1.線形計算書に基づいた製作
2.工場能力を把握した製作
3.現地架設を意識した製作
4.資料の保管
図面に記載されている完成時の座標値は、橋梁コンサルが計算を行い図面化しています。
しかし、橋梁メーカー側には、この座標値を照査する義務があります。
<完成時の座標計算>は、設計が担当するのが一般的(原寸が担当することもある)
なので、実作業の詳細は分からないのですが、
@基点となる座標(道路センターの現地計測値)を入手する。
A基点を通る平面線形を定義する。
(車が走れる平面線形…直線、クロソイド曲線の算定)
B横断勾配の定義(排水勾配、バンク勾配)
C平面角度の定義(橋台の向き、応力の伝達方向)
D縦断(側面)勾配の照査・・・車が走れる勾配(勾配量、勾配変化)
上記の手順により、各桁の主要格点の座標、平面角度等の数値を得るようです。
ライナー計算システム(JIP-LINER、V-LINER等)を使用して求めます。
完成時の座標値から原寸資料を作るには、以下の計算が必要です。
<汎用システムを使用した製作>
@原寸線形計算
A主材の展開計算
(工事中)
B検査資料(原寸検査、仮組み検査)
(工事中)
C加工データ(CLデータ、型、定規データ等)
(工事中)
<一貫システムを使用した製作>
@橋梁定義データの作成
A展開、検査、加工データの一括出力計算
図面表記と座標の食い違いが有れば、座標を正とするのが橋梁製作の難しいところです。
(勿論、施主による検査も、座標値に基づいた検査を行います。)
図面の”画”や”表記”がこうだから…というのは言い訳になりません。
線形計算書がこうなのに、図面が食い違っています…と言えなければ橋は造れません。
<橋梁専用工場での製作>
一年中、橋を造っている工場でも、工事毎に設備の対応を検討しています。
@仮組み検査の方法(実仮組、仮組シミュレーション)
Aブロック単位での製作方法
B曲げ部材、切削部材の製作方法
C溶接、孔明け、マーキング、切断の機種選定
D製作時の収縮量の算出
E内作と外注の区分
鉄骨や船を造っている工場でも、橋梁製作は行われています。
橋梁専門工場ならば有る設備(歪矯正設備や重切削設備)も、無いのであれば、
それ相応の対応策を検討する必要が有ります。
製作時に地震が起っても、安全な状態を保つ方法の検討も必要です。
(架設後の耐震性は設計されていますが、製作中はその限りでは有りません)
工場で造った橋が、現地で架けられない話が、現実には有るのです。
@架設場所の条件
橋の架設場所は多種多様です。
現地の状況だけではなく、現地までの輸送手段も重要です。
A架設方法の条件
架設場所が、架設方法に大きな影響を与えます。
B他社取り合いの条件
長さ数キロの橋は、一般にはJVで造ります。
(工事中)
そんなこと設計が考えているだろう…と思われがちですが、設計者も人間です。
架設条件が決まる時期が、製作より遅くなることも頻繁に有ります。
架設条件によって設計変更…ということは当たり前に考えなければなりません。
変更図が出図されても、最小限の製作変更で済むように造ることは大切なことです。
原寸資料は、最低限、現地架設が終了するまで保管が必要です。
資料によっては、架設後も保管が必要な資料が有ります。
保管資料を電子化することで、ダンボール一箱程度で済むようになります。
しかし、気が付くと社内の電算設備が更新されて使えない資料も有るようです。
(橋の耐用年数は、50年から100年もの長期ですから…)
長期保管の必要が有る資料は、標準フォーマットでの保管が望ましいのですが…。
橋梁業界でも標準化が叫ばれるのは、そんな事情も有るようです。
建設CALSに乗り遅れると、そんなデメリットも有るので目が離せません。