NC制御向けの原寸作業とは?


CLデータのコーナーで”NC制御”を説明しても、ピンと来ない?
でも、皆さんは考えた事が無いでしょうか。
”あなたの仕事は何ですか?”と聞かれた時に、”原寸”をどう説明するか。
”パソコンのCADを使って図面のデータを作っている。”と説明すると、
凡そ知らない人は、”パソコン=IT”って考えるので、”凄いですね!!”と感心します。
後は”全然、凄くない!”としつこく説明しても、”今度、年賀状の作り方を教えて!”で決まり。
確かにCADで”え(絵?画?)”を描いてるので、年賀状にも作画出来そうですが…。
そのためにCAD操作を教えても、誰も満足しないかも?


原寸という職業は、ただでさえ説明が困難です。
(あれれ^^;も会社登記の際、審査員に説明する文言が見つからなくて困りました。)
そんな時、”今頃の工場には機械が沢山有って、その機械を動かすのも大変なんよ。”
と言えば、何かしらの製造業で工場の仕事をしている事が分るものです。
(あれれ^^;は工場に勤めて無いので、もう一段の説明が必要ですが…。^^;)
”最近の機械は、パソコンで動くンよ!”とまで言えば、コンピュータエンジニアらしいかな?


実際のところ、私は何を作っているのか?を考えると、切断機のデータがメインです。
切断機をNCで制御して図面通りの物を作るには、
1.まず、設計図が読めないと話しに成りません。
  図面通り作るのは簡単ではないけれど、図面の誤記を正しながら作るのは難しい。
2.工場の設備や物作りの手順が分らないとダメ。
  そもそも切断機の性能や、鉄板の状態、設備の適用範囲を知らないと何も出来ない。
3.CADや専用システムが使えないとNCデータは作れない。
  ”オラが手動で切断してやる!”で済むような簡単な部材ばかりでは有りません。
  紙と定規だけでは、如何ともし難い”コストダウン”が必要です。

…と言った課題を克服することが必要です。


1と2は、昔から”原寸師”で無くても必要な最低限の知識。
最近は、3の”紙と定規”が”CADやシステム”に変わっただけなのですが、
あれれ^^;の世代は、学校でCADやシステムを教わった経験が有りません。
増してや、本当の切断用”NCデータ”なんて、工業系の学校でないと教えてくれません。
それでも工場の一員になれば、足らない知識を自分で補う努力が大切な訳です。
じゃあ、原寸師に必要な”NC制御”の知識とは?ということになりますが、
最低限、知っておきたいのは、



1.NC切断機は電源を入れただけでは動きません。
  TVや電燈はスイッチをONにすれば、目的を達成出来ます。
  (勿論、観たいチャンネルに換えるくらいの操作は必要ですが…。)
  それに対して、CDやDVDは聴きたい(観たい)データをセットします。
  NC切断機も同じで、”NCデータ”なるデータを機械にセットする必要が有ります。
  CDやDVDと違うのは”NCデータ”を普通のお店では、売って無いことです。

2.NCデータは、”NC切断機を制御するコード”の集まりです。
  実はCDやDVDもそうなのですが、例えばCDを機器にセットすると
  入っている曲の数や曲名がパネルに表示されるはずです。
  また同じ機器で、CDを換えると他の曲を再生出来る…という事は、CDが機器を制御している?
  実際オーディオ機器は単にCDの情報を読んで、CDの情報通り動く(音を出す)だけなのです。

  NCデータもデータの先頭には、プログラム番号やシーケンス番号が必要です。
  また、CDで言う、”音を出す指令”や”音符を認識する指令”をNC切断機では、
  Gコード :動作モードの準備
        G00:位置決め
        G01:直線補間
         : :  : 
         : :  : 
        G90:アブソリュート指令
         : :  : 
  Mコード :機械側の補助機能
        M00:プログラムストップ
        M01:オプショナルストップ
         : :  : 
        M30:プログラムエンド
         : :  : 
  Fコード :送り速度の設定
  X、Y、Z:座標軸の移動指令
  I、J、K:円弧の中心座標
  Rコード :円弧の半径
         : :  : 
         : :  : 

  …という”制御コード”を使うことで指示されています。
  (これらの制御コードと値を組み合わせることで、切断機が動きます。)


3.NCデータを”人間の手作業”で作るのは困難です。
  通常のNCデータは”テキストコード”なので、ワープロやエディタでも作れます。
  でも、その文字数は何千、何万もの文字数になるので、手作業での作成はしません。

  高校生の”ロボコン”で、時折ロボットが動かなくなるのを見掛けませんか?
  ”ロボコン”は教育の一環なので、NCデータを手作業で作っていると思います。
  皆さんも”勉強”は必要ですが、求められるのは、”効率と正確さ”です。
  その作成作業を迅速・確実に行うために、中間データ(CLやDXF)が使われます。



原寸師がNC制御の知識なんて… と思われた方、NC制御ってCDやDVDと同じ理屈なのです。
アーティストはCDを発売するけれど、CDの理屈がどうなのか?は知らないはずです。
でも誰かが録音された音楽を”NCコード?”に変換してCDに書き込んでいるのです。
(手作りのCD…って、まさか機械かパソコン無しで作っていないですよね。)

本当はどこの工場でも、数人の”アーティスト”が居て良いと思うのですが…。
CL(DXF)まで作ったンだから、後はヨロシク!
…って、下手な唄でもCDは作れますが、”返品の山”は嫌ですよね。
工場で作業する人達を納得(感動)させる”アーティスト”は少ないかも知れません。
後工程はお客さま!なかなか意味深い言葉です。






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