橋梁原寸一貫システム・ミプソン(MIPSON)


1.特徴
<橋梁原寸の資料:鈑桁・箱桁専用>
@部材配置図(品番図)
A単品加工図(一品図)
B検査資料 (原寸検査、仮組み検査)
C加工データ(CLデータ、型、定規データ等)
これらを、一人の作業者が2週間足らずで作成出来ることを可能にしたシステムです。
しかも
※定義した部材の取り合い・干渉を自動で行える。
ことが優れています。

実際、汎用システムでの原寸費用を、半分以下に削減出来るシステムです。
鈑桁・箱桁専用システムなので制約は厳しいですが、条件に合うと強力です。
新入社員やパートの方が計算データを作れてしまうのも、すごい話です。

2.実際の運用・実績
ミプソンシステムの不良による誤作は、近年聞いたことが有りません。
ただし標準的な鈑桁・箱桁(200tクラス)で、
約2千〜3千ステップのデータが必要です。
計算データの良否が、一橋の運命を左右します。
(現状では、これを人間が1ステップずつ作っています。)
データ上の論理ミスがない限り出力結果に間違いは有りません。
(^^;あれれ^^;と思った時には、悲しいくらいに計算データの間違いが100%です。)

データ作成に一週間、計算と照査に一週間が標準的な作業工数です。
鈑桁・箱桁専用と言っても、拡幅工事、JV工事など用途は多様です。
汎用CADで作った方が早いと思える橋でも、トータルではミプソンが優れています。
小さな橋でも現場資料の種類、数、要望は変りません。
まして、これだけ設計変更の多い状況では、汎用CADは比較になりません。

汎用性においても工夫次第では、かなり広がります。
極端な話ですが、柱も1BOXが縦になっていると考えればいいわけで…。
鋼床版もデッキを除けば、鈑桁・箱桁だと考えられます。

もっとも、システムの制約すれすれのところで勝負するのは、推奨出来ません。
^^;あれれ^^;も冒険したことが有りますが、何度か痛い目に会いました。
”出来る”と保証が無い限り、目先の結果だけでは、”出来た”ことにはなりません。

3.運用上の問題
人為的な誤作の防止とシステム制約・システム範囲には神経を使います。
図面情報をデータ化する際に、図面とデータの双方を照査する必要が有ります。
(人間が図面とデータを作る以上、
照査は避けて通れません。)
仮に図面通りにデータを作ったとしても、それが工場で加工出来なければ結局”誤作”です。

また、いくら優れたシステムでも100%を求めることは、現実的では有りません。
何千もの部材データを、正確に(ミリ単位)効率良く(二週間程度)作成するのです。
そのために何百かの部材が作成不能で有っても、それは間違いではないのです。
(実際に橋を造る時には、その何百かの部材も完全な状態で必要ですが…。)

4.将来性
標準部品の整備が進めば、システムの制約・範囲は緩和されると考えられます。
(何故、施主によってマンホールの形状まで違うのか、^^;あれれ^^;には分かりません。)
また、上位システムから、自動で計算データをジェネレートすることも可能になるでしょう。
(そんな試みが有ったのに、尻すぼみになった理由もよく分かりませんが…。)
原寸一貫が設計・原寸一貫になるとき、一段と期待の広がるシステムです。

一方、
3次元CAD設計・原寸が認知され、その可能性も模索されています。
3次元処理を進めると、バッチ処理と同じ問題に直面することが知られています。
原寸一貫システムに携わることは、問題解決への足掛かりになります。
”ここを間違えば、これとこれに影響が出る…”という感覚は、一朝一石には身に付きません。
”鍵”は、これから主流になるシステムに対応出来る環境創り…です。
何故ならばミプソンに代わる3次元一貫システムは、すでに産声をあげているからです。

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