^^;橋梁図面の読み方・ポイント^^;


ここでは橋梁(鋼上部工)の図面について解説してみましょう。
原寸作業は図面が読めなければ話にならない。
当たり前の事が疑問になるのは、図面が悪いのか?それとも…?

1.線形の図面



鋼構造物図面に慣れている人が最初につまづくのが線形図面です。
何十枚、何百枚にもなる図面の先頭を飾る線形図は、橋の全体を表す図面です。
これを見ただけで、”よし!頑張ろう!”と気合が入ったり、”ダメだこりゃ…”だったり。

線形図は、およそ以下の構成になっています。
@設計条件
A位置図
B構造一般図
C線形要素図
D線形座標値
Eキャンバー図(値)
他にも応力図、主要鋼種図等の図面も有りますが、橋全体をイメージ出来ます。
^^;あれれ…^^;が一番驚いたのは、側面線形の表現が”地球曲がり”だったときです。

線形図は難しい言葉や数値ばかりで、”原寸屋”には無縁…と思ったら大間違い。
ここを理解しないと、”現地で架設出来ない橋”を本当に造ることになります。

<照査のポイント>
@クロソイド曲線の曲率
A座標系
B各ピアーでのスキュー量
C構造高
D縦断・横断勾配
Eキャンバー設定方法
F架設現場の地形と架設方法
G添架物の概要
H適用基準

<設計図に間違いが多い項目>
@構造高表…支承と橋脚の位置関係(用地買収の絡みで変更が多い)
A箱桁格点部の座標値…法線方向の意味を知らない設計者も居る
Bキャンバー量…DELの意味を任意に解釈している設計者が居る
C座標Z値…"路面計画高"の一言を入れてくれればいいのに…

^^;あれれ…^^;は線形の照査もしていますが、最後は見た目が判断基準になります。
確かに何100Mもの橋を架けたら折れ曲がっていた…では済みません。
しかし、支間長と桁間が正しければ、それ以上は何とかしてして欲しい橋も有る訳で…。
1ミリ2ミリは橋の難易度も考慮して欲しい、と思うのは^^;あれれ…^^;だけですよね。

2.主桁(主構)の図面



主桁図の見て、これから数週間の苦闘を覚悟することが有ります。
真直ぐな橋なら、一般に主桁図は共用化出来るはずなのに…というのが常識だからです。
(もっとも、最近はまったく異なる構造を共用化している悪質な例も有りますが。)

主桁図の構成はおよそ以下の通りです。
@上下フランジ図
Aウェブ図…箱桁は左右ウェブ図
B各部共通詳細図
C床版図…鋼床版桁
D側縦桁図…鋼床版桁

主桁でもウェブ図は橋の姿を表すので要注意です。
概要図で桁高変化が見えなくても、主桁図には数値で示されているのが常識です。

<照査のポイント>
@材質(鋼種)
Aモールドの押さえ
B輸送限界
Cフランジの板逃がし
D架設補強
E現地接合要領
Fジョイント部(添接材)の孔勾配
G断面の方向

<設計図に間違いが多い項目>
@添接板の孔ピッチ…ボルトは道具を使って締めるものです
AH‐stの止まり…自動溶接はまだしも、手溶接さえ出来ないのは間違いと思います
B開口位置…厄介な問題です
CソールPL取り付け方向…橋軸方向の意味を知らない設計者が居たりします
DソールPL取り付け位置…BOXセンターとダイヤフラム幅の1/2が同じと言う設計者も居ます

主桁は線形から造るので、対傾構やラテラルよりは勝負が早いことがあります。
^^;あれれ…^^;は個人的には、フランジよりウェブの原寸が好きです。
何故?フランジは簡単そうで図面通りだと錯覚してしまうからです。
主桁(主構)は線形!!と割り切れないと橋梁原寸は失格です。

3.断面の図面



一般に断面部材は、キャンバー差さえ把握すれば図面通りです。
だからと言って図面の丸写しでは、話になりません。
簡単そうに見えるけど、間違えれば”数”がものを言うのが断面です。

断面図としては、およそ以下の構造図があげられます。
@横桁図(ダイヤフラム図)
A対傾構図
B中縦桁図
C横リブ図

曲線桁は横断差の変化が一様ではないことが多く、図面の画に騙され易いものです。
断面をどちらから切っているのか、数値はプラスかマイナスかは常に意識が必要です。

<照査のポイント>
@横断差の方向
A本体との取り合い・引き付け点
B払い込み方向
C2次部材の取り付け面
D開口の種別
Eジョイント部(添接材)の孔勾配

<設計図に間違いが多い項目>
@払い込み方向…原則は広い方から払い込みます
A本体との溶接要領…本体付き仕口はフルペネが一般的です
B開口位置…厄介な問題です
Cフランジ・弦材の止まり…スキューで払い込みが変ると変化するのが一般的です
D対傾構斜材…ウェブ高が変化すれば、標準断面図だけでは対応出来ません
E補構材用スカラップ位置…これが違うとV−stの孔ピッチも狂います
Fダイヤフラムの密閉性…端ダイヤは一般部と異なります
G補強材用の切り欠き…圧縮、引っ張りと補強材の本数は格点毎に異なります

一般に断面図は、”図面枚数を少なくしたい(効率化)”という意図があります。
マイナスの数値や表を用いて表記を行い、図面の画は”マンガ絵”になっています。
しかし、設計者自身が混乱するような図面が出回れば、総合的には非効率です。

4.その他の図面



大きな橋ほど、その他の図面がたくさん有ります。
ここでは、”添架物”で総称しますが、原寸作業においては厄介です。
しかし今時、電気・ガス・水道の無い建物は有りません。
”橋は土木工事”ですが、添架物は増える傾向にあるようです。

その他の図面にはおよそ以下の図面があります。
@横構図(主構造に分類される)
A添架物配置図(系統図)
B添架物詳細図
C床版図
D架設要領図

一般にRCの床版は、橋梁メーカーでは造らないようです。
また、添架物そのものも、専門の業者に依頼して製作されているようです。

<照査のポイント>
@上下横構の構成
A添架物の種別
B本体付き添架物の取り付け要領
C添架物図面の出図状況

<設計図に間違いが多い項目>
@横構ガセットの孔縁端寸法…道路教示方書に明記が有ります
A横構ブレースの止まり…ガセットが成り立たないことがあります
B添架物の取り付け位置…本体の構造が先に決まるので犠牲になっています
C添架物同士の干渉…設計者もそこまでは照査しきれていないのが実状のようです

添架物は橋本体に合わせて設定されるので、設計変更が頻繁に起こります。
添架物によって本体の構造が変更になるのは、架設上の問題が有る場合です。
架設要領図を見て変更を予測出来るようになれば、橋梁原寸は一人前です。


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