仁義なき戦いの残り火

     石垣を直すだの、不法投棄もどき事件があるなど、スタートは暗かった今年の田んぼ。
     それでも、なんとか順調に、田んぼを耕し、水を入れ、しろかきが済んだ。
     苦労してコンクリートで直した石垣や、棒を突っ込んで直してみた効果もあるのか、今の所、
     大きな水漏れもなかった。

     予定していた日も、なんとかお天気に恵まれ、田植えとなった。
     毎年のように最初は不機嫌な田植え機。
     まぁ、1年間、放っておいて、いきなり、「さぁ、出番です。 働いてください」って言っても
     気分が乗らないよねー  だからって、ゴネられても困るんだけど。 

     梅雨入りも間近なので、それまでに捕植(ほしょく・・・田植え機で植えられなかった場所や、
     苗が飛んで植えられていない場所に手で植えていく作業)をしようということになった。
     田植えの時に時間がなくて出来なかった続きをやるわけだね。
     例のごとく、主人が田んぼの中に入り、にゃおは畦(あぜ)から苗を渡す役です。

     今年、石垣をコンクリートで直したあたりにさしかかった。
     にゃおが、「そこが切れてる(苗が植えられてない)」と指差し、主人が、その場所に植えようと
     足を一歩、前に踏み出して腕をぐっと伸ばした。

     「うぉ!?」

     奇妙な声とともに、主人の右足が太もも近くまで埋まった。

     「穴が開いた!!」

     そう、その場所は、かつて何度も大穴が開いて泣かされた場所だった。
     (詳しくは2002年 「仁義なき戦い ・  ・  」をご覧ください。 リンクで飛べます)
     去年、あんなにいろんなものを詰め込んだというのに、また、ここまで穴が開くか?!
     あの時、詰めまくった物はどこへ行ったというのだ?
     苗とか草は腐ってしまったという事が考えられるけど、ボロ布は1年そこらで影も形もわからなく
     なるほどまで腐ったりはしない。 あの大量の物体は一体、どうなったというのだろう?

     一瞬のうちにそんなことをグルグル考えるにゃお。

     「早く詰める物を持って来い!!」

     主人が右足を深く埋めたままで叫ぶ。
     足を抜いたら、恐ろしい勢いで水が漏れて行くだろう。 こうして足を踏み込んで穴を塞いだ
     形にしていた方がいいわけだ。

     あー 包丁で刺されたら、抜いちゃダメってのと一緒だね。 
     抜いたら血が出て失血死するかもしれないから。

     ものすごく、その場に不似合いな事を考えながら畦(あぜ)を家に向かって走るにゃお。
     普段から穴埋め用にとボロ布がたくさん準備して入れてあるビニール袋2つをつかみ、
     主人の所へ戻る。
     受け取った主人、足元にボロ布を手で差し入れ、それから、そっとそのボロ布を踏む。
     これを何度か繰り返し、今度は、力を入れて、周りの土を絡めて固めるように踏む。
     次々に投入されるボロ布。 あっという間に、スーパーのLサイズの買物袋2つにパンパンに
     詰めてあったボロ布が地中に消えた。 それでも、まだ主人の足はふくらはぎまで沈んでいる。

     「バケツに土を入れて持って来い!!」

     今度はバケツとスコップを取りに戻り(家まで100メートルくらいあるから、けっこうキツイのだ)、
     上の休耕田から土をすくい入れて運び、主人に渡す。 主人がその土を穴に入れ込んで
     かさ上げして行く。

     「もう大丈夫じゃろうC= ( ̄ー ̄;;) ふぅ〜」と主人が腰を伸ばした。 ドロドロの土の中で
     足踏みするのって、相当な労力を使うんだよね。 前傾姿勢だし、つかまるものがないから
     腰に負担が来るのね。

     「まぁ、ひどい穴が開いたもんじゃ。 釣り天井になっとったんじゃな。 機械を使う時に
     穴が開かんでよかったよ。 機械がハマったら、どうする事もできんもんのぅ」

     うんうん、確かに。 今、このタイミングで穴が開いたのは、運が良かったと思うべきなのかも。
     この穴は少なくとも、今年はここまで大きく開く事はないだろうしね。 畦(あぜ)よりも少し
     田んぼの中の方に開く穴だから、苗を植えてしばらくしてだとか、主人がいない時だとかに
     開いたら、とてもじゃないけど、にゃお1人じゃ、始末できそうにない。 だいたい、身長が
     178センチ近い主人の太ももくらいまで埋まる穴って事は、にゃおだったら、腰のあたりまで
     埋まるって計算になっちゃうもん。 無理だよ、無理(>_<)


   モグラなんて、大っきらいだぁぁぁ〜〜〜!!!
       (どっかでも、同じフレーズを叫んだな・・・)

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