溝切り体験

     この年、主人の仕事は一段と忙しかった。
     普段はとっくに済ませなくてはいけない「溝切り」(←詳しくはこちらをクリック)がまだ。
     「溝切り」をしないことには、田んぼに水が入れられない。 主人も思うように田んぼの
     準備ができないことでイラ立っていた。 この展開は・・・ やっぱり・・・なんでしょうか?(-_-メ)

     にゃおはある日、主人に言ってみた。
     「にゃおが出来る範囲で田んぼの周りを掘ってみようか?」
     溝切りという言葉を使わなかったのは自分にきちんと、その仕事がこなせる自信がなかったから。
     それでもまるっきり溝をつけておかないよりも、ちょっとはマシかもしれない。 そんな気持ちから
     言ってみたのよね。 主人も仕方ないと思ったのか、出来るようならやっておいて・・・という
     ニュアンスで承諾した。 素人でヘタクソな人間が「溝切り」しても、あとから切り直さないと
     いけないようだと二度手間だもんね。 本当は人に任せたくないんだろうけど、もう、どうしようも
     なかったってことだろうな。 コンクリート畦(あぜ)の部分は鍬(すき)を使ってやってもいいけど
     石垣の部分はデコボコしてて、掘るのが難しいのと、逆に鍬の刃を傷め兼ねないからスコップで
     掘るように言われた。 そして土畦(あぜ)の部分はモグラの穴を修理しながらしないといけないし
     これを上手くやっておかないと、水を入れた時に大変だからやらなくてよいとも言われた。
     よっしゃ。 がんばってみようじゃないの!!
     こうして、にゃおは一大決心のもと、スコップを片手に田んぼへと出陣したのであった(笑)

     石垣から20センチくらい離れた場所にスコップを入れて、土をすくい上げるようにして掘る。
     掘った土はできるだけ田んぼの中の方に投げておく。 にゃおんちの田んぼは広いから
     なかなか土を均等にならすことが難しい。 トラクターが十分に入れない端っこの方などは
     どうしても、向きを変える時の勢いで、土が寄せられて高くなりがちになっちゃうのだ。

     溝切りはたいてい、石垣の草取りと前後した時期にする。
     だけど、この頃はもう夏並みの気候の時もあって、田んぼの中は草だらけ。
     もちろん、荒起こしはしてあるにしても石垣の際はできないから、そのまま草がはびこっている。
     この状態をスコップで掘り起こすのはかなり力が要るのよね。 スコップを突き立てても
     なかなか深くささらない。 足をのっけて体重をかけるようにすると、ブチっと草が切れる音と
     共に、スコップが入っていく。 それをよいしょっとすくうのだけど、今度は深くささった分、
     重くてなかなか、すくい上げられない。 
     のちのち、田んぼに水を入れた時に速やかに田んぼ全体に水を行き渡らせるための
     溝だから、深い方がいいに決まってるのだけど、これじゃ、ラチが開かないぞ。
     にゃおにあまり無理がかからない程度で深さを調節しながら、やってみる。

     はっきり言って、重労働だな・・・
     照りつける太陽。 流れる汗。 
     (あづい〜 ノドが乾くぅ〜)

     すくい上げる時に力が要る。 
     すくい上げたら、そのまま腰を回転させるようにして後方へ土を投げ飛ばす。 
     中腰っぽくなるから腰が痛い。 腕は明日、筋肉痛になってるだろう。

     にゃお一人が仕事をする時には、基本的に午前中しかしないので(午後は暑いし
     家の中のことが何もできなくなっちゃうもん)、2日間かけて石垣沿いの溝掘り完了。
     それから、コンクリート畦(あぜ)の部分は、鍬(すき)で溝堀り。 これは1日で出来た。

     どうよ。 このデカイ田んぼのほとんどの溝をひとりで掘ったぞ。
     我ながらよくやったと思いません?
     「それくらい、当たり前じゃ」と思ってる主人からは、どうせ、ねぎらいの言葉も、お誉めの言葉も
     ないだろうから、せめて自画自賛してやらないとね。 
     でも、来年からもひとりでやっとけ・・・ってなことになりそうだなぁ。
     ああ・・・ (((o_ _)o

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