あれれ…^^;の知らなかったこと


知ってる人にとっては、常識なのでしょうが…。
エッ!!そんな事があるの?!と思った事を書き留めました。
でも、この気持ちを持てなくなったら、あれれ^^;も終わりと思ってます。
技術に進歩が有る限り、何でも知ってる人なんて居るはずがない!!と思うから…。

 2009. 9.25 :極厚材仕様構造の原寸には要注意。
 2006. 6.1  :原寸師の”感覚?”には裏打ちが有る。
 2006. 5.18 :目の前に100円玉…拾いますか?
 2006. 5.18 :マンホールが干渉する?
 2005. 7.3  :現地溶接の考え方は2つじゃなかった。
 2005. 7.3  :NC用のデータ作成は難しい?
 2005. 6.5  :沈埋函の端部鋼殻(その2)。
 2005. 2.6  :沈埋函の端部鋼殻(その1)。
 2004. 9.2  :沈埋函の七不思議。
 2004. 1.7  :縦断勾配と横桁フランジの取付度は違う。
 2003. 3.21 :曲げ部材の展開は、案外難しい。
 2003. 3.21 :2t√は、空念仏では無かった!
 2003. 1.16 :溶接長規定を利用する方法が有った?
 2003. 1.7  :橋だけが道路ではない?
 2002.12.7  :原寸担当者に求められること?
 2002. 9.20 :現地溶接部の開先は?(縦リブ)
 2002. 9.9  :片側溶接のスカラップの向きは?
 2002. 9.6  :現地溶接部の開先は?
 2002. 9.4  :橋脚の柱は、Jスキを片逃がしにする?
 2002. 7.5  :ボルト用の長孔が明けられない?
 2002. 6.17 :床版用型枠の受材がV−stと干渉する?




21.板厚が50ミリを越えるフランジとは。
  一般に橋梁で”フランジ”といえば、30ミリ以下の板厚を予想するのですが、
  (概ね非合成の鈑桁なら20ミリ前後?省力桁でも40ミリくらいだと思います。)
  フランジ厚70ミリ…とか言われると、その板厚を想像するのは難しいものです。
  ある意味図面とは怖ろしいもので、板厚に何ミリの材料を指示しても同じ重さです。
  (図面枚数が増えれば少し重くなりますが。)
  その上”フランジ”と言えば一般には矩形(長方形)なので、つい安易に考えてしまうのですが…。

  例えば60ミリと36ミリのPLを板継するとします。
  板厚差は24ミリなので、1:5テーパーを取れば120ミリ。
  仮にルートフェイス5ミリで60°のV開先を取れば開先深さは31ミリ。
  電卓をたたくまでもなく簡単に計算出来るのですが…。
  120ミリ幅のテーパーって122ミリ厚のPLを切断することに成りませんか?
  60°のV開先って断面積だけでも555平方ミリ?
  (溶接棒の断面積が20平方ミリ前後だと同じ箇所を30回近く溶接する計算?)
  それだけの切断設備と溶接環境が有るのだろうか…を考える必要が有るわけです。
  私は客先のご好意で実際に加工されたものを見せて頂いたのですが…絶句でした。

  原寸資料を作成は机上でも出来るのですが、現場で実際に加工されたものを見ることが大切。
  良かれと思って部材の隅に付加した方向罫書きもテーパーに掛れば消えてしまいます。
  元々開先角度には許容範囲が有ることを知らないと、無闇に溶接量を増やすことにもつながります。

  ちなみにフランジを縦横断なりに設定すると、表とウラの配置線にはズレが出るものです。
  普段はそんなことを考えることも少ないのですが、
  仮に1%の勾配でも、60ミリなら0.6ミリ。
  3%もあれば図面では表・ウラ同一位置での指示も1.8ミリずれてしまいます。
  この数値が大きいかどうかを判断するのも原寸作業者にとっては大切なことですが、
  いずれにしても”知らなかった。”では済まない問題です。

  さして大きくもない物件なのに、トン数だけは多いなぁ…と思ったら、まず板厚です。
  基本的にフランジの板厚差が大きく出る構造は、板逃がしも内逃げです。
  舗装すれば板厚差なんて…と言っても限度が有るものです。
  フランジにテーパーを取るのは”開先指示”で済みますが、
  ウェブはそのテーパーが”外形”になります。
  テーパー通りに外形を作るのも難しいのですが、それだけでは”ダメ!”なので、
  クリアランスの管理について充分な確認が必要です。

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20.部材のグルーピング値を決められますか?
  私が橋梁原寸に携わったのは30代になってからですが、当時私より10歳位年上の人が、
  ”これはダメ!”とか”今回はこれで良い”を具体的な数値を挙げて断言していました。
  経験を積めば、その境地に達することが出来るのかなぁ…と思いつつ10数年。
  その当時の客先係長の年齢を越えたのに、いまだに私は決められない…。

  先日、ある客先で、どう見ても私より若そうな人が、”それは1ミリです。”と断言するのを聴き、
  ”決められる、決められない…は年齢ではない。”ことを、改めて感じました。

  グルーピングは、断面部材や添接板を取材する際には必ず考慮すべき課題です。
  俗に”部材の丸め”と言うと、”横着”だとか勘違いされる向きも有りますが、
  どの部材(構造)が丸めるか?丸められないか?を理解することが大切です。

  今はCADが普及しているので、0.1ミリでも0.01ミリでもミクロン単位でも原寸出来ます。
  それをやる事が必要な場合も有るし、それが”無意味”な場合も有る。
  若い頃は”何でもミクロン”だった私が、ようやく分りかけてきた境地です。

  ちなみに前述の”1ミリ”は、”材片の組合せ精度”のことです。
  ”示方書に載っていますよね?”と言われて、”本当ですか?”とは言えない悔しさ!!
  (いなかの書店には置いて無いので…なんて、絶対に言えません。)
  新幹線代が余計に掛かってでも、専門書を手許に置くことは大切です。

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19.図面指示の”10C”は要注意!
  俗に”指示の無いコーナーカットは、10C”…とか、空念仏が有るようですが…。
  何故、10Cなのか?をベテランに尋ねると、”隅肉6なら10Cで埋め戻し”と答えます。
  確かにそれで正しいし、それを見越して図面にはカット量を明記していない事も多いです。
  ところが時折”10C”と図面に明記が有ると”親切な図面”と思うのが、素人のようです。

  図面を描く人が、通常指示しない”10C”を念押しするのは、”確実に埋め戻したい”箇所です。
  いわゆる”隅角部”とか”フルペネ箇所”は構造上重要なので、部材のコーナーも注意して欲しい。
  そんな気持ちが、”10C”という3文字に託されているのです。

  実はとても悔しいのですが、この”10C”が曲者で、何度も同じ失敗をしています。
  理屈は簡単で、”母材に開先が有れば、それが開先方向の脚長”なのです。
  正しくは”(開先高さ+3〜4):10”がコーナーカット量ですね。

  そもそもフルペネ箇所は溶接脚長の指示が無いので、”10C”の照査自体が難しいはずですが、
  難しい箇所に図面指示が有る…と言うのは、目の前に”100円玉”が落ちているようなもので…。
  それを”ラッキー!”と思うのか、”1円玉だろ?”と思うのかが悩ましいところです。

  私が何度も同じ”10C”に騙されるのは、”貧乏”が故なのでしょうが…ダメですね。
  貧乏が故に辛い仕事も楽しく感じられる…人の情けを嬉しく事も有るわけです。
  ここは一つ”拾ったお金は交番へ(客先確認)”の”道徳(流儀)”を思い出したいものです。

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18.マンホールの蓋(扉)は開きますか?
  箱桁には付き物の”ヒンジタイプのフタ”ですが、これが”干渉”と言うと頭に浮かぶのは、
  ”開閉方向”と”ヒンジの付け根”でした。
  逆に、それさえ照査しておけば、マンホールで不具合なんて有り得ない!…と思ったら大間違い。
  まさか、補強用の横リブが干渉しているなんて…で、とても恥かしい思いをしました。

  考えなければならないのは、マンホールの開口高さでした。
  人が通り抜ける”穴”だから、何も問題が無ければ、跨ぎ易い高さに有るはずです。
  ところが、よく見かける”マンホール”は、取手やステップが必要な高い位置に開口されます。
  ”なんでそんな無駄なことを…。”と思う前に、”何故、そうなのか?”を考えることが大切。

  今回は、”ダイヤフラムのみを原寸”という作業だったため、”主桁図の照査が不充分だった”
  のも確かなのですが、仮に主桁を一緒に原寸していても気付けなかったと思います。
  ”発想力”…と言うのか、”ステップが無いけど、大丈夫かな?”という感覚ですね。

  効率を追い求める事と、必要な物を減らすこと…は、大きく違います。
  ”人が跨ぎ易い高さだから、ステップは要らない。”では無く、
  ”人が跨ぎ易い高さには、色々な物も取り付け易い。”という感覚が必要です。

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17.現地溶接部の隙間管理は目立ちます。
  長いこと(3年くらい)現地溶接部の隙間管理は2通りだと信じていました。
  1つは添接板(スプライス)を拘束治具代わりにして固定後溶接。
  もう一つは、専用の拘束治具を使用して固定後溶接。
  いづれも現地で溶接(火を使う)する方法なので、橋梁のような陸上構造物には馴染まない方法です。

  だから苦手…という訳でも無いのですが、この種の問題にはいつも神経質になっています。
  ところが今回、客先が要望して来たのはスプライスで固定する際に、隙間を正規にする方法でした。
  これまでスプライスで固定する際は、隙間を2ミリ広げていたはずだから、何かが違う…。
  嫌な予感を感じたので、原寸時、仮組み時、完成時の隙間要領を自分なりに整理して作業を行ったのです。

  結果…客先から”ミソクソ一緒にするな!”の大激怒電話。
  ミソもクソもあれだけ完璧に理解して原寸したのに…と調査すること2日。
  なんと、考え方は正しかったのに、慣れない操作で組立合印の設定を間違っていました。

  私は拘束治具を使用する考え方が、現地溶接部の隙間設定には一番簡単だと思っています。
  骨組図に正規の隙を設定してから、単純に1ミリとか0.5ミリとか隙を詰めれば良いはずだから…。
  (正規の隙が5ミリなら、隙を3ミリにすれば良いだけ…考え易い。)
  ところが今回の方法は、正規の隙が5ミリなら仮組み時の隙も5ミリで溶接縮み1ミリを折り込むやり方。
  これって、隙の設定をする前に、組立合印を設定しないと勘違いを起すのです。
  組立合印ってジョイント芯から100とかに設定するのですが、
  仮組み時に正規の隙ならばジョイント芯から部材端の隙も一定なのでは?とどこかで思い込んだのでしょうね。
  溶接縮みを付加する際にジョイント芯を動かしてから、正規の隙で部材端を設定。
  その後、部材端から99で組立合印を設定…”全滅!”です。

  正しくは溶接縮みを付加する前にジョイント芯から99で組立合印を付加するべきでした。
  (又はジョイント芯を固定して溶接縮みを付加するか、一緒に延ばして部材端から100にするか…。)
  実際、この考え方は案外難しいです。
  皮材だけならまだしも、ジョイント部に添接タイプの縦リブとかダイヤとか有ると、訳が分からなくなります。
  (2次部材の隙は添接タイプの場合縮まない…それなのに、どこかが縮む設定が必要。)

  教訓です。
  ジョイント芯は何があっても動かすな!!!
  変な話ですが、いつもは現地溶接部のジョイント芯を”架空線”にしてから作業をしています。
  架空線からのオフセットで部材端は設定出来るはずなのに、何故かオフセットした要素を架空線にしたようです。
  ジョイント芯を動かさない!!を徹底すれば現地溶接部の要領を恐れることは無い!!

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16.NC用のデータは落ち着いて作りましょう。
  有ってはならない常識なのですが…切断データの外形がつながっていませんでした。
  CADを使っているので、操作が正確ならばあり得ないと思っていたのですが、
  コーナーを拡大表示すると見えてしまう納品済みデータの不良です。

  実はこの問題について、ずっと以前から気になっていました。
  部材の面積(NET率)の計算が必要な場合は、閉図形で無いと計算出来ないので、
  その作業中、ごく稀にこの種の不良に気付いていたのです。
  今回は”チェック用に付加した寸法が正しければOK”という作業でした。
  おまけに2週間程度…と予想した作業を10日で終わらせなければならない事情が有りました。
  最低限、大きな誤作を出さないように…と懸命に自主照査もしたのですが…。

  2次部材のチェック用に付加した寸法を、客先が主部材の長さと照合していて気付いたそうです。
  予定より4日早く納品出来た分、客先では落ち着いて再照査して頂けたのだと思います。
  その差”0.5ミリ”が大きいか小さいかは別として、外形線の離れは重大です。
  何故って…それだけでNC切断機はフキ代を反転した指令を出したりします。
  外形切断の中心からフキ代が逆になる(右回りが左回りに認識される)と、言葉が出ません。

  勿論、今後同じ間違いを起してはいけないので、納品前に必ず通す処理にチェックルーチンを入れました。
  テストが予定通りに進み、問題のデータで試したところ今度は完璧に離れを認識しました。
  ”たった一日でプログラムを改良した自分は天才かも?”とか自我自賛。
  他のデータでもちゃんと動くよな〜…とか思いつつ、納品済みデータで動作確認。
  ”処理終了”のメッセージが出るのを待つこと3秒!!
  画面に表示されたのは”外形線が離れています”って、これ納品済みデータじゃなかったっけ…?

  なんと納品した6つのファイル(300部材)の内3つのファイル(3部材)が外形不連続でした。
  ”たった300部材で3つも外形線不連続データを作ってしまって…バカじゃないの?”です。
  まだ切断前なのを知っていたので、慌てて修正してお詫びと共に再納品をしたけれど、ダメですね。
  どんなに注意しても不具合が無くならないのは、目に見えない不具合が1%程度は有るからかも知れない。
  重大事故の発生は”ヒヤリ!ハッ!と”の積み重ねだという説が有ります。
  小さなミスが積み重なって重大事故が起こる…という説です。
  それが本当なら、外形不連続のミスをゼロにすれば、重大誤作の確率も下げられるかも…。

  それにしても、こういう問題は私に限ったことでは無いはずです。
  オートCADとかには、連続線の考え方とか無いはずです。
  それなのに、皆さん”外形は連続線!”の常識を守れているのでしょうか?
  冷や汗をかくのは100回くらいまでにしておかないと、”重大誤作”が待っているそうです。

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15.端部鋼殻…って簡単じゃない
 @最後に設置するのは最終ブロックじゃない!!
  お馴染み端部鋼殻の原寸は、今回で5度目になりました。
  以前”1号函”ブロックに携わった際、普通の構造だったので”最終ブロック函”も似ているはず、
  縦断勾配も4%までなら実績有るし…と油断した訳でも無いのですが…。
  凄い!凄い構造に出会えました!!
  隣接ブロックとの断面角度が、なんと17度!!エッ縦断が30%?
  思わず目が点になったのですが、何故そうなのか?まで思いが至らなかったのが問題。

  実は沈埋函の設置って、最終ブロックが最後に設置されるとは限らないようです。
  俗に”橋梁”でも”落とし込みブロック”が有るのですが、それを海底で行うのです。
  橋の架設なら落とし込みブロックをクレーンで吊り上げて、慎重に架設…なのでしょうが、
  こと海底では潮流やら水圧やらの条件が複雑で、”慎重”だけでは難しい。
  そのために断面を鋭角(クサビ形状)にして、落とし込みを容易にするのです。
  私が携わったのは、落とし込みブロックの隣だった上に縦断勾配が有ったので、
  考えても見ないような角度になっていた訳です。

  これだけ角度がきついとT継手の殆どに開先が必要になりますが、これが函の全周で変化する?
  パイプの貫通部とかDPLの内径とかも正円なんてことは有り得ない訳です。
  図面値と実測値との調整も難しく、当初は何が問題なのかすら分からなかった。
  結局は3次元でモデリングしたスケルトンを命綱にして切り抜けたけど、
  いつもと同じで予想した作業工程が守れずに、ご飯も喉を通りませんでした。

  こういう特殊な構造物に携わる際は、自己判断の幅を拡げる工夫が必要かも知れません。
  構造自体が成り立っているのかどうかを照査するのと、工場仕様の検討は別問題。
  何もかもの判断を同時に仰げば、工事担当者の方も混乱するばかり。
  増して変更図の出図なんて待っているようでは、作業も進まないのが当たり前。
  自分で最善と判断したら、自分で図面を修正して客先の判断を仰ぐくらいの力量が必要。
  原寸担当者が図面修正するのは”ご法度!”…と言われたのは過去の話になったのかも?
  これまでの原寸作業が、これからも同じ流れのままとは限りませんから。


 A水圧…って想像以上に厄介
  これは”鉛直ストッパー”という艤装品?での話ですが、
  本来、水密であるはずの構造物の外板に切り欠きが有ったのです。
  確かに鋼殻本体とは溶接接合だったので、海水が入っても問題無かったのですが…。
  いくらなんでも海水が構造物の中に入るのは?と疑問を感じた訳です。

  水圧…って、橋作りでは考えないですものね。
  鋼殻本体はモルタルとか注入するするから、水圧の影響が緩和されているのであって、
  中身の無い鋼殻だと水圧から溶接部等に破壊が発生するそうです。
  今回はストッパーの板厚と大きさから計算すると、密閉でも”可”という解答でしたが、
  この切り欠きにそんなに深い理由が有るのなら…と最後まで保留扱いにしました。
  物事、聞かなきゃ分からない事が有るし、知って背筋が凍る想いもしばしばです。
  どうしてそうなの?という素朴な疑問が持てたら、一人前のエンジニア?


 B鋼殻の内面側に開口
  沈埋函の内面側スキンPLには、本来、”孔”や”穴”を明けません。
  何故って、モルタル(コンクリート)を注入(打設)すると、水分が洩れるから。
  極当たり前のはずなのに、何故か上床版の内面には300φの開口が幾つか有ります。
  勿論、フタで塞いでからコンクリートの打設を行うのですが、何故必要なのか疑問でした。

  これって、下床版にコンクリートを打設するための穴だったのですね。
  ”上床版の穴なのに下床版の打設に関係が有るの?”って思ったのですが、
  ”じゃあ、下床版はどうやって打設するの?”って聞かれて、”あっ!”です。
  コンクリートの打節には、”ホース”が必要なのですが、ホースの通り道まで想像出来なかった。
  言われてみれば、ふつうに見かける”ホース”の径より大きそうな穴径です。
  な〜〜ンだ、そうだったのか〜…って思った瞬間、ハッとしました。
  それならば上床版の外面側の穴と通っていないとおかしいのでは?
  ”勿論です!”っていう客先の返事に、”申し訳有りません!照査していませんでした…。”
  切断前だったので勿論、その後照査致しました。
  でも実際、こんな箇所に”トレミー菅”なんて有るはずも無いですね。


 C端部鋼殻の組立ベース面
  今回は、この件で私は”大失敗”をしてしまいました。
  工事担当の方には何とお詫びをしたら良いものか、何度も何度も考えました。
  それだけの失策を犯しながら、”ワハハ”と笑って名刺を受取って頂いた客先にもう一度お詫びです。
  ”お騒がせして申し訳有りませんでした。私の発想力こそが未熟でした!”

  端部鋼殻って、上・下床版、側・中・隔壁共に工場内で組立てなのです。
  ブロック長に対して函軸直角と函高が長ければ、当然、完成時のベース(下床版)に拘る必要は無いのです。
  言い訳になりますが、私はこれまでの4回全てを組立ベース下床版で考えていました。
  でも、本体ブロックとの継手面をベースにすれば、工場の作業は格段に効率化出来ます。
  何故、今までその事に気付けなかったのでしょうか?
  確かに原寸上は難しい問題が発生しますが、ジョイントベースは理にかなっています。
  どうしてそんな当たり前の事に気付けなかったのか…とても悔しいです。

  何事も勉強なのですが、工事指針とかに”下床版ベース”とか書かれていると、
  端部鋼殻の特殊性に想いが至らなくなるのが凡人…のようです。
  凄い人!って沢山居ますが、そういう人達って”分からないンだけど…”って堂々と発言します。
  私達”凡人”は分からないと”多分、皆は分かっているので自分だけだと恥ずかしい。”と考えます。
  でも、情けないかな、ジョイントベースを提唱した人の疑問には、何一つ解答が有りませんでした。

  世の中には凄い人が居る…その凄さに始めて触れました。
  ペイントの要領で物の構造を考えるなんて、今の私には難しい考え方です。
  もっと頑張ります!
  この悔しさをバネにジャンプします!

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14.縦断のきつい端部鋼殻には要注意!!
 端部鋼殻の原寸は、今回が3度目。
 最初は客先と喧嘩になるくらい、難しくて分かり憎い構造だと感じました。
 ところが2度目の端部鋼殻が、異様に簡単だと思えたので、”自分が進歩した!”って思いました。
 果たして3度目の端部鋼殻は…うっ!?ワァー!!訳が分からない!!

 原因は縦断勾配の違い…のようです。

 一般に、沈埋函の一般部(端部鋼殻以外のブロック)は、縦断勾配を意識せずに製作が出来ます。
 (本当は拡幅とか有ると、微妙には異なりますが…。)
 そもそも、一般部の製作を容易にするために”端部鋼殻”が有るわけで…当然、簡単では無い。
 2度目の端部鋼殻は3号函…海底トンネルの真中辺りだった(縦断が浅い)ようです。
 関門トンネルのような、”海底トンネル”を通ると分かるのですが、
 海底は陸地よりも海抜が低いので、入り口と出口には、必ず縦断勾配が発生します。
 しかし、海底までたどり着くと、一定区間は高低差もなだらかになるようです。
 そうのような一定区間は、縦断勾配が小さいので、一般部も端部鋼殻も同じ??

 まあ、今の日本の総理大臣の言いようでは、”人生色々、会社だって色々”なのですが、
 沈埋函も色々…同じ工事の沈埋函でも、ブロックが違えば、大きく難易度も変わるようです。
 実際4%縦断の勾配で、端部鋼殻床版のハンチ部を展開すると、それはもう感激ものです。
 何でこんな外形になるの?って、しばし考えないと理解出来ないほど、図面とは違う形状になります。

 さて、ここで問題なのは、2回目の端部鋼殻と3回目の端部鋼殻の所要工数です。
 殆ど、同一の構造物として見積もったのですが…これは、大きな見当違いだったようです。
 実際、今回は”何でこんなに捗らないの?”って思うほど、難しい原寸でした。
 でも、だからと言って、納期を守れない程の見当違いでも無かったようで…。
 同じ金額なのだから、どちらかが儲かって、どちらかが赤字だった?はずなのですが…。
 従業員一名のNAPCOでは、どちらも有難い物件でした。
 取り敢えず、忙しければ、お金を浪費する暇が無い!のが”小企業”?
 8時間働けば、一日が終わり…って決めたのは、英国で炭鉱労働に携わった方々らしいです。

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13.沈埋函七不思議
@SKIN(スキン)−PLの語源
 別段、18禁のホームページじゃ無いので、堂々と説明すれば良いのですが。
 私で無くとも、スキン・プレートという語源には、少なからず興味が有ると思います。

 当初、私は、橋梁や鉄骨や造船では馴染みの無い構造名に、かなり戸惑いました。
 ”S−WEB”とか”S−FLG”とか、訳の分らないファイル名を作った記憶が有ります。
 でも、今にして思えば、SKIN−PLは、確かにスキン・プレート以外の何物でも無いのです。
 沈埋函は確かに鋼構造物なのですが、実は、モルタル(コンクリート)を入れる器です。
 鉄で作った”皮膚”を形鋼(筋)で補強して、その中にモルタル(身)を流し込む。
 逆に言えば、モルタルが洩れないような素材ならば、ゴム?でも良い訳で…。
 勿論、何百トンというモルタルを流し込んでも破れない”皮膚”と言えば、限られますが…。
 でも、だからと言って厚板を使うのでは、モルタルを充填する意味が無い訳です。
 (そもそも、モルタルの重量で海底に沈めるのだし…8t〜12t位までが標準のようです。)
 ”沈埋函は大きさの割りに鋼重(トン)が無い”という会話を耳にするのは、皮膚が薄いからです。
 モルタルを充填するまでは、船と同じで水に浮かなきゃならない事情も有るし…。
 そう言えば、船の外板も薄板を使用しますが、こちらは”積荷=身”なのでしょうか?


Aセパレーターと形状保持材
 中壁・隔壁のSKIN−PLにビッシリと配置される”マル棒(ズンギリ)”の事ですが、
 何故、同じような”マル棒”に、セパレーターと形状保持材の名称分けが有るのでしょうか?
 これは、土木管理師一級を取ると分るのだそうですが、明確に違います。

 セパレーター:モルタルを流し込んで固める際の膨張を防ぐ。
 形状保持材 :モルタルを流し込むまで、壁の形状を保持する。

 言われてみれば当り前なのですが、知らないと形状保持材の配置を間違えたりします。
 そうです、形状保持材は仮の構造だから、セパレーターの方が圧倒的に数が多いのです。
 間違っても、取り違えて発注なんかしたら…ごめんなさい…では、済みません。


Bトレミー管
 これも中壁・隔壁の中に配置される”籠”のような構造なのですが、
 何故、モルタルを流し込むホースのためだけに、トレミー管が必要なのでしょう?
 ラウンドバーを曲げ加工して”籠”を作るのは、結構大変なのに…です。

 実は、トレミー管って、ホースを入れる道筋を確保するだけの役割では無いのです。
 ホースからモルタルが流し込まれる際、ホースの先が暴れるのを防ぐ!!

 庭に水を撒いていたホースから手を離すと、ホースが蛇のように暴れるのと同じ。
 水よりも比重の高いモルタルを、5Mも垂らしたホースから注入すれば…。
 そうですね、太いホースは、大蛇か竜かに変身して、セパレーターさえ壊すかも?


B床版ダイヤフラムのマンホール
 俗にマンホールと言えば、作業する人が通る穴(開口)ですが、
 沈埋函のマンホールは、蓋をして密閉する構造が多いはずです。
 (側壁部のダイヤフラムは、その限りでは有りませんが…。)
 何故かと言えば、モルタルを上床版の上面から流し込む際に、
 ある程度、区画を区切って注入しないと、モルタルが全体に行き渡らないからです。
 そんなことは常識だ!と誰しも笑う訳ですが…では、マンホールの蓋の取り付け面は?
 と言うと、案外、誤作が多いかも知れません。
 (少なくとも、私は間違えた事が有る…勿論、気付いて修正したけど…。)

 実はダイヤフラムの蓋の取り付け面は、床版上面のマンホール位置で決まります。
 床版の中で作業をして、最後に蓋をした作業者が床版上面から出られる方向。
 これを間違えると、蓋をした人が外に出られないという、最悪の誤作になる訳です。

 ちなみに、蓋の反対側に補剛材を取り付けるのが原則です。
 とかく橋梁では補剛材の取り付け面が問題になることが多いので、蓋は盲点です。
 間違えて、”人柱が必要だと思ったから…”なんて言い訳では、誰も笑ってくれません。


Cハンチ部床版の開口(1)
 中壁・隔壁部の床版は、ハンチ構造にするのが一般的のようですが、
 この箇所には、必ず、人が通れない開口が有るはずです。
 何のための開口なのかと問えば、”モルタル注入口”と教えてくれるので、
 ああ、そうなのか…と納得する訳ですが、これが恐いのです。
 モルタル注入は、ホースを使って行うのですが、ホースは真直ぐに入れます。
 …という事は、上から下まで開口の位置が揃っていないと”おかしい”訳です。
 中壁や隔壁には、色々な物が付いています。
 (非常用の脱出口やら、消火栓の格納庫やら…。)
 勿論、設計段階でこれらの干渉を照査して、開口位置を決めるのですが、
 時として、色々な物の位置が変わったり、追加されたりすると…。
 床版上面から降ろしたホースが、床版の下面で止まるようだと、ガックリです。
 ”床版上下面の照合くらい出来ないのか!”という怒号は、
 当然、その下に有る形状保持材の干渉も見ていないだろう…
 という原寸担当者への失望感に満ちているはずです。
 せめて、床版上下面の”つじつま”くらいは取らないと…。


Dハンチ部床版の開口(2)
 沈埋函の図面には、橋梁では見慣れない”注記”が多いようです。
 先に、”人が通れない穴”と書きましたが、この穴は曲者です。
 確かに人は通れないのですが、太いホースが通る穴ならば、人間の片足くらいは通る訳で…。
 偶然かも知れませんが、床版のダイヤフラムのマンホール位置とモルタル注入口は、
 同じ区画に配置されている事が多いようです。
 床版が組み上がると、箱になるため、その中は決して明るいとは言えません。
 暗くて狭い(1M位の高さ)の中を作業者が歩いてダイヤフラムのマンホールをくぐる訳です。
 まさに”そこ”にモルタル注入口が有って、足を踏み外すのは”不注意”なのでしょうか?
 勿論、モルタル注入口を移動するのは困難です。
 そこでダイヤフラムの図面を見ると、”必要に応じて移動して良い”と注記が有ったりします。
 仮に書かれていなくても、設計担当者にお願いしてみる価値は有りそうです。
 構造上、不可!という回答ならば、せめて工事担当者に”踏み板”を敷くように依頼しましょう。
 たったそれだけの一言で、作業性が上がって、怪我まで防げたら喜ばしいことです。
 でも、”蓋をする前には必ず踏み板を撤去してね。”の、一言も絶対必要です。


E側壁ダイヤフラムのマンホール
 先に、蓋の無いマンホールだと書きましたが、何故でしょう。
 少し考えれば分るのですが、このマンホールはモルタル注入口を兼用しているからです。
 一般に、中壁や隔壁にはダイヤフラムが無いから、セパレーターや形状保持材が配置されます。
 (モルタル注入が容易。)
 逆に側壁にはダイヤフラムが有るから、モルタル注入が困難になる訳です。
 そのため、側壁のダイヤフラムには、これでもかと言わんばかりに空気抜き穴が開くのですが、
 何の不思議も無いようなマンホールでも、時として床版上面の注入口とズレていたりします。
 実際、トレミー管が有る訳じゃないので、ホースを入れてみて始めて分る…ようです。
 私自身、設計変更の知らせが有るまで、まったく気付かなかったのですが、
 こんなに大きな穴なのに…と絶句状態でした。
 恐らくは、ベストの位置に有った床版上面の開口を、何らかの問題で移動したのでしょうね。
 大きな穴だから心配いらない…という訳にはいかないようです。


F沈埋函の注記
 橋梁図面を見慣れた人ならば、沈埋函の注記の多さは異様に感じられると思います。
 SKIN−PLの分割位置を、”必要に応じて見直して良い”とか、
 ”図中の寸法は、鋼殻外面を9tとしてコンクリートの接触面…云々”といった具合です。
 その割には、曲げRの考え方や空気抜き孔の配置とかは、CAD図を計測してみたり…。
 当初は、これで参ってしまいましたが、これは”船”の図面に似ているそうです。
 そう言えば、橋梁ならば”添架物”と言いそうなところを”艤装品”と言いますし…。
 
 造船は公共事業性が薄い…と言うのか、伝統的な産業なので基本的なルールが固まっています。
 橋梁は公共事業性が濃いですし、ベストのパターンを模索している様相が有ります。
 沈埋函は、その中間のような構造物なのでしょうね。
 それは各業者で判断して欲しい…という意図を持って注記も書かれているようです。
 実際、寸法値に少数点が無いのも橋梁図面とは異なるところです。
 構造上問題無いことは、製作工場の判断に任せる…という考え方で作成された図面。
 私自身は、それも良いのでは…と思うのですが?
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12.横桁フランジの取付度
これも、失敗・懺悔のコーナーに掲載するべきかと迷ったのですが…。
横桁フランジを”縦断勾配に合わせて取付ける”工事が有りました。
縦断勾配は2%程度と浅かったので、横桁フランジも同程度と直感したのですが…。

実はこの橋、平均横断6%、平均斜角60度のカーブ橋だったのです。
一般に横桁ウェブとフランジを組む際には、取付度型と呼ばれる”当て型”を使用して取付角を決めます。
その際、当て型は横桁ウェブに対して”直角”に当てるので”平面斜角”が有ると主桁方向とは一致しません。
(21KB)

エクセルで計算した表を見て頂ければ分ると思いますが、横断勾配が6%も有ると無視出来ません。
(縦断勾配は右下がりなのに、取付度は右上がりに”逆転”することが有るのです。)

途中で気付いて計算すると、所掌範囲内は全て縦断勾配と取付度が逆転!!!。
しかし時すでに遅く、取付度を縦断勾配方向で設定した”原寸資料”が作成されていた訳です。
表計算の計算式を作るのに手間取ったのも確かなのですが、CADのように簡単では有りませんでした。
このページの表をクリックするとエクセルデータがダウンロード出来るので、
興味の有る人は勉強してみて下さい。


11.曲げ部材の展開方法
これは、失敗・懺悔のコーナーに掲載するべきかと迷ったのですが…。
実は、曲げ内20R(10t)のPL曲げが、全滅…軒並み長過ぎた。
申し訳ないやら悔しいやらで、ずーと原因を考えていました。
そして以下は、私個人の経験上の結論なのですが、展開って案外難しいものなのです。

実は、プレス金型の世界では、”曲げ(KL)”と”ロール成形”を明確に区別しています。
この10数年、鉄骨や橋梁に従事していて忘れかけていたのですが…。 ”鉄は強い引張り(圧縮)を受けると延びる!”のです。
(嘘だと思う人は、鉄製の”灰皿”や”刀”が何故出来るのか考えて欲しい。)
PLには、曲げても長さが変らない軸”中立軸”が有り、それが”1/2tとは限らない”のは常識です。
ところが、正確に1/3tで曲げ加工をしても、実際には長くなる事が有るのです。
それこそが、”プレス”で曲げるか、”ロール”で曲げるかの違いだと思うのです。
(正確には、同じプレス加工でも、そのプレス方法で結果が異なるはずです。)
つまり、PLの板厚10ミリがプレスで瞬時に曲げられると、局部が9.999…ミリになる。
その局部の範囲が大きければ大きいほど、全体の面積が大きくなる…という理屈です。
今考えて見れば、10tに曲げ内20Rは、難しい曲げ加工だったはずです。
(鉄板には”最少曲げR”があり、概ね、2.5tR程度と言われている。)
かなりの圧力でプレスしないと、20Rの成形は困難だったはずなのです。
あの時、20Rの曲げ型を作るのは無駄と気付いたのに、相談をしなかったのが悔やまれます。
せめて、曲げRの内側で展開長計算をすれば、ここまでひどい事には…。
最善を尽くす…とは、”長時間仕事をする事だけではない!”…という実経験でした。

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10.”2・ティー・ルート”て、何?
うわぁ!本当に知らなかったのです。
多分、初めて耳にしたのは5年くらい前なのに…。
実はこの言葉、正しくは”t1>S>=√2t2”の式を意味するものでした。
(ちなみに、S:すみ肉脚長サイズ、t1:薄い方の母材厚、t2:厚い方の母材厚
 主要部材の応力を伝える場合の”S”は、6ミリ以上で、この式を満足するのが標準。)
これは、原寸という仕事に対する”意識”の問題なのです。
何度も聞いていたはずなのに、”覚える必要が無い!”という意識が私に有ったのです。
何故?って、図面に溶接脚長が描かれて無ければ、設計担当者に問い合わせるのが当り前!
そのような問題を独断して、”応力に対して持たない”と、後で言われても責任が取れない。
でも、時代は変ったのです。
図面に溶接脚長が記載されていなければ、これまでの経験を元に”2t√で良いですか?”と、
設計担当者に問い合わせる方が、問題解決に対する時間が短縮出来る。
増してや、図面に記載された脚長が正しいのかを考えると、”2t√”は、バイブルです。
原寸作業に携わる皆さん、”関数電卓”は、必ず”胸のポケット”に入れていますか?

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9.対傾構ガセットと斜材の重なり
そんなもの、図面通りに作っておけば良い!
…と思われている方、図面通りに作れるのは図面に寸法指示が有るからです。
多分、設計担当者の素朴な指示忘れだと思うのですが…重なりの詳細が無かったら?
一般には引き付け線に鉛直か平行かでガセットの外形を決めますね。
でも明らかに鉛直でも平行でもない外形に詳細が無いと、結構悩ましいものです。
そんな時は、道路橋示方書の重ね継手の規定を利用しましょう。
l>5tとかl>bとかそんな難しい話は抜きです。
あなたの悩みの根源が、上弦材ガセットならば、中間ガセットに注目しましょう。
そこには、”適正”と考えられる溶接長が示されているのではないでしょうか?
対傾構ガセットの外形は、本体付きV−stとの取合い孔と斜材の溶接長で決まります。
孔の方は兼ねてから注目していたのですが、溶接長はマークしていなかった。
(私個人としては、道路橋示方書の同解説が難し過ぎると思うので…)
でも、弱者の武器?では無いけれど、他の橋や構造で成立つ溶接長は”正しい”のです。
勿論、CADか何かで”他の…”を事前照査する必要は有るようです。

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8. 沈埋函も立派な道路です!
これほど素朴に道は道なんだ!と気付いた事が無かった…と言えばそれまでですが。
縦断勾配とか斜角なんていう問題は”橋”特有だと思うのが間違いなのです。
そう言えば海底トンネルに入ったら、下って曲がって上りますものね。
だとしたら、複数のブロックをつなぐ沈埋函の接合部が単純なはずは無い。
そんな単純な事でも、知らないと、”のたうち回る”事になるようです。
今回は、沢山の方々に助けられて、やっとの思いで目途が付いたのですが…。
特徴1)異様なほど溶接構造が多い。
    海の底に沈めるのだから添接構造では水漏れしますものね。
    モルタルを注入する空間が狭いためか、裏当て構造が多いです。
    裏当て=FBなんて決め込んでいると、ソフトパッキンによる裏波だったりします。
    裏当て溶接部はスキを大きく取るので、うっかりすると外形が全滅だったりします。
特徴2)スタッドが多い。
    ボルト孔を明けたら水漏れしますものね。
    うわさには聞いていたのですが、これほど徹底しているとは知りませんでした。
    防火用の布を留めるスタッドなどは、本当に目が眩みます。
    トンネルだって道だから、ライフラインもベッタリ有るようですが軒並み”スタッド”です。
    私の力不足から裏面の取付け指示を他資料にしてもらいましたが、表面だけでも大変です。
    そう、箱内には高流度のモルタルに耐えられる”補強”と”孔”がベッタリなのです。
特徴3)ガスケットビームが命。
    この聞き慣れない構造が最初から不安の種でした。
    今だから、これがだめだとブロックがつなげられない程重要な構造だと言い切れますが…。
    なんと、硬質ゴム?同士を密着させて水密を保ってからトンネルをつなぐのです。
    怖いのは、硬質ゴムとビームをボルト締めする構造だという事。
    こんなもの、お互いの孔位置が正しいのかどうか、付けて見るまで分からない。
    あれれ^^;なんて言ってる日には、”バカモノ!!”じゃ済まない事になります。
    このまま保留で結局は現物合わせ…そうなってくれる事を願うばかりです。
特徴4)バルクヘッド。
    どこかで沈埋函の写真を見た時、函の両端に遮へい板が有った。
    何故か、当初受け取った図面にそれが無いので食事をしていても味気ない。
    ある日、唐突に”バルクヘッドて何?”て聞かれて”バルケットなら聞いた事が…”
    その瞬間の恐怖は当分忘れられない事になりそうです。
    そう、船の原寸ではスティフナーがスチフナだったりダイヤフラムが隔板だったり。
    バルケットは船のロンジバルケットで聞いた覚えが有ったのです。
    ロンジバルケットは、船の長手方向を遮へいする板…。
    予想通り数日後には”図面未出図”の注記と共に遮へい板(バルクヘッド)の参考資料届く。
    重苦しい空気が解消されたのは、”所掌範囲外”の一言でした。
特徴5)艤装品。
    艤装品(ギソウヒン)の”艤”の字て、舟偏が付いています。
    これは偶然漫画で聞いた言葉だったので”添架物”のようなものと察しが付きました。
    ところが図面を受取ってビックリ。本体図と同じ位の厚みが有るのです。
    まさに道、道なのです。
    その厚みが長大橋に匹敵するような物量と難解さで、どっかりと座ってしまいました。
    当初、歩道かと思っていた区画はバラストタンクと呼ばれる構造だと知りました。
    船の感覚から想像すると、そこに注水して函を沈めるのでしょうか?
    でも網の目のような通路が有るのだから、完成したら排水して点検用通路に使うのでしょうか?
    もしかすると、沈埋函って、道のような”船”なのかも?

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7.図面通り作るのは原寸ではない!
図面通りに”モノ作る”事は案外難しいのですが、図面通りに作っては”ダメ”なのは更に難しい。
原寸作業に携わる方は、改めてこの格言?の意味を問い直して欲しいですね。
これからの時代は、原寸担当者が”どうすれば作れるか?”を提案出来なければ失格です。

<原寸作業者が絶対に照査するべき項目>
@斜めウェブに付く排水横引きのコネクション
斜めウェブに対して水平にコネクションが付くような構造は、設計担当者も理解が難しいようです。
平面線形や桁高、ウェブの傾きが変化すると排水中心を求めるのが精一杯。
何かの影響で排水桝の位置でも動かすものなら、照査不能状態に陥るようです。
今回勉強になったのは、斜めウェブに対しては法線方向にコネクションを付けるのが容易だそうです。
言われてみれば、それならばコネクションは矩形になる。
図面では一定角度のコネクションも、ウェブの傾斜が変化すれば、そんなはずがない。

A地覆の継手は裏当て(FB)に固執しなくても良い
平面線形で折れが有るような鋼性地覆はベンド出来ないので分割するしか有りません。
その際に問題になるのが継手部の溶接ですが、その手が有ったのです。
”角度が浅ければ…”の限定方法ですが、極厚のダイヤフラムをかませば良いのです。
FBなら最低でも32ミリ近い幅の肌スキが悩ましいのですがPL厚なら調整出来そうです。
”幅と厚み”。その手が有ったのか!と思わず拍手を送りたくなった手法でした。
もっとも、図面にはそんな悩ましい折れが表記されているかどうかさえ定かでは有りません。
図面に折れが無かったから…では、線形を照査した事になりません。

B面合わせ治具の大きさ
そんな治具が有るのをこの度初めて知りました。
鋼床版の張出部を持ち上げて架設を容易にするための治具だそうです。
ちなみに900の長さの治具が図面指示されていました。
実際の架設を知る人は”そんな大きな治具を見た事がない”と言います。
現地ではクレーンなんて限定的な箇所にしか使えないそうです。
人の手で持てないような治具は、果たして治具なのか?
原寸担当者なら、一度は自分の持てる鉄板の大きさの限界を知る必要が有るようです。

CベースPLが何のために有るのか?(その1)
ベースPLと言えばソールPL、落橋防止…橋軸に平行とつい考えがちなのですが。
鋼床版の上面に付くベースPLは別の構造物の”靴”です。
誰が見ても簡単そうな矩形のPLに孔が明いているだけのPLなのですが…。
構造物の形状を知らずに平行だとか直角だとかの議論は無意味です。
ベースPLは矩形でも、床版に明ける孔の方向は何に対して平行・直角なのでしょう?
取合う部材の情報を早め早めに要望しないと、後回しのツケは尋常では有りません。
ちなみに、ベースPLと名が付けば縦断勾配による切削の要否は必ず照査が必要です。

DベースPLが何のために有るのか?(その2)
矩形でそれほど大きくないPLに長孔…誰もが油断しそうなPLが主材と干渉したら?
その1でも触れたように、ベースPLは必ず何かと取合っています。
それが動かし難い物だった場合、主材と言えども何らかの細工が必要になります。
そんな問題が原寸の後半に発生しないためにはどうすれば良いか?
ベースPLって、外形はとても単純なのです。
単純であるが故、図面にも、もっともらしい状態で表現されているものなのです。
何故あの時、その単純な図形をスケルトンで照査しなかったのだろうか?なのです。
そんな余裕すら無かった…と言ってしまうには、あまりにも悔しい話です。

E部材の板厚・材質変化が何故有るのかを知る
橋梁に携わって直後の頃、何故、同一構造でこんなに板厚と材質が変化するのか疑問でした。
道路橋示方書で鋼種の選定や母材と同等といった記述を読んだ時には涙ものでしたが…。
もっと大切な…それでいて一番難しい考え方が有る事を知りました。
橋は基本的に”長い”構造物だから、その間に付く構造物の荷重が一定とは限らないのです。
だとすると、事の始めから添架物の構造を頭に入れていないと照査は出来ない訳です。
”あの辺りに大きな添架物が付くから、極厚・ハイグレード”と頭の片隅に留めている事が肝要です。
図面指示が曖昧だったから…なんてことは言い訳にしているようでは失格ということです。

F余談
誰が気付いてても当り前なのに、何故か誰も気付かない図面の不都合も有るようです。
その1)断面部材の縦リブピッチ寸法
    橋梁のバッチシステムが進歩すると、システムでサポート出来ない箇所は見逃されがちです。
    誰かが気付かないと、組立の時点まで分からない恐ろしい間違いです。
その2)手書き修正された寸法
    元々、CADで作画された寸法値を、手書きで修正している図面が有ります。
    誰かが間違いに気付いて修正してくれている…なんて思うのが間違い。
    手書きをしている>明らかに人為的な手が加わっている>人は間違う動物。
    実際、変更連絡が間違っていた…なんていう話は、どこででも有るようですし…。
その3)線形から求められる寸法
    誰もが一度は”本当かな?”と思っても”線形が正しいのだから”と思う寸法。
    線形が複雑ならば、線形を求める手順にもかなりの負荷がかかります。
    まさか、複雑な線形を”手計算”している訳でも無いのですが、勘違いは有ります。
    対策は、どこか2,3箇所でも良いので自分で手計算してみることです。
    今時の図面はシステムを使っているらしく、勘違いしていれば全ての寸法が違ってます。
その4)線形計算では本来求められない寸法
    ここの寸法は電卓で計算するのは難しい…それなのに図面には指示されている。
    その時あなたは、自分の漠然とした恐怖感と図面寸法のどちらを優先するでしょうか?
    忙しいのに、そんな事どちらでも良い事…と思われるのならば、それだけの事です。
    あなたが難しいと感じる事は、設計担当者だって難しいし、製作担当者にはもっと難しい問題です。

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6. 現地溶接部の開先(縦リブ)
箱構造のブロックを現地溶接でつなぐ際に、つい見逃されるのが縦リブです。
(ウェブとフランジが溶接継手でも縦リブだけは添接板構造の場合も有るようですが…。)
現地継手の場合は縦リブもフルペネが一般的なので、やはり”開先面”に注意が必要です。
一般に縦リブに限らず現地溶接のフルペネは、ハツリ作業を伴わない溶接…”裏波溶接”が使用されます。
(ハツリ作業を行うのが面倒?なのではなく、”ハツル=溶けた鉄が飛び散る”のを嫌うためです。)
裏波溶接=レ型開先(又はレ型同士をつなぐV型)なので、片面開先をどちらの面に取るか?が問題です。
ただでさえ狭い箱の中、作業性を考えると複数の縦リブの開先面が同一では作業の難しい箇所が発生する。
だから、溶接面が箱のセンター側になるように両側の縦リブの開先面を”向合わせ”にするようです。
分かってしまえば簡単なことなのですが、これを”背中合わせ”にしてしまうと大変です。
(せっかく作業性を考えて開先面を変えたのに、作業を難しくしてしまう事になる。)
そんなバカは居ない!と思うあなた、それじゃ何故”ハツらないのにフルペネ”なのか分かりますか?
工場内でのフルペネは、必ずのように”ハツリ作業”が必要でしょう?
裏波溶接は”向合わせ”が正解でも、ハツリ作業が有れば、”背中合わせ”が正解なのです。
実際、間違える位なら…と、わざと開先面を同一にして製作を行うことも有るようです。
同一面にしていれば…左右どちらか”1本”が犠牲になるけれど、考え方には一貫性が有ります。
しかし難しく考えて間違うと”2本”の犠牲の上に、残りの縦リブの説明も非常に困難となります。
私ならどちらを選ぶか?同一面で困難な”1本”を”容易”にする方法を考えたいものです。
ちなみに裏波溶接を用いる場合は、溶接歪(溶接面側へのソリ)の管理が重要らしい。
この工事での拘束治具(ストロングバック)は、溶接業者持ちなのだと思う。
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5. 片側溶接のスカラップの向き
箱構造のダイヤフラムに在る”縦リブをかわすスカラップ”なのですが、3タイプ有ります。
RCの場合は、全周溶接しない”オープンタイプ”が一般的。
支点部など力が架かる箇所は、全周溶接の”密閉タイプ”を併用します。
もう一つは、鋼床版などでよく見かける”片側オープンで片側溶接”タイプのスカラップですが。
何故このような中途半端?なスカラップが必要なのかは別として、”向き”が気になります。
今回の橋脚も架設補強部にこのタイプが多用されていたので確認したのですが。
実はこのタイプのスカラップの向き(溶接面)は”どちらでも良い!”そうです。
”えっ!そんなバカな!”と思われる方、向き(溶接面)の根拠を教えて欲しいです。
素人目で見ても”力”が鉛直に架かる箇所にスカラップが有るのだから、本当かも知れない。
ある客先では切断時にミラー切断を行うために”向き変更”を設計に要望すると”OK”だったとか?
勿論、図面通りに作っておけば、”向き”が揃って見栄えが良いのは事実です。
設計担当者の思想は一概に同じとは言えないし、施主の意向も大切なので推奨は出来ません。
しかし仮に切断誤作の原因が”この問題”だったのならば、相談の価値は有りそうです。
あっ! ”HPで見たんだけど”なんて、設計の人に言わないで下さいね。
あくまでも、”スカラップの向き(溶接面)の根拠を教えて下さい。”とお願いしてみて下さい。

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4. 現地溶接部の開先
ブロックの連結が現地溶接による場合、必ず問題になるのが開先の取り方です。
一般には、ルートフェース0〜1ミリ位で25°のレ型をVの状態でつなぐようですが…。
この場合、溶接は開先面側からしか行わない(ハツラない)ので開先面は重要です。
箱構造の場合は、内面側か外面側かによって、部材長だけでなく補構材の構造にも影響があります。
ちなみに今回は上面側から溶接だったので、上フランジは外面、下フランジは内面でした。
原寸作業の際、いやな予感がして客先に問い合わせたところ”作業性”の回答でした。
実はこの回答には重要な前提が無い事にお気付きでしょうか?
一般に下フランジの内面側溶接に”溶接機械”を使用する場合は、縦リブを分割するのです。
構造がそのようになっていない場合は、現地の溶接を”手”で行うという事になるのです。
今回の工事は分割していないことが”いやな予感”の原因だったようです。
橋脚は板厚が大きいので”溶接機械”の仕様が合わない事とジョイント数の少なさが決定理由かな?
本当に”手溶接”ならば、下向きの作業が容易なのは疑いのないところです。

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3. 橋脚の柱は、Jスキを片逃がしにする
橋脚に限らず橋のブロックをつなぎ合わせる場合は、ブロック間に隙間を設けます。
(添接板構造は隙間ゼロだという意見も有りますが、溶接構造で隙間ゼロは見た事無い。)
横につなぐ場合はジョイントから振り分けで隙間を考えるのが一般的だと思うのですが…。
言われてみれば橋脚の柱や主塔は縦につなぐのだから、同じとは限らないようです。
主塔の場合はブロック切削を用いて精度を出すのですが、その際に容易なのは?
連結する2つのブロック双方に隙間(ギャップ)を取ると精度管理が難しいのかも知れない。
一方は図面通りで作成し、連結時の誤差をもう一方で吸収する方が容易という事でしょう。
ちなみに今回は、下側のブロックがゼロ隙で上側のブロックに現地溶接の隙間を設けました。
梁部分の隙間要領に目を奪われると、つい見逃してしまう考え方です。

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2. ボルト用の長孔が明けられない
一般に長孔=バカ孔とも言われるために、注意力が不足しがちなのですが…。
例えば、24×48の長孔は、キリで明けてガス切断…が出来ないのです。
要するに、近接した孔を明けようとすると、キリが振れる(又は部材が振れる)のです。
最低でも孔同士が2ミリ以上離れてないと、孔明け精度が保てないという事です。
ちなみに、橋梁業界では、24φのキリを通常使用しない。
図面に24φと描かれていても、24.5φを要望するのが常識です。
その場合の最少長孔は、24.5×51…となるようです。
(勿論、レーザーで明ける場合は、その限りではない。)

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1. 床版用型枠の受材がV−stと干渉する
皆さん、ペコビームと言えば床版用型枠の吊りボルト受けなのはご存知でしょう。
通常、上フランジの上面に付くのだから、V−stの干渉なんて考えもしません。
ところが、吊りボルトで吊っている支保工の形を見ると”アッ”と言います。
なんと、上フランジの下面に支保工のフランジが入り込むのです。
そこにV−stが有れば、当然、”干渉”…今まで知らなかったのが不思議です。
一般に、100ミリ程度ペコビームをずらせば、支保工のフランジ幅をかわせるようですが…。
支保工の形が図面に出て無くても、知らなかったでは済みません。

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