1.完成時座標の入力
2.平面線形の設定
3.ウェブ高の設定
4.キャンバーの設定
5.施工縮みの折り込み
6.原寸線形データの出力
完成時線形座標(XYZの3次元座標)をシステム様式に合わせて入力します。
入力に先だって把握する必要が有るのは、
@座標がどこを示すものなのか?
ウェブ上縁、フランジ上面、路面上面のどれで出力された座標なのか?
A座標系はどのように設定されているか?
測量系(大座標)なのか、数学系(小座標)なのか?
B施工範囲において必要な座標の範囲は?
JV工事の場合は、取り合いのジョイントから最低でも3格点多めに定義します。
どう言う訳か、橋梁の座標値はメートル単位なのですが、小数以下4桁を入力します。
メートルで小数4桁は、0.1ミリの単位ですが、一般的には、これで充分です。
汎用でも橋梁システムならば、平面線形の定義は必要条件のはずです。
システムの内部計算で自由曲線の計算を行うので、蛇行や折れの不良が発生するためです。
一般に、橋の平面線形は以下に分類されます。
@直橋
A支点折れ
B多角折れ
C曲線(カーブ桁)
平面線形の定義項目がないシステムでは、細工を行います。
@折れポイントの前後に最低2ポイントづつ、架空点を設定する。
A曲線から直線への変化部は、変局点の直線側に最低2ポイント、架空点を設定する。
架空点をどこに設定するかで、橋は蛇行したりスムーズに流れたりします。
橋の平面線形を充分に描けるまで、線形図は検討します。
橋の姿(側面形状)は、桁高の変化量を設定することで定義します。
ウェブ高変化の種類は、
@桁高変化なし
Aウェブ上縁変化
Bウェブ下縁変化
Cウェブ下縁ハンチ構造(逆さ富士)
に分類されます。
格点位置でのウェブ高さは必ず設定しますが、桁高変化の激しい場合が難儀です。
通常は中間V-st位置とジョイント位置を追加すれば落ち着くのですが、ハンチ部は別です。
図面上で押さえられているポイントは元より、ハンチ折れ部の前後もポイントを増やします。
図面に押さえが無ければ、実際にCADで曲線を作って、桁高を求めます。
一般に、曲線を直線近似する際の誤差(サグ量)は、1〜1.5ミリです。
NC切断機の能力を天秤に計りながら、納得のいく桁高定義を行えれば一人前かも…。
キャンバーは格点位置に設定します。(キャンバーが何か?は橋梁用語を参照)
まず注意することは、
@量の大小
一般的には、−10ミリから+100ミリ程度なら問題ない。
(ブロックジョイントが溶接構造だと、上限は、もう少し大きいかも…)
A死荷重の内訳
鋼重、上げ越し値を含んでいないか?(含んでいてもいい場合も有る)
鋼重、上げ越しは別途設定する必要が有るか?
Bキャンバーの擦り付け
箱桁のスキュー部は、ゼロに擦り付けると変化が激しくなる。
Cキャンバー設定位置
桁高の1/2が一般でも、桁高変化の場合は検討しなければ…。
Dキャンバー変化点の有無
キャンバーだって自由曲線です。
あれれも…有ってはならないことですが…一度だけ、キャンバーを間違えました。
これだけは、間違えてると取り返しがつきません。
桁の幅員方向は、線形計算の時点で+2ミリ程度広げることが有ります。
最初に言ってくれればいいのに…と思う前に確認しましょう。
システムで計算するので、後はコンピュータ任せ…は、とんでもない話。
ここからが原寸座標を作る上で難しいところです。
@平面曲がり、側面カーブの評価
数値リストで評価します。
数値の変化量を感覚的に判断しています。
基本的に道路ですから、急激な変化は好ましく有りません。
A縦断勾配の変化
格点での縦断勾配は図面表記が無いのが一般的です。
有っても、それは完成時の縦断なので、変化傾向をリストで判断します。
そんなはずは…と思ったら、歩道上面の座標だったりするので、息は抜けません。
Bキャンバー変化
キャンバーはスムーズにかかっているのが一般的です。
キャンバー図を作画して判断しますが、良し悪しの判断は経験です。
C桁間の評価
桁間隔(バチ桁の時は全て変化)と横断差に重点を置いて照査します。
図面では法線方向なのに、座標はスキュー方向だとブロック長は全滅です。
基本的に、格点間と桁間の寸法は、図面との消し込みが必要です。
その上で、横断差を照査すれば、キャンバー値の間違いが無ければ、OKです。
それだけに、キャンバー値の設定は慎重に行わないと最後まで分かりません。
”原寸線形=キャンバー値の設定”と言っても過言では有りません。