CADデータの話(CLデータ編)
CLデータを意識してCAD操作を行う…という経験をお持ちの方は、そう沢山は居ないのでは?
オートCADに連動したDXFデータとは異なり、CLデータに連動したCADは多くないです。
(私が知る限るのは、大新技研様の”D−CAD”と、シンテック様の”FUTURE”だけ。)
どちらのCADもNC制御を重視しているので、図面関係のお仕事では馴染みが薄いかも知れません。
(実際、NC制御を目的とするシステムは、”CAM”と呼ばれ、”CAD”とは区別されます。)
ここで一言…”CAD(キャド)”と”CAM(キャム)”の使い分けは大丈夫でしょうか?
CADは、コンピュータ支援による設計。(Dはデザイン)
CAMは、コンピュータ支援による製作。(Mはマニュファクチャー)
同じように”モニター”へ図形や数値を表示するシステムですが、CADは人間向け、
CAMは機械(工作機)向けのシステムと考えれば良いでしょう。
実際、高価な工作機には”制御パネルと制御モニター”が装備されていますし、
ノートパソコンを工作機に接続して、NC制御を行う事も可能です。
(パソコンの用途は文章を作ったり、表計算をしたり、絵を描くだけでは無いのです。)
他人が見て分り易い資料を作るために使うのが、"CAD"
機械(工作機)が理解し易い資料を作るために使うのが、"CAM"
関係者でも無い限り”機械の気持ちなんて分らない。”ですよね?
その分、CAMの認知度は低いかも知れません。
確かにCLデータは、機械(工作機)が理解し易いデータなのです。
(そんなこと言ってると”お前は機械の気持ちが分るのか?”と指摘されそうですが…。)
それを理解するには、”機械(工作機)がどうして動くのか?”を勉強しないと難しいです。
CLデータには”寸法”なんて概念は無いし、”色”も”線種”も有りません。
必ずしも人間に分り易い表記が、機械にとっては分り易いとは限らないのです。
それ故に、”データの様式まで知らないと原寸出来ないの?”と言われそうです。
だけど”こと、日本の製造業”に携わる限り、その勉強は必要です。
1.原寸作業とNC制御
私は”原寸師”なので、機械のことは分からない。
以前は、その一言が”原寸職人”の特権で、それが通用した時代が有りました。
原寸師が作成した資料を基に、加工の専門家が”道具”を使った手作業で、
”物”を切ったり、くっ付けたり、孔を明けたりの加工を行うからです。
ところがこの国(日本)では、その”道具”を進化させることで、生産性を高めたのです。
いつしか”加工は機械が自動で行うので、機械を動かすための資料が必要”になりました。
そんな新しい時代の”原寸師”に求められるのは、何なのでしょう?
2.何故、CLデータが必要か?
DXFデータで納品出来れば、それで良いのでは?
…と言うのは、CADオペレーターの勝手な言い分です。
何故DXFデータではダメなのか?
CLデータのメリットとは何なのか?
一度は考えてみるのも悪く無いです。
3.CLデータの様式
DXFデータの様式とは異なり、CLデータは随分と”シンプル”です。
でも、だからと言って”簡単?”かと言うと、”専門的!”という印象です。
CLデータを知ることは、加工を考える助けになりますが、DXFデータでは実感出来ません。
知らなくても何とかなるのも確かですが、知っていれば”専門家”かも?
今回このコンテンツを作成出来たのは、客先からCLデータの資料を提供頂けたからです。
CLデータはテキストデータなので、様式は公開されていると思うのですが、
何故かそのような資料が少ない(ウェブでも見つからない)のが現状です。
ちなみに、NC用中間データと言えば、CL以外にもDL、FL等有るようです。
(DLはNC孔明け用、FLは溶接ロボット用です。)
どれも日本の製造業を支えているデータ様式なので、もう少し認知を広めたいですね。
いずれにしても、客先には”感謝!”です。
ありがとうございました!^^;
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