夜。娑婆訶。
 してどーもどらー。ほどやー。そーもーこー。
悉殿都漫多囉。跋陀耶。娑婆訶。

このお経も”陀羅尼”に分類されるお経なので、漢字の意味は理解出来ません。
暗記をする際は、何度も読んで口調を覚えるしか無いのですが、
さすがに少し長いので”消災咒”ほど簡単ではなかったです。
実はこのお経、NHKのTV番組”永平寺 修行の四季”で知りました。
TV番組だから?という話でもないと思いますが、物凄く荘厳な響きに魅了されました。
どうしても覚えたい!という気持ちが有ったので、お経のCDまで購入して覚えました。

覚えてみると”これぞ陀羅尼!”と納得出来るのですが、
唱え始めるとすぐに意識が飛んで、気が付くとお経の後半を読誦していたりします。
(もしかすると、経文の中盤を読み飛ばしているだけかも知れませんが…。)
陀羅尼は息継ぎでお経の流れを止めたく無いので、毎回0.5息継ぎで読誦しています。
朝のお経読誦で眠てしまうのは、このお経で体力を使っているから?かも知れません。
陀羅尼には不思議な力が有る…という記事を色々なコラムで読んだことが有るのですが、
不思議な力が必ずしも”功徳”になるとは限らないはずです。
読誦してみようと思われる人は、片手に経本で意識が飛ばない程度の読誦をして下さい。



M甘露門(かんろもん)。
 【奉請三宝】
なむじっぽうぶつ。なむじっぽうほう。なむじっぽうそう。
 ★南無十方佛。南無十方法。南無十方僧。
なむほんししゃかむにぶつ。
 ★南無本師釋迦牟尼佛。
なむだいずだいひきゅうくかんぜおんぼさつ。
 南無大慈大悲救苦観世音菩薩。
なむけいきょうあなんそうじゃ。
 南無啓教阿難尊者。

 【招請発願】
ぜしょしゅとう。
 是諸衆等。
ほっしんしていっきのじょうじきをぶじして。あまねくじっぽうぐうじんこくう。しゅうへんほっかいみじんせっちゅう。
 發心して一器の浄食を奉持して。普く十方窮盡虚空。周遍法界微塵刹中。
しょうこくどのいっさいのがきにほどこす。せんもうくおんさんせんちしゅないしこうやのしょきじんとう。
 所有國土の一切の餓鬼に施す。先亡久遠山川地主乃至曠野の諸鬼神等。
こうきたってここにあつまれ。われいまひみんして。あまねくなんじにじきをほどこす。
 請う来って此に集れ。我れいま悲愍して。普く汝に食を施す。
ねがわくはなんじかくかく。わがこのじきをうけて。てんじもって。じんこくうかいのしょぶつぎゅっしょう。
 願くは汝各各。我が此の食を受けて。轉じ將って。盡虚空界の諸佛及聖。
いっさいのうじょうにくようして。なんじとうじょうとあまねくみなぼうまんせんことを。
 一切の有情に供養して。汝と有情と普く皆飽満せんことを。
またねがわくはなんじがみ。このじゅじきにじょうじて。くをはなれてげだつし。てんにしょうじてらくをうけ。
 亦願くは汝が身。此の呪食に乗じて。苦を離れて解脱し。天に生じて楽を受け。
じっぽうのじょうどもこころにしたがってゆおうし。ぼだいしんをはっし。ぼだいどうをぎょうし。
 十方の浄土も意に随って遊往し。菩提心を發し。菩提道を行し。
とうらいにさぶつして。ながくたいてんなく。さきにどうをうるものは。ちかってあいどだっせんことを。
 當来に作佛して。永く退轉なく。前に道を得る者は。誓って相度脱せんことを。
またねがわくはなんじら。ちゅうやごうじょうに。われをようごして。わがしょがんをまんぜんことを。
 又願くは汝等。晝夜恒常に。我を擁護して。我が所願を満ぜんことを。
ねがわくはこのじきをほどこす。しょしょうのくどく。あまねくもってほっかいのうじょうにえせして。
 願くは此の食を施す。所生の功徳。普く將て法界の有情に廻施して。
もろもろのうじょうとびょうどうぐうならん。もろもろのうじょうとともに。おなじくこのふくをもって。
 諸の有情と平等苦有ならん。諸の有情と共に。同じく此の福を將て。
ことごとくもってしんにょほっかい。むじょうぼだい。いっさいちちにえこうして。
 悉く將て真如法界。無上菩提。一切智智に廻向して。
ねがわくはすみやかにじょうぶつして。よかをまねくことなからん。
 願くは速かに成佛して。餘果を招くこと勿らん。
ほっかいのがんじき。ねがわくはこのほうにじょうじて。とくじょうぶつすることをえん。
 法界の含識。願くは此法に乗じて。疾く成佛する事を得ん。

 【雲集鬼神招請陀羅尼】
のうぼーぼほり。ぎゃりたり。たたーぎゃたや。
 ★曩謨歩布哩。迦哩多哩。怛他蘗多也。

 【破地獄門開咽喉陀羅尼】
おんぼーほていえり。ぎゃたり。たたーぎゃたや。
 ★唵歩布帝哩。迦多哩。怛他蘗多也。

 【無量威徳自在光明加持飲食陀羅尼】
のうまく。さらば。たたーぎゃた。ばろきてい。
 ★曩莫。薩嚩。怛佗蘗多。嚩嚕吉帝。
おんさんばらー。さんばらーうん。
 唵三婆羅。三婆羅吽。

 【蒙甘露法味陀羅尼】
のうまく。そろばや。たたーぎゃたや。たにゃた。
 ★曩莫。蘇嚕頗也。怛佗蘗多也。怛儞也佗。
おんそろそろ。はらそろ。はらそろ。そわか。
 ★唵蘇嚕蘇嚕。鉢羅蘇嚕。鉢羅蘇嚕。娑嚩賀。

 【毘盧舎那一字心水輪観陀羅尼】
のうまく。さんまんだ。ぼたなんばん。
 ★曩莫。三満多。没多南鑁。

 【五如来寶號招請陀羅尼】
なむたほうにょらい。のうぼーばぎゃばてい。はらぼた。
 ★南無多寶如来。曩謨薄伽筏帝。鉢羅歩多。
あらたんのうや。たたーぎゃたや。じょけんとんごうふくちえんまん。
 阿羅怛曩也。怛他蘗多也。除慳貧業福智圓満。
なむみょうしきしんにょらい。のうぼーばぎゃばーてい。そろばや。
 ★南無妙色身如来。曩謨簿伽筏帝。蘇嚕波耶。
たたーぎゃたや。はしゅうろうぎょうえんまんそうこう。
 怛侘蘗多也。破醜陋形圓満相好。
なむかんろおうにょらい。のうぼーばぎゃばーてい。あみりてい。
 ★南無甘露王如来。曩謨婆伽筏帝。阿蜜 注1)帝。
あらんじゃや。たたーぎゃたや。かんぼうしんじんりょうじゅけらく。
 阿濫惹耶。怛他蘗多耶。灌法身心令受快楽。
なむこうはくしんにょらい。のうぼーばぎゃばーてい。びほらぎゃたらや。
 ★南無廣博身如来。曩謨婆伽筏帝。尾布邏蘗怛羅耶。
たたーぎゃたや。いんこうこうだいおんじきじゅうぼう。
 多佗蘗多也。咽喉廣大飲食充飽。
なむりふいにょらい。のうぼーばぎゃばーてい。あばえん。
 ★南無離怖畏如来。曩謨婆伽筏帝。阿婆演。
ぎゃらや。たたーぎゃたや。くうふしつじょりがぎきゅ。
 迦羅耶。多佗蘗多耶。恐怖悉除離餓鬼趣。

 【發菩提心陀羅尼】
おん。ぼうじしった。ぼだ。はだやみ。
 唵。冐地即多。母陀。波多野迷。

 【授菩薩三摩耶戒陀羅尼】
おん。さんまやさとばん。
 唵。三昧耶薩坦鑁。

 【大寶楼閣善住秘密陀羅尼】
のうまく。さらば。たたーぎゃたなん。
 ★曩莫。薩羅嚩。多他蘗多南。
おん。びほらぎゃらべい。まにはらべい。
 ★羅。尾補羅蘗羅陛。麼抳鉢囉陛。
たたたにたしゃに。まにまに。
 多佗多尼多捨寧。摩尼摩尼。
そはらべい。びまれい。しゃぎゃらげんびれい。
 蘇鉢囉陞。尾麼黎。娑蘗囉儼鼻 注2)
うんぬん。じんばら。じんばら。ぼだ。びろきてい。
 吽吽。入縛羅。入縛羅。没駄。尾盧枳帝。
ぐぎゃ。ちしゅった。ぎゃらべい。そわか
 麌 注3) 夜。地瑟恥多。蘗羅陛。娑縛訶。
おん。まに。ばじれい。うん。
 唵。摩尼。縛日哩。吽。
おん。まに。だれいうんばった。
 唵。麼尼。駄哩吽泮 注4)

 【諸仏光明真言灌頂陀羅尼】
おん。あぼきゃ。べいろしゃのう。まかぼだらー。
 唵。阿暮伽。癈嚕者娜。摩訶畝陀羅。
まにはんどま。じんばら。はらばり。たやうん。
 麼尼盤頭麼。入縛囉。跛囉婆利。 注5)野吽。

 【回 向】
いーすーしゅうあんしゅうせんげん。ほーとーぶーもーきーろーてー。
 ★以此修行衆善根。報答父母劬労徳。
そんしゃーふーらーじゅうぶーきゅう。もうしゃーりーくーさんなんよう。
 存者福楽壽無窮。亡者離苦生安養。
すーいんさんゆうしいあんしい。さんずーはーなんくーしゅんさん。
 四恩三有諸含識。三途八難苦衆生。
きゅうもうくいこうせんなんすう。じんしゅうりんぬいさんじんずー。
 倶蒙悔過洗瑕疵。盡出輪回生浄土。

注1) 正しくは、口遍に栗(栗)
注2) 正しくは、口遍に隷(隷)
注3) 正しくは、口遍に四(四)
注4) 正しくは、口遍に乇(乇)
注5) 正しくは、享遍に單(單)

このお経も”雲集鬼神招請陀羅尼”以降は、陀羅尼に分類されるお経です。
前半の”招請発願”は普通に日本語なので、大まかな意味は分ると思いますが、
このお経を暗記することは”良くないことでは?”と思ったことが有ります。
暗記すれば、いつでもどこでもお経の読誦は出来るのですが、
このお経”甘露門”は、いつでもどこでも読誦するようなお経では無い?

でも、健康法…という側面から考えると、気持ちの良いお経です。
前半の日本語を暗記している所と、後半の陀羅尼を暗記している所が違うような気持ち。
(最後の”回向”は漢文なので、また趣が違います。)
頭をフル回転させないと読誦出来ないお経…というのか、読誦法も違っています。
まず普通のお経よりも読誦の速さが違います。
(速い句は一秒間に3文字くらいで読みます…0.5秒息継ぎでは対応出来ない。)
木魚は使わず、リンや拍子木だけでリズムを整えます。
(リンの音色だけが頭に響くのは、独特の雰囲気です。)
口調からして独特です。
(本来、精霊に”戒”を授けるお経なので、明快に歯切れ良く!)

”甘露門”は、法事でも”お盆や彼岸”に唱えられていたと思います。
私は”大悲咒”を覚える際に購入したCDに入っていたので、覚えてしまったのですが、
軽々に”所有國土の一切の餓鬼”を呼ぶお経を読誦して良いのか?考えたいですね。
ちなみに、”諸仏光明真言灌頂陀羅尼”は、単体の陀羅尼としても知られています。
興味がお有りの人は、Google検索してみて下さい。



N妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈(みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぼんげ)。
 ※”偈”の部分だけ記載します。
 せーそんみょうそうぐ。がーこんじゅうもんぴー。ぶっしーがーいんねん。みょういーかんぜーおん。
 ★世尊妙相具。我今重問彼。仏子何因縁。名為観世音。
 ぐーそくみょうそうそん。げーとうむーじんにー。にょうちょうかんのんぎょう。ぜんのうしょーほうしょー。
 具足妙相尊。偈答無尽意。汝聴観音行。善応諸方所。
 ぐーぜいじんにょーかい。りゃっこうふーしーぎー。じーたーせんおくぶつ。ほつだいしょうじょうがん。
 弘誓深如海。歴劫不思議。侍多千億仏。★発大清浄願。
 がーいーにょうりゃくせつ。もんみょうぎゅけんしん。しんねんふーくーかー。のうめつしょううーくー。
 我為汝略説。聞名及見身。心念不空過。能滅諸有苦。
 けーしーこうがいいー。すいらくだいかーきょう。ねんぴーかんのりき。かーきょうへんじょうちー。
 仮使興害意。推落大火坑。念彼観音力。火坑変成池。
 わくひょうりゅうきょーかい。りゅうぎょーしょーきーなん。ねんぴーかんのりき。はーろうふーのうもつ。
 或漂流巨海。龍魚諸鬼難。念彼観音力。波浪不能没。
 わくざいしゅーみーぶー。いーにんしょーすいだー。ねんぴーかんのりき。にょーにちこーくうじゅう。
 或在須弥峰。為人所推堕。念彼観音力。如日虚空住。
 わくひーあくにんちく。だーらくこんごうせん。ねんぴーかんのりき。ふーのうそんいちもう。
 或被悪人逐。堕落金剛山。念彼観音力。不能損一毛。
 わくちーおんぞくにょう。かくしゅうとうかーがい。ねんぴーかんのりき。げんそくきーじーしん。
 或値怨賊繞。各執刀加害。念彼観音力。咸即起慈心。
 わくそうおうなんくー。りんぎょうよくじゅーしゅう。ねんぴーかんのりき。とうじんだんだんえー。
 或遭王難苦。臨刑欲寿終。念彼観音力。刀尋段段壊。
 わくしゅうきんかーさー。しゅーそくひーちゅうかい。ねんぴーかんのりき。しゃくねんとくげーだつ。
 或囚禁枷鎖。手足被杻械。念彼観音力。釈然得解脱。
 しゅーそーしょーどくやく。しょーよくがいしんしゃー。ねんぴーかんのりき。げんじゃくおーほんにん。
 呪詛諸毒薬。所欲害身者。念彼観音力。還著於本人。
 わくぐうあくらーせつ。どくりゅうしょーきーとう。ねんぴーかんのりき。じーしっぷうかんがい。
 或遇悪羅刹。毒龍諸鬼等。念彼観音力。時悉不敢害。
 にゃくあくじゅういーにょー。りーげーそーかーふー。ねんぴーかんのりき。しっそうむーへんぽう。
 若悪獣囲繞。利牙爪可怖。念彼観音力。疾走無辺方。
 がんじゃーぎゅうぶつかつ。けーどくえんかーねん。ねんぴーかんのりき。しっそうむーへんぽう
 蚖蛇及蝮蠍。気毒煙火燃。念彼観音力。尋声自回去。
 うんらいくーせいでん。ごうばくじゅうだいうー。ねんぴーかんのりき。おーじーとくしょうさん。
 雲雷鼓掣電。降雹澍大雨。念彼観音力。応時得消散。
 しゅーじょうひーこんやく。むーりょーくーひつしん。かんのんみょーちーりき。のうぐーせーけんくー。
 衆生被困厄。無量苦逼身。観音妙智力。能救世間苦。
 ぐーそくじんつうりき。こうしゅうちーほうべん。じっぽうしょーこくどー。むーせつふーげんしん。
 具足神通力。広修智方便。十方諸国土。無刹不現身。
 しゅーじゅーしょーあくしゅー。じーごくきーちくしょう。しょうろうびょうしーくー。いーぜんしつりょうめつ。
 種種諸悪趣。地獄鬼畜生。生老病死苦。以漸悉令滅。
 しんかんしょうじょうかん。こうだいちーえーかん。ひーかんぎゅうじーかん。じょうがんじょうせんごう。
 真観清浄観。広大智慧観。悲観及慈観。常願常瞻仰。
 むーくーしょうじょうこう。えーにちはーしょーあん。のうぶくさいふうかー。ふーみょうしょうせーけん。
 無垢清浄光。慧日破諸闇。能伏災風火。普明照世間。
 ひーたいかいらいしん。じーいーみょうだいうん。じゅうかんろーほううー。めつじょうぼんのうえん。
 悲体戒雷震。慈意妙大雲。澍甘露法雨。滅除煩悩焔。
 じょうしょうきょうかんしょー。ふーいーぐんじんちゅう。ねんぴーかんのりき。しゅーおんしつたいさん。
 諍訟経官処。怖畏軍陣中。念彼観音力。★衆怨悉退散。
 みょうおんかんぜーおん。ぼんのんかいちょうおんしょうひーせーけんのん。ぜーこーしゅーじょうねん。
 妙音観世音。梵音海潮音。勝彼世間音。是故須常念。
 ねんねんもつしょうぎー。かんぜーおんじょうしょう。おーくーのーしーやく。のういーさーえーこー。
 念念勿生疑。観世音浄聖。於苦悩死厄。能為作依怙。
 ぐーいっさいくーどく。じーげんじーしゅーじょう。ふくじゅーかいむーりょう。ぜーこーおうちょうらい。
 ★具一切功徳。慈眼視衆生。福聚海無量。是故応頂礼。
にーじー。じーじーぼーさー。そくじゅうざーきー。ぜんびゃくぶつごん。せーそん。にゃくうーしゅーじょう。
爾時。持地菩薩。即従座起。前白仏言。世尊。若有衆生。
もんぜーかんぜーおんぼーさーほん。じーざいしーごう。ふーもんじーげん。じんづうりきしゃー。とうちーぜーにん。
聞是観世音菩薩品。自在之業。普門示現。神通力者。当知是人。
くーどくふーしょう。ぶっせつぜーふーもんほんじー。しゅうちゅうはちまんしーせんしゅーじょう。
功徳不少 仏説是普門品時。衆中八万四千衆生。
かいほつむーどうどうあーのくたーらーさんみゃくさんぼーだいしん。
皆発無等等阿耨多羅三藐三菩提心

観音経は般若心経と共に人気のあるお経…と何かの本に書いてありましたが、
長さだけ見ると般若心経の倍近く有るようです。(多分”偈”だけで598文字?)
有名なので…というわけでもないのですが、このお経を覚えようと思ったのは、
般若心経を覚えてすぐの頃でした。(この勢いなら覚えられる!…と。)
ところがどっこい!私には、このお経を暗記するのがとても大変。
苦手な”繰り返し(念彼観音力)”が、12回も続くのです。
”或値怨賊繞。各執刀加害。念彼観音力。…??エーと?”この繰り返し。
そんな時に瀬戸内寂聴さんの本を読んで愕然。
私が悪戦苦闘しているのは、観音経の後半(全体の1/3程度)”偈”の部分だと知りました。
これを全部暗記するなんて無理!経本を片手に”偈”だけを読誦すればいいじゃないか。
ということで、暗記目標を”大悲咒”に切り替えた…という挫折経験が有ります。

それでも毎日の経本片手の読誦が良かったようです。
次に挑戦したときは、順番はまだしも”5文字ずつの句”だけはすぐに暗記出来ました。
後はひたすら、”…??エーと?”を繰り返しているうちに、
時どき間違わずに暗唱出来るようになりました。(今でも、偈の部分ではつまづきます。)
そんな状態で”観音経の全文”を暗記しよう…と考えたのは、少し無謀だったのですが、
観音経は”物語り形式”のお経です。
解説本でストーリーを知れば、大まかな流れを把握出来ます。
物語は小さなストーリーの積み重ねなので、地道にストーリー単位で暗記しました。

観音経の「長行(ちょうごう)」(偈より前の部分)には、
”偈”の部分と同じような繰り返し(而為説法:にいせっぽう)
も有るので、いまだに”完璧な暗誦”を体験したことが有りません。
そもそもお手本として購入した観音経CDの読経も14分近いものです。
経本を片手の読誦でさえ”完璧な読誦”は難しい状態。

でも、観音経には人に安心感を与えてくれる響きが有ります。
目の前が真っ暗になるような事態に直面すると、私は観音経を唱えます。
たった15分程度の読誦で、何故か気持ちは変わるものです。
いつの日か完璧な暗唱が出来ることを目標に、日々精進…です。^^;



O妙法蓮華経如来寿量品偈(みょうほうれんげきょうにょらいじゅりょうほんげ)。
 ※”偈”の部分だけ記載します。
 じーがーとくぶつらい。しょーきょうしょーこうしゅー。むーりょうひゃくせんまん。おくさいあーそうぎー。
 自我得仏来。所経諸劫数。無量百千万。億載阿僧祇。
 じょうせっぽうきょうけー。むーしゅーおくしゅーじょう。りょうにゅうおーぶつどう。にーらいむーりょうこう。
 常説法教化。無数億衆生。令入於仏道。爾来無量劫。
 いーどーしゅーじょうこー。ほうべんげんねーはん。にーじつふーめつどー。じょうじゅうしーせっぽう。
 為度衆生故。方便現涅槃。而実不滅度。常住此説法。
 がーじょうじゅうおーしー。いーしょーじんづうりき。りょうてんどうしゅーじょう。すいごんにーふーけん。
 我常住於此。以諸神通力。令顛倒衆生。雖近而不見。
 しゅーけんがーめつどー。こうくーようしゃーりー。げんかいえーれんぼー。にーしょうかつごうしん。
 衆見我滅度。広供養舎利。咸皆懐恋慕。而生渇仰心。
 しゅーじょうきーしんぶく。しつじきいーにゅうなん。いっしんよくけんぶつ。ふーじーしゃくしんみょう。
 衆生既信伏。質直意柔軟。一心欲見仏。不自惜身命。
 じーがーぎゅうしゅーそう。ぐーしゅつりょうじゅーせん。
 時我及衆僧。倶出霊鷲山。
 がーじーごーしゅーじょう。じょうざいしーふーめつ。いーほうべんりきこー。げんぬーめつふーめつ。
 我時語衆生。常在此不滅。以方便力故。現有滅不滅。
 よーこくうーしゅーじょう。くーぎょうしんぎょうしゃー。がーぶーおーひーちゅう。いーせつむーじょうほう。
 余国有衆生。恭敬信楽者。我復於彼中。為説無上法。
 にょーとうふーもんしー。たんにーがーめつどー。がーけんしょーしゅーじょう。もつざいおーくーかい。
 汝等不聞此。但謂我滅度。我見諸衆生。没在於苦海。
 こーふーいーげんしん。りょうごーしょうかつごう。いんごーしんれんぼー。ないしゅついーせっぽう。
 故不為現身。令其生渇仰。因其心恋慕。乃出為説法。
 じんづうりきにょーぜー。おーあーそうぎーこう。じょうざいりょうじゅーせん。ぎゅうよーしょーじゅうしょー。
 神通力如是。於阿僧祇劫。常在霊鷲山。及余諸住処。
 しゅーじょうけんこうじん。だいかーしょーしょうじー。がーしーどーあんのん。てんにんじょうじゅうまん。
 衆生見劫尽。大火所焼時。我此土安穏。天人常充満。
 おんりんしょーどうかく。しゅーじゅーほうしょうごん。ほうじゅーたーけーかー。しゅーじょうしょーゆうらく。
 園林諸堂閣。種種宝荘厳。宝樹多華果。衆生所遊楽。
 しょーてんきゃくてんくー。じょうさーしゅーぎーがく。うーまんだーらーけー。さんぶつぎゅうだいしゅー。
 諸天撃天鼓。常作衆伎楽。雨曼陀羅華。散仏及大衆。
 がーじょうどーふーきー。にーしゅーけんしょうじん。うーふーしょーくーのう。にょーぜーしつじゅうまん。
 我浄土不毀。而衆見焼尽。憂怖諸苦悩。如是悉充満。
 ぜーしょーざいしゅーじょう。いーあくごういんねん。かーあーそうぎーこう。ふーもんさんぼうみょう。
 是諸罪衆生。以悪業因縁。過阿僧祇劫。不聞三宝名。
 しょーうーしゅーくーどく。にゅうわーしつじきしゃー。そくかいけんがーしん。ざいしーにーせっぽう。
 諸有修功徳。柔和質直者。則皆見我身。在此而説法。
 わくじーいーしーしゅー。せつぶつじゅーむーりょー。くーないけんぶつしゃー。いーせつぶつなんちー。
 或時為此衆。説仏寿無量。久乃見仏者。為説仏難値。
 がーちーりきにょーぜー。えーこうしょうむーりょう。じゅーみょうむーしゅーこう。くーしゅーごうしょーとく。
 我智力如是。慧光照無量。寿命無数劫。久修業所得。
 にょーとううーちーしゃー。もっとーしーしょうぎー。とうだんりょうようじん。ぶつごーじっふーこー。
 汝等有智者。勿於此生疑。当断令永尽。仏語実不虚。
 にょーいーぜんほうべん。いーじーおうしーこー。じつざいにーごんしー。むーのうせっこーもう。
 如医善方便。為治狂子故。実在而言死。無能説虚妄。
 がーやくいーせーぶー。ぐーしょーくーげんしゃー。いーぼんぶーてんどう。じつざいにーごんめつ。
 我亦為世父。救諸苦患者。為凡夫顛倒。実在而言滅。
 いーじょうけんがーこー。にーしょうきょうしーしん。ほういつじゃくごーよく。だーおーあくどうちゅう。
 以常見我故。而生憍恣心。放逸著五欲。堕於悪道中。
 がーじょうちーしゅーじょう。ぎょうどうふーぎょうどう。ずいおうしょーかーどー。いーせつしゅーじゅーほう。
 我常知衆生。行道不行道。随応所可度。為説種種法。
 まいじーさーぜーねん。いーがーりょうしゅーじょう。とくにゅうふーじょうどう。そくじょうじゅーぶっしん。
 毎自作是念。以何令衆生。得入無上道。速成就仏身。

寿量品は、観音経(普門品)と同じ”妙法蓮華経”のお経ですが、
一般にはあまり知られていない?ようです。(観音経のような解説本が無いので。)
最初に購入したお経本では、普門品偈の次に寿量品偈が載っているので、
普門品偈の経本読誦をしていた際、自然に寿量品偈も読誦するようになりました。
寿量品も「長行(ちょうごう)」が有るので、機会が有れば読誦したいのですが、
”よみがな付きの寿量品経本”を見つけることが出来ません。
寿量品偈も曹洞宗読みのCDを見つけられないので、臨済宗読みで覚えたのですが、
寿量品偈には”繰り返し”が無いので、普門品偈よりは容易に暗記出来ました。
(寿量品偈は多分510文字…普門品偈より少し短いのも一因でしょうか?)

普門品偈と同じ形式、一句5文字の偈なので、リズムは良いのですが、
前半”時我及衆僧。倶出霊鷲山。”の辺りは、二句で一組の構成になっています。
4句一組の感覚で読誦していると、どこを読誦しているのか分らなくなるのは私だけ?
(基本的にお経読誦は”棒読み”なので、こだわる必要も無いのでしょうが…。)
0.5秒息継ぎも出来ますし、それさえ注意すれば、気持ちよく読誦出来るお経です。
読誦を始めてフト気が付くと、もう後半…大悲咒と同じように流れの良いお経です。
このお経を読誦し終えたら”さぁ、今日も精一杯仕事をしよう!”です。^^;





3.その他のお経。

毎朝読誦しているお経の他にも、沢山のお経が有ります。
そのなかで私が、時々でも読誦しているお経を紹介します。
@修証義(しゅしょうぎ)。
 明治時代に日本で編集されたお経なので、注意深く読めば意味も理解出来ます。
 これは第一章から第5章まで有るので、全て読誦すると30分位掛かります。
 今でも時々読誦することは有るのですが、他のお経を読誦することが増えました。
 修証義は曹洞宗の教えをよくまとめています。

A仏垂般涅槃略説教誡経(ぶっしはつねはんりゃくせっきょうかいきょう)。
 仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)とも呼ばれますが、釈迦の最後の教えです。
 道元禅師が正方眼蔵の最後に著した「遺誡」でもありますが、修証義よりも長いです。
 今でも少し寝付けない夜には読誦しますが、何度読んでも清々しい気持ちになります。
 これは、”曹洞宗の教え”以前に、釈迦の教えそのものなので、意味も深いです。
 ”般若心経”や”普門品”の解説書は見かけるのですが、
 ”仏遺教経”は日本語なので、解説書を必要とされていないのでしょうか?
 ”人間をやめてしまいたい。”ほどに落ち込んだ時は、”仏遺教経の読誦”をお勧めします。

B参同契(さんどうかい)。
 これも漢文を法語に読み下したお経なので、読み易いです。
 ものの3分で読めるお経なので、気分転換にも適しています。
 ”暗中に当って明あり”という言葉には、なぐさめられたり、元気を貰ったり…です。

C宝鏡三昧(ほうきょうざんまい)。
 これも漢文を法語に読み下したお経なので、読み易いです。
 ものの5分で読めるお経なので、参同契と一緒に読みます。
 ”木人まさに歌い、石女たって舞う”という言葉は、私たちの認識力を戒めてくれます。
 また、”銀盌に雪を盛り、明月に鷺を蔵す。”という行は有名です。

D道元禅師座禅箴(どうげんぜんじざぜんしん)。
 座禅を行なう際の”心得”を短く説いたお経。
 ”魚行きて魚に似たり。…。鳥飛んで鳥の如し。”は、宝鏡三昧に通ずるものを感じます。

E白隠禅師座禅和讃(はくいんぜんじざぜんわさん)。
 これは日本の臨済宗の禅僧”白隠禅師”の”詩”です。
 ”衆生本来仏なり”から始まって、座禅の功徳を讃える詩なのですが、最後も、
 ”此の身即ち仏なり”と、”即心是仏”を説いています。
 心と脳は同じでは無い…と教えてくれているようです。

F僧堂朝課回向(そうどうちょうかえこう)。
 お経読濡の功徳を、曹洞宗の歴代和尚によって回向されますように…というお祈りです。
 曹洞宗の歴代和尚は、”毘婆尸仏大和尚”から始まって、”釈迦牟尼仏大和尚”…
 ”菩提達磨大和尚”…”大鑑慧能大和尚”…”永平道元大和尚”…”瑩山紹瑾大和尚”まで、
 61人ですが、数人だけでも知っておくと、仏教の歴史書を読むのが楽しくなります。
 ちなみに、61人の名前を”3回の呼吸”で読誦出来ると、肺活量が増えた気持ちに成れます。

G十仏名(じゅうぶつみょう)。
 曹洞宗では”回向”の後に、”略三宝”を唱えるのですが、”略”さないのが、これです。
 正直言って、”読み方がよく分らない”ので、あまり読誦もしないのですが、
 読誦すると頭の中に不思議な響きが残ります。

H五観の偈(ごかんのげ)。
 これは食事の前に唱える短いお経です。
 ”一つには功の多少を計り彼の来処を量る。”から始まって、
 ”五つには成道の為の故に今此の食を受く。”までの5つですが、
 私は朝食の前だけは、唱えるようにしています。

Iフ鉢の偈(けいはつのげ)。
 これも食事の前に唱える短いお経です。
 ”一口為断一切悪。二口為修一切善。三口為度諸衆生。皆共成仏道”。
 (いっくいだんいっさいあく。にくいしゅいっさいぜん。さんくいどしょしゅじょう。
  かいぐじょうぶつどう。)
 これも朝食の前だけは、唱えるようにしています。

余談:御にこにこ。腹立てまいぞ。(おんにこにこ。はらたてまいぞ。)
  何かの本に書いてあったお経?です。
  仏遺教経にも瞋恚(しんに:怒り・恨みの心)を起こしてはならない、
  と書かれているのですが、常人なら、腹も立つし、愚痴の一つも有るものです。
  夫婦喧嘩の最中にも、”このままだと大変なことになる。”と思うくらい、
  瞋恚の火が燃え盛ってしまうことがあります。
  そんなとき、”おんニコニコ!腹たてまいぞ!”一言唱えることが出来たなら、
  不思議なくらい瞋恚の火は治まります。
  試しに一度、試してみては?^^;



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